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異世界でもアイドルデビュー!?~アイドルの経験を活かして無双します~  作者: Nanairo


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3話:Fire

ーさあ、始めようか

 準備はいいかい?

 目をそらさないで

 よく見ていて

 これはまだ序章に過ぎない


最初は雷くんの低音パートだ。この曲唯一のスローテンポの部分。雷くんが前に一人歩きながら右手を前に差し出し観客に語り掛けるように歌うのだ。俺は右手を前に伸ばすと同時に手のひらの上に炎を出した。俺がスキルを使うところを初めて見たリサが驚いた声を上げる。でも驚くのはまだ早い。


ー君の瞳、君の唇、君の指先

 頭からつま先まで君のすべては俺たちのもの

 よそ見をする暇なんて与えない

 邪魔するものは消してしまおう

 俺たちの炎はすべてを飲み込む


煉くんのパートから一気にテンポが上がる。雷くんを跳び越えるように前に出てきて、力強くもセクシーなダンスが特徴的な煉くんの見せ場だ。唇を親指でなぞる姿や右手の指の間から瞳をのぞかせる姿に「色気がやばい」と話題になったっけ。まあ、今の3歳児の姿でそんなダンスをしてもに合わないので代わりに炎魔法でカバーする。俺は次々と自分の周りに炎を出し浮かべていった。


ーFire 燃え盛れ

 一度ついたら消せやしない

 余計なものは全部燃やして

 ここからはずっと俺たちのターン


ーFire もう手遅れ

 俺たちの炎は防げやしない

 一人たりとて逃しはしない

 さあ次の標的(ターゲット)は誰だ


俺と陸くんのパートだ。ここは7人そろっての激しいダンスが魅力なので動かせるだけの炎を動かして見劣りしないようにする。ついでにリサとジンの周りにもどんどん炎を出していく。二人は次々と出てくる炎に目を白黒させているが楽しんでもくれているようだ。


こんな感じで俺は最後まで全力でパフォーマンスを行い、炎を一つ薔薇の形に変形させてリサに差し出すしぐさで歌い終えた。


息が苦しい。3歳の身体でこれを歌い切るのは大変な重労働だ。俺は歌い終えて炎が消えると同時にその場にごろんと寝ころんだ。疲労感はすごいがやはりパフォーマンスをするのは楽しい。


「リン、すごいわ!今のは何? 」


リサが俺のそばによってきて感嘆の表情で尋ねる。俺は寝ころんだままで息を整えながら簡単に説明した。ついでにジンに聞かれていたことも話しておこう。


「ゆにーくすきるだよ。このうたをうたっているあいだだけ、まほうがつかいほうだいなんだ。ほのおのまほうは、さっきだんじょんで、れべるが5にあがったときにつかえるようになったんだ。いまのところ、ほのおだけだけど、たぶんほかのまほうもつかえるようになるとおもう。」


「レベルアップもだけど鑑定の儀で職業が決まる前にスキルを獲得するなんて...。しかもユニークスキルまで!普通はみんな職業を得るときにスキルも獲得してそこからレベルを上げていくのに…。他の魔法も使えそうってことはリンの職業は伝説の魔導物語神とかかしら!それにその歌とダンスはどこで覚えたの?まるで別人みたいだったわ!とても3歳とは思えないくらい素敵だった!もう母さんはリンのファンよ!」


そう言ってリサは俺を膝の上に持ち上げてぎゅっと抱きしめた。俺はリサの左肩に顎をのせ、少し考えて正直に答えた。


「うたとだんすは・・・じぶんでつくったんだ(正確には自分たち(SevenR)だけど)。きにいってくれたならよかった。」


(そういえば父さんは静かだな。今のパフォーマンス気に入らなかったのかな。)


そう思ってジンに目を向けると肘をついて両手を組み、そこに額をのせたジンがぶつぶつと何かを言っていた。


「はあ、リンが可愛すぎる。あの小さい体で一生懸命踊っている姿なんか天使にしか見えないんだが...?可愛いうえに歌もダンスもうまくて3歳という年齢で魔法やユニークスキルが使える天才だなんて…。ただでさえ今でも可愛すぎて変な輩に狙われることも多いのに!まあそのたびに相応の報いを受けさせてきたが…。これからはもっと狙われるんじゃないか?こうなったらもっと強くなってリンを守らないと…!どいつもこいつもリンを狙うやつは剣の錆にしてくれる!」


(…俺って狙われたことあったのか?……うん、聞かなかったことにしよう。)


