第10話
「あなたたち、新人さんだよね?誰か探しているの?」
少女の前に立った明と真に少女はそんなことを聞いてきた。
「あ、うん、そうだよ。美玲を探しているんだけど、君知らないかな?」
すると少女は満面の笑みをなぜか浮かべた。
「う~ん、知ってはいるんだけど、行っても美玲さんに会えないと思うよ。もう任務に出ていったから。」
その言葉に二人して驚いてしまった。
帰ってきたばかりなのにすぐに任務に行かなくてはいけないのか。俺たちもいずれはそういう風になるのかもな。
明は真をちらっと見ながらそんなことを考えていた。
少女は何やら考えるような態度をとったと思えば、明と真をじっと見ていた。
そして「あなたたちは武器はもう手に入れたの?」と唐突に質問をしてきた。
「いや、まだだよ。ちょうど案内の途中だったからそういう話はまだされてないんだ」
真がそういうと、少女は「そう。なら案内も兼ねて行きましょ!武器を手に入れに」と言って歩き出した。
美玲に会えなくて暇になった二人は少女についていくことにした。
「ここは食堂だよ。カウンターに人が座っているからその人に声をかけてもらったら、紙をくれるからそこに食べたい料理を書いて、もう一回カウンターの人に渡したら料理を作ってくれるからね。ちなみにずっと開いてるから夜中に任務から帰ってきても安心だね」
まず最初に案内されたのは食堂で、二人はその大きさに心底驚いていた。
今まで過ごしてきた高校の食堂よりも遥かに大きかったのだから。
食堂を後にした後、たどり着いたのは大浴場らしき場所だった。
「ここは浴場だよ。左が女湯で右が男湯だから間違えないようにね。もし間違えて女湯にでも入ろうものなら、人間界の銭湯と同じで痛い目を見るからね~。」
そしてもっと奥に進んだ先にあったのが、武器が置いてある場所だった。
「そしてここが武器庫だよ。武器の修理や改造、後はあなたたちみたいに武器を持っていない子に武器を渡しているわ。」
少女は誰かを探すかのように顔を動かし、目当ての人を見つけたのかその人に近づいて行ったため、二人も少女の後をついていった。
「葉山!新入り連れてきたから武器を渡してあげて頂戴!」
少女は葉山と呼ばれた青年に体当たりするかのように当たってからそんなことを言った。
「痛ぇな。鈴!!毎回毎回体当たりしてきやがって、やめろよな!!って、あー、新入りか。おいお前らも気を付けとけよ。こいつ慣れてくるとすぐに体当たりしてくるからよ」
葉山は鈴に注意しながら、後ろにいた明と真に視線を移し、そんな忠告をした。
明と真は少し怖い感じの葉山の忠告にただただうなずいていた。
「それで、武器を手に入れに来たんだったよな。どういうのがいいんだ?」




