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未知少女  作者: アキラ
11/19

第11話 鈴①

「武器ってどういうものがあるんですか?」

「そうだな。お前たちが悪魔と近距離戦闘に向いているのならば

こっちの剣を、あまり近くに寄りたくなく

遠距離戦に向いているのならば、こっちの銃だな。

お前たち、適正審査は受けたよな?」

適正審査という言葉を初めて聞いた二人は頭を横に振った。

すると葉山は心底驚きの表情を浮かべたのち、鈴を睨みつけた。

「鈴。てめぇ!!毎度毎度言ってるよなぁ。

新しく人を連れてきたらまず先に適正審査を受けさせろって!!

こっちの仕事が増えるだろうが。はぁ。まったくお前たちも大変だな。

こんな奴に連れてこられて。」

鈴に対して怒鳴り声をあげてしまった葉山を

近くにいた武器庫の人が一斉に見ていた。


それを見て、明と真はこんな女の子になんてひどいことを言うんだろうか。

せっかく親切でここまで案内してくれたのに。泣いているんじゃ・・・

そう思い、鈴の顔を見た瞬間、

二人は今までに感じたことのないほどの寒気を感じた。

鈴の顔面には明らかな怒りが張り付けられていたのだ。そして

「葉山、その言葉を美玲さんに一言一句同じ言えるように言える?」と

「はぁ!?言えるわけないだろ?美玲さんにそんなことを言ったら、

俺リーダーに殴られるぞ。というかそれと何の関係があんだよ!!」

葉山は鈴の言葉に対して、

なんで美玲さんの名前を出してきたのかが分からずに、

また強い口調で鈴を責めた。

すると次の瞬間、突然葉山が宙に浮いた。


「関係があるも何も!!あの子たちを連れてきたのは美玲さんよ!!

それなのに、良くも私のことを責めてくれたわね~!!

皆に見られたじゃない!!この馬鹿葉山ぁ!!」

普通にこの言葉を聞いた人々は、可愛い女の子が大人の男の人に怒られて、

口論になっている。可愛いとぐらいにしか思わないだろう。

しかし明と真、そして武器庫にいた人たちは違う感情を抱いていた。

その感情の名前を人々はこう呼んでいるだろう。恐怖・・・と。

葉山が宙に浮いた理由、それは鈴にアッパーを食らわされ、

普通であれば、足が少し浮くくらいの衝撃だろうが、

葉山が受けたのはそんな小さな衝撃ではなく、

トラックに突っ込まれたような衝撃が彼の体を襲ったのだ。

それだけでも十分、その場にいる人に恐怖という感情を刷り込ませたのだが、

それだけで鈴の怒りは収まることはなかったようで、

宙に浮かんだ葉山に対して、鈴も飛び上がると、

見ている人の目にも映らないスピードで殴る・蹴るの暴行を繰り返していたのだ。

そして最後の「馬鹿葉山ぁ」の声とともに

とどめを刺すかのようなかかと落としを放った。


ド~ン!!

葉山が宙から落とされた衝撃で爆音とともに地面が揺れた。

そのせいなのか、いやそんな恐怖体験をしたからだろう。

明と真の足は小刻みに震え、顔からは血の気が失せ、

すっかり鈴のことを畏怖の対象として怯えてしまった。

鈴は地面に足を付けると、二人のもとに駆け寄って行った。

その後ろで葉山は意識を失っているのか、はたまた死んでいるのか、

ピクリとも動かない。

「まあ、あの馬鹿は放っておいて、適正審査に行きましょう」

「「は、はい!!」」

真と明はさっきまでの鈴に対する態度を改める決意をした。




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