ジンがだいぶ親ばかっぷりを発揮していたので聞かなかったことにした。そういえばこれまでこの体の外見については触れてこなかったが、実を言うと髪と瞳の色以外、前世の俺の外見そのままだった。髪はジンの輝く銀髪よりも白に近い銀色で瞳の色はリサと同じ碧色だ。前世ではアイドルをやっていたぐらいなので一般的に見ても俺の外見は整っている。この村でも美形親子として結構有名になっている。


「ほかにも作った歌とかはあるの?もしあったらまた聞かせてほしいわ!それにしてもどうしてこんなにも歌やダンスがうまいのかしら。父さんは音痴だし母さんも歌はそんなに得意じゃないのに。ダンスも見たことない振りつけばかりだったわ。」


(ジン、音痴なのか…。)


「ほかにもあるけど、きょうはもうつかれたからまたこんどみせるね。」


「父さんもみたい!リンの可愛い姿は全部この目におさめるぞ!!」


急に会話に参加したジンの言葉にリサと笑いながらその日はまったりと過ごした。



そして、次の日俺はジンとともにE級ダンジョンにいた。

本当であれば今日は休息日だったがジンに頼み込んで連れてきてもらった。最初は一人で行こうとしたけどさすがにそれは却下された。


  「ダメだ!いくらE級で魔物も弱いとはいえダンジョン内はとても広いし魔物の数も多い!それに思いもよらないところから魔物が飛び出してくることもある。父さんたちでさえ万が一を考えて6人パーティーで攻略しているんだぞ!」

  「じゃあとおしゃんもいっしょについてきてよ。とおしゃんすごくつよいし、ほんとうはひとりでもよゆうでこうりゃくできるでしょ?」

  「それはそうだが、、、」

  「・・・だめ?」


小首をかしげて上目遣いでジンに頼むとジンが胸を抑えて倒れた。そしてダメ押しの一言。


  「ぼく、とおしゃんとだんじょんでえとしたいな。」

  「はい、よろこんで!」


正直とてもチョロかった。ちなみにリサは快く送り出してくれた。何なら弁当も持たせてくれた。送り出しの一言が「魔石を一杯持って帰ってきてね~」だった。


ということで目下魔物を討伐中だ。一応7階までは昨日設置した転移ポータルでいけるのだが、せっかくなら1階から攻略したかったため1階のスライムから倒している。正直言って手ごたえは全くない。そもそも1階のスライムにそこまで害はない。襲ってきたとしても引っ付くだけで攻撃力がないのだ。まあ弱酸性だから長いこと引っ付かれているとだんだん服が溶けていくそうだが。それに数だけはとんでもなく多いから一気に引っ付かれると窒息する危険もあるそうだ。まあ俺には関係ないが。


なぜなら俺は今ジンの腕の中におり、ユニークスキル”Fire”を使用中だからだ。俺の攻撃力は10でスライムの耐久力が20らしいから物理攻撃の場合は俺はスライムに全くダメージを与えることはできない。だがスキルは別だ。俺のスキルの魔法は魔物が魔法抵抗や魔法無効化を持っていない限り耐久力に関係なく相手にダメージを与えることができる。攻撃力はその時のレベルやステータスに依存するためはっきりとは分からないが、さっき俺の炎魔法Lv1を4発当てたところでスライムが消滅したからスライムの体力が20という事を鑑みるとさしあたり攻撃力は5というところか。俺の場合、1発でも当てれば歌っている間は炎が消えないからじわじわと体力を削り倒すことができる。

(まあ、歌ってさえいれば魔力も消費しないから一気に4発当てて倒してもいいんだがなんせスライムの数が多いからな。サビ以外の部分はまだ多くても3発しか炎を操れないし。)


というわけで1発ずつスライムにぶち込んで倒している。


(そろそろのどが疲れてきたな。2時間歌いっぱなしはさすがにきつい。だいぶスライムも倒したしちょっと休憩をはさむか。)


「とおしゃん、ちょっときゅうけいしたい。」


目視できる範囲のスライムが消滅したのを確認してから歌をやめジンに休憩を提案した。ジンもうなずき俺を膝の上に乗せて座り水筒を手渡してくる。


「ねえ、そろそろおろしてよ。とおしゃんもずっとおれをかかえているとつかれるでしょ?」


「だめだ。これだけは譲れない。リンが一人でも十分魔物を倒せることは分かったがそれでも万が一があるかもしれない。お前はまだ守られるべき年齢だからな。それにお前はすぐに強くなるだろうから今くらいしか守れないだろ?あと、リンは羽のように軽くてかわいいんだ!疲れるはずがない!!」


