表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でもアイドルデビュー!?~アイドルの経験を活かして無双します~  作者: Nanairo


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/24

4話:Water

「そういえば、母さん、またリンが新しい魔法を覚えたんだぜ!今度は水魔法だ。」


「ええ?昨日炎魔法を覚えたところなのにもう水魔法も使えるの!?リン、私にも見せてちょうだい。」


二人とも自分のことのように嬉しそうだ。


「いいよ。ついでにあたらしいうたができたからいっしょにきいてくれる?」


俺の予想ではおそらく2ndアルバムのタイトル曲”Water”も”Fire”と同等の効果があるはずだ。昨日ポップアップも出ていたしな。俺の提案に二人は1も2もなく興奮した様子でうなずいた。それを見て昨日と同じように席から降りテーブルの前の空きスペースに立った。


「ではおききください、”うぉーたー”」


この曲はイントロから俺のハモリが入っている。ちょうどその部分を歌い終えたところで予想通りポップアップが出た。


▶ユニークスキル ”Water" を獲得しました。


(やっぱりな。効果は”Fire”と同じか。)


▶ユニークスキル ”Water"

 詠唱中、魔力消費なしで何度でも魔法を使用できる。1度発現した魔法は敵が消滅するもしくは詠唱が途切れるまで継続する。


俺はさっそくユニークスキル”Water”を発動した。俺の周りに次々と現れる水の玉。電球の光を反射してきらきらと光っている。ジンとリサも楽しんでくれているようで何よりだ。


やはりこの曲も自分のパートでは最大10ほど、ハモリが入っている部分は最大5つ、他のメンバーのパートは最大3つ同時に水を操作できるようだ。でも一つだけ”Fire”と違う点がある。それは歌い終わったときに発覚した。


炎魔法のときは歌い終わると同時に炎もフッと消えていた。そのためユニークスキルを使い終わった後のことに考えが至らず油断していたのだ。どういうことかというと、水魔法は歌い終わった後も消えなかったのだ。つまり歌い終わった瞬間、屋内に浮かべておいた数十個の水の塊が一気に浮遊をやめ落下したのだ。言うまでもない、俺たちを含め家の中は水浸しだ。


「……」

「……」

「……ごめんなさい。」


ここは潔く謝ろう。わざとじゃないにしても調子に乗ってだいぶ水の玉を生成してたから水たまりどころの話じゃないくらい水が溜まっている。どうやって掃除しようかと途方に暮れていると二人の笑い声が聞こえてきた。


「…ぷっ。あはははは!」

「……っく。…フフっ。」


何だと思って二人の方に目を向けるとリサは腹を抱えて盛大に笑っているし、ジンは笑うと俺に悪いと思ったのか顔を背けて隠しているが、こらえきれずに笑い声が漏れているし全身がプルプルと震えている。


「…かあしゃん?とおしゃん…?」


「あはははは。いやあ、安心したわ!あなたまだ3歳なのにどこか大人びているし、昨日から急に成長していくもんだからうれしい反面、ちょっと寂しかったのよ。でもあなたでもやっぱり失敗はするってわかったし、失敗したときのあなたの顔が…ふふっ、ちょっと、ツボに入っちゃって…」


「母さん、そんなに笑ってやるなよ、リンがかわいそうだろ…。」


(どんな顔してたんだ、俺。そして、父さん。父さんもまだ声が震えてるの分かってんだからな。)


その後は3人で後片付けを行った。怪我の功名とも言うべきか、普段忙しくて掃除しても掃き掃除くらいだったため家の床が見違えるほどピカピカになった。ジンとリサもどこかすがすがしそうだ。

その後二人に新しいユニークスキル”Water”について軽く説明した。二人はユニークスキルを二つも獲得したことに多少驚いていたが、免疫がついてきたのか”Fire”の時ほどではなかった。


「ところで、明日からの8階攻略どうしようか。リンのことあいつらに伝えるか?」


「うーん、そうねえ。彼らのことを信じてないわけではないけどやめておいた方がいいかも。3歳でスキルが発言するだけでも珍しいのにユニークスキルを2つも持っているなんて国に知られたらリンがどうなるか分からないわ。人の口に戸は立てられないっていうし、せめて10歳の鑑定の儀まではバレない方がいいと思う。」


「そうか、そうだな。リンもそれでいいか?」


二人が俺のことを思って言ってくれているのは分かる。しかし、俺は早くレベルアップして強くなりたい。俺はやりだしたらとことん最後までやらないと気が済まないタイプだし、それに二人には早く楽な暮らしをさせてあげたい。そのことをやんわり二人に告げるとジンから折衷案が来た。


「じゃあ、休みの日は今日みたいに父さんとダンジョンに行くか?」


「いいの?でもそれだととおしゃん、つかれない?」


「大丈夫だ!心配するな。こう見えても父さん体力だけはめちゃくちゃあるからな!それにあと少しでレベル測定の日だし。俺も早くレベルアップしてCランクに上がらないと。」


「ジンったら、リンには甘いんだから。でもそれが一番いいかしらね。」


ということで俺はパーティーでのダンジョン攻略中は大人しくし、3日に1回の休みの日にジンと2人でレベルアップにいそしむことになった。そのためジンは1年中休みがなくなることになる。それでも笑って俺のためを考えてくれるジン。


(ちょっと恥ずかしいけど誠意を見せるか。)


