33話:動画配信
土曜、日曜とアーサーと2人、C級ダンジョンにこもって攻略と配信を続けた。
視聴者から普通に戦っているところも見たいと言われた為、2階からは車を降りて攻略を進めた。
俺は主に魔法で、アーサーは主に剣で戦ったがC級はもう手こずるなんてことはなくサクサクと進むことができた。
最初はずっと土魔法ばかりを使用していたので視聴者からは"土の魔法士じゃないか?"と予想されていた。
しかし途中から水魔法や炎魔法、風魔法も使用したところ、またコメントが殺到した。
"4属性も使えるって何事???"
"待って待って、もしかして大魔道士!?"
"いや、大魔道士は3属性だったはず..."
"ってことは...なんだ!?"
"大魔道士の上だから賢者とか!?"
「ははっ、残念!こいつの職業は大魔道士でも賢者でもないですよ。」
アーサーも視聴者たちの反応を楽しんでるみたいだ。
"えー!賢者でもないの!?"
"あと職業って何があるんだ?"
"ヒントをください!"
「視聴者がヒントくれってさ!なんかない?」
アーサーが向かってくる魔物たちを次々と切り捨てながらヒントをねだってくる。
「んー、ヒントか...歌って踊る...とか?」
アイドルといえば歌とダンスだろう。あとはファンサとかか?でもこの世界にアイドルという概念はないしそもそも職業を当てるこのゲーム自体最初から破綻しているのだ。
"歌って踊る...?そんな職業あったっけ?"
"吟遊詩人とか?でもあの職業は確かバフ専門で踊ったりはしないはず..."
"踊り子か?"
"いや、踊り子もバフ専門だし歌は歌わないでしょ"
"あーー、解らん!!"
"どんなのか見せてくれ!"
「はいはい!俺、"Fire"が見たい!最近ずっと"Wind"と"Earth"ばっかだったからさ!」
視聴者のどんなのか見たいというコメントに剣を振り回しながらいち早くアーサーがリクエストをしてきた。
(なんでお前も視聴者側なんだよ。)
"ファイアって何?"
"ウィンド?アース?なにかの呪文か?"
コメント欄が好奇心とクエスチョンマークで埋まり始めた為、仕方なくアーサーのリクエストに答えてやることにする。
今日はまだ1回も使っていなかった腰元の剣を抜き取り、実は持ってきていたハンスさんに貰った音源をアーサーに渡して曲を流してもらう。
「では視聴者の皆さん、今からこいつが"Fire"って曲を披露してくれるんでお楽しみに!ではミュージックスタート!」
アーサーがノリノリなのがちょっと腹立つが視聴者の前だから大目に見てやる。
ーさあ、始めようか
準備はいいかい?
目をそらさないで
よく見ていて
これはまだ序章に過ぎない
剣を構えて昨日のように剣に炎を纏わせる。そのまま踊るように走り出し前方の魔物たちを切り伏せていく。1度俺に斬られた魔物は少しの傷からも炎が燃え広がりあっという間に魔石を残して消滅する。
ー君の瞳、君の唇、君の指先
頭からつま先まで君のすべては俺たちのもの
よそ見をする暇なんて与えない
邪魔するものは消してしまおう
俺たちの炎はすべてを飲み込む
何十体ものブラックウルフの群れに炎玉を一斉に打ち込み、それらを避けて向かってきたものたちを剣で対処する。
まずは左にステップを踏み飛びかかろうとしていたブラックウルフの首を跳ね飛ばす。次に振り抜いた右腕を切り返して頭上の個体の頭を突き刺して炭に変え、上に身体を伸びあがらせると同時に地面を強く踏み込んで足を真上に振り上げてバク宙し、こちらを見上げる6体のブラックウルフたちに炎槍を放つ。そして着地の瞬間を狙ってきた8体のブラックウルフたちにはより強く炎を纏わせた剣で周囲に大きな円を描きあっという間に燃え上がらせた。
ーFire 燃え盛れ
一度ついたら消せやしない
余計なものは全部燃やして
ここからはずっと俺たちのターン
走る速度を上げながらすれ違う魔物たちをどんどん剣と魔法で倒していく。本当にステージで踊っているかのように、今もずっとこちらを見ているであろう画面の向こうの視聴者を意識しながら場を魅了する。
ーFire もう手遅れ
俺たちの炎は防げやしない
一人たりとて逃しはしない
さあ次の標的は誰だ
周囲の魔物が全ていなくなったため、1番で歌い終える。曲に集中していてずっとコメント欄を見れてなかったため、確認するとものすごいことになっていた。
"何今の!スゴすぎ!"
"炎が生きてるみたいだった!!"
"剣も使えて魔法も使えるんなら魔剣士じゃないの!?"
"もう終わり!?もっと見たい!"
"戦ってんのに踊ってるみたいだった!"
"カッコよすぎなんだけど!"
"次元が違う"
''これがAランクか..."
"もっと見せて!"
"顔みたい!"
"他にもあるのか!?"
"炎舞って感じだった!"
"弟子にしてくれ!"
"これでイケメンだったら絶許"
まさにコメントの嵐だった。今もどんどんコメント後流れて言っている。
「うわ、すげ。視聴者1000人超えてるじゃん!」
呆気にとられてコメントを眺めていると魔石を集め終えたアーサーが戻ってきた。
「ははっ、イケメンだったら絶許だってさ。どうする?」
「...どうするって、なにが。」
"うわー、この感じ、絶対イケメンだ。"
"顔見せてよー!"
"神はなぜ贔屓をするんだ"
"この世に神はいない..."
"いや、まだイケメンと決まった訳ではない!神は公平なはずだ!"
"wwwwwwwww"
"大丈夫、男は顔だけじゃないよ...wwwwww"
"ちくしょうっ"
「まあまあ、皆さん落ち着いて!こいつの顔が見たかったら職業を当ててくださいね〜!ちなみに男性の皆さんには残念なお知らせですがこいつ、めちゃくちゃイケメンです」
コメント欄を見ながらアーサーが楽しそうに話している。それに対し、お前もよく見たらイケメンじゃねぇか!イケメン滅びろ!というようなコメントが殺到し、笑いを巻き起こしていた。
そんな感じでこの日は配信をしながらゆったり攻略し2階層の攻略を終えた。