(最後の一言がなかったら感動ものだったのに。)


こんな感じでダンジョンに入る前からずっとジンに抱えられている。でもジンの腕の中は居心地がいいし安心するから嫌いではない。ただ、1点、ジンが俺を抱えて歩いていることでジンも戦闘に参加しているとみなされ魔物1匹ごとに経験値の10分の1を持っていかれているのが玉に瑕だが。それでも1匹当たり100前後の経験値をもらえてかつすでに300匹以上のスライムを倒しているため実はもうレベルが9に上がっている。頑張れば今日中にレベル15も夢じゃないかもしれない。通常、E級ダンジョンはダンジョン1階当たり3日程度かけて攻略するのだが、じゃんじゃん魔物を倒しまくったおかげでたった2時間で1階の半分以上まで進んでいる。目標は今日中にダンジョンの2階制覇だ。


そして、休憩を終えてさらに100匹ほどスライムを倒したとき、


ピロン

▶レベルが上がりました。ステータスを確認してください。

▶スキル”水魔法Lv1”を獲得しました。


レベル10に到達した。


(ステータスオープン!)


-―――――――――――――――――――――――――

名前:天神 琳 [リン] Lv10 18/10000

年齢:3歳

種族:人間

職業:???


[能力値]

体力 :40

魔力 :110

知力 :50

攻撃力:10

耐久力:10

敏捷 :20

運  :10

魅了 :70


・ステータスポイント:10


[スキル]

炎魔法Lv1 655/50000

水魔法Lv1 New!


[ユニークスキル]

Fire

―――――――――――――――――――――――――


とりあえず、ステータスポイントは魔力に振るとして水魔法をさっそく使ってみるか。

炎魔法Lv1が火の玉だったから水魔法も水の玉かな?ちょうどいいところにスライムがいるしあいつにぶつけてみよう。


手のひらを比較的近くにいたスライムに向け、手から水の玉が出るイメージをした。すると火の玉より少し大きい水の玉が出てきたが、スライムを濡らしただけで火魔法みたいに倒すことはできなかった。


(…ふむ。スライムには使え無さそうだな。でもこれもFireみたいなスキルがあれば水を口周りに固定して呼吸をする魔物の酸素を奪って倒すことができそうだ。多分昨日の感じからいくと”Water”かな。約束したし帰ってから母さんと父さんの前で試してみるか。)


色々と考えに耽っているとジンの驚いた声が聞こえた。


「おいおい!昨日炎魔法が使えるようになったところなのにもう水魔法まで使えるのか??2元素の魔法を扱える魔法士ってだけでも珍しいのに3歳でそれを習得するなんて…。ほんと、リンには驚かされてばかりだぜ。さすが俺と母さんの息子だ!」


ジンの言葉に心がポカポカしてくる。勢いでちょっと恥ずかしいことも言ってしまった。


「もっともっとつよくなってとおしゃんとかあしゃんをまもるからね。」


「なんて、なんていい子なんだ、リン!じゃあ父さんもリンと母さんを守るからな!こうなったら父さんもうかうかしてられないな。リンに負けないように父さんももっと強くなるからな!」


そういうとジンはさらに俺をぎゅっと強く抱きしめ頬ずりをしてきた。ジンに髭という概念はないのかすごくすべすべしている。


(今世の俺は本当に恵まれている。両親ガチャなるものがあれば絶対SSR級の親だろう。前世とは大違いだ。)


こんな感じで俺たちは和気あいあいとダンジョン攻略を進め目標の2階をクリアし家に帰った。レベルは15には届かなかったが、13にまで上がった。魔石も一粒が小指の先ほどの大きさで1個当たり銅貨1枚分とはいえ魔物約1200匹分のため銅貨1200枚分だ。現代で言うと銅貨1枚当たり100円の価値があるから、だいたい12万円もの金額を1日で稼いだことになる。この額にリサは目を輝かせていた。


普段は3日でだいたい5万円ちょっとくらいでそれを6人で分けるから1人当たりの日当はおよそ3000円前後なのだ。そのため防具などもなかなか新しい物が買えずいつも次のダンジョンの準備でほとんど消えていた。12万もあればリサの杖やジンの剣をもっといいものに変えることができる。俺はこのお金を二人にプレゼントすることにした。初めて渡すプレゼントがお金なのはなんとも味気ないがまだ一人で買い物に行けないから仕方ない。二人は最初遠慮していたが、これからもっと稼ぐから大丈夫だと宣言すると笑いながら受け取ってくれた。


そして今日も夕食を食べた後さっそく検証を始めた。

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