俺はジンの服をくいっと引っ張った。


「ん?どうした?」


服を引っ張ったらすぐにかがんで目線を合わせてくれるところもジンらしい。そんなジンに俺は両手を伸ばして


「とおしゃん、抱っこ。」


初めて自分から抱っこをねだった。ジンは一瞬面くらい、すぐさま俺を抱き上げた。


「リ、リサ、今の聞いたか?リンが初めて自分から抱っこをねだってくれた…何て可愛いんだ…!」


ジンは凛々しい顔をふにゃっとさせながらリサに自慢している。リサも少し驚いているようだ。でもまだ終わりじゃない。俺はジンの顔を両手でつかみ左頬に顔を寄せ、チュッと口づけた。そして、


「とおしゃん、ありがと。だいすき。」


と耳元でささやき、ぎゅっと首元に抱き着いた。ジンはその瞬間、ピシッと固まり石のように動かなくなった。動揺しているようだ。


(ああ~。恥ずかしすぎる…。でもたまにはこうやって甘えるのもいいな。心が満たされる感じがする。)


顔が赤くなっているのを自覚していた俺はしばらくジンの首元に顔をうずめていたが周りが静かなのをふと疑問に思って顔を上げた。すると、


(き、気絶してる…)


ジンは目を開けたまま顔を真っ赤にして気絶していた。そしてリサはというと、どこから持ってきたのか、魔石カメラで無心に写真を撮っていた。


(うん、俺って愛されてる…。)


自分で作りだしたとはいえ、俺はこのカオスな状況に現実逃避を決め込んだ。



そして、次の日。


「ちょっと、ジン。その締まりのないだらしない顔はどうしたのよ。せっかくのイケメンが台無しじゃない。」


あの後、気絶から復活したジンはずっとデレデレとしており、それは一晩寝て起きた後も変わらなかった。そしてそのままパーティーメンバ―のもとへ向かったため仲間のラナから辛辣な一言を貰っていた。


「いやあ~。聞いてくれよ。昨日リンがさあ~初めて抱っこをねだってくれてしかもホッペにキスまでしてくれたんだぁ~。それに、父さん大好きって///。へへへ。もうちょっとで天に召されるところだったぜ。」


ジンは昨日のことをメンバーに曝露した。止めなかったのかって?開き直ることにしたんだ。昨日言葉にしたことによって改めて自覚した。俺はこの世界の父さんと母さんが大好きだ。この二人のもとに転生できて本当によかった。


「本当、やけちゃうわあ。いつもジンばかり…。」


「かあしゃんもおなじくらいだいすきだよ。」


リサの言葉につないだ手をぎゅっと握り返して上目遣いで大好きを伝えた。リサは俺の言葉にウっと胸を抑えた。


(存外、この夫婦も似てるよな。)


「きゃー!可愛い!普段から可愛かったけど何だかさらに可愛くなったわね!」


「おいおい、どんな心境の変化があったんだ?いつも3歳とは思えないくらいクールだったのに急に素直になったじゃないか。」


「そっちのほうがいい…」


上から弓使いのアン、盾使いのシグ、暗殺者のイオだ。なぜか順番に頭を撫でられたりほっぺたをムニムニされた。だが悪い気はしない。そうだ、俺の今の外見は3歳なんだ。開き直って子どもらしくいこう。今まで甘えることなんてできなかったし、子どものうちは甘えたっていいだろう。この人たちは俺のことを好いてくれているみたいだから甘えても嫌な顔はされないはず。


そうして8階攻略中の4日間(今回は少し長引いた)は隙を見つけては魔力を消費しつつ、休憩時間はいろんなメンバーに甘えに行った。


シグに肩車をねだりに行ったり、イオの膝の間に座ってみたり、アンに膝枕をしてもらったり、ラナに抱っこしてもらったり。みんな最初はすごく驚いていたがすぐに順応してたくさん甘えさせてくれた。いつもは自分からメンバーのもとには行ったりせず、ジンやリサのそばにいることが多かったから、逆に二人はしょぼくれていたが。代わりに夜はジンやリサに抱き着いて眠った。寝袋に一人で入って眠るよりも二人に抱き着いて眠る方が安心したしぐっすり眠れた。


この世界に来て一番充実した4日間だった。乾いていた心が満たされるようなそんな感覚だった。もっと早く素直になって甘えておけばよかったと思うくらいこの4日間でメンバーやジン、リサとの距離が縮まった気がした。8階の攻略を終えて帰るときに俺の抱っこ争奪戦が始まったのはちょっと笑った。でも俺の中で一番安心するのは


「とおしゃん、抱っこ。」


ジンの腕の中だ。両手をめい一杯伸ばしてジンに抱っこをねだる。ジンは勝ち誇った顔で俺を抱き上げ、他のメンバ―から蹴りやパンチをくらわされていた。音がだいぶ痛そうだったけどジンはものともしなかった。そのままメンバーたちには手を振って別れ、ジンの腕の中で揺られている間に俺はまた眠ってしまった。


そして次の日、早朝から俺とジンはダンジョンに出かけ3階と4階を攻略した。今回はジンも戦闘に参加した(俺を抱えたまま)ため魔物を1200匹ほど倒したが俺が獲得した経験値は80000ほどだ。最初はめちゃくちゃ揺れて吐きそうになったが、それに気づいたジンが俺を揺らさないように戦ってくれたためそれからは快適だった。ちなみにそのおかげで”縮地”と”瞬歩”、”歩術”というコモンスキルを獲得したらしい。


こんな風にパーティーメンバーとも中を深めながら、休日のうち2回に1回のペースでジンとダンジョンに赴く日々を過ごすこと7年、俺は10歳になり、今日鑑定の儀を迎えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