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異世界でもアイドルデビュー!?~アイドルの経験を活かして無双します~  作者: Nanairo


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21話:オリエンテーション?

「さて、では全員自己紹介を終えたところで履修について話しましょうか。今年は今までとは違って大きな変更点があるのでよく聞いておいてくださいね。」


最後の子が自己紹介を終えた後、ミホーク先生はみんなの視線を集めて話しだした。


「まず、基礎科目の受講についてですが、SSS1~10クラスに配属された君たち200名の生徒は免除となります。今後も1か月ごとの筆記試験で7割以上取れば授業は免除される予定です。」


ミホーク先生によれば、国語や古代語、数学など前世にもあったような科目については試験さえ点数を取っていれば受講しなくても良いとのことだった。これらは本来必修科目で1日の半分以上を占めていたためだいぶ時間が空くことになる。


「先生…。その、テストで7割以上って、難易度はこの前のクラス分けテストみたいに難しいものが出るんでしょうか。」


基礎科目の授業免除に一瞬クラスが沸き上がったものの、その後の”1か月ごとの試験で7割以上取得”という条件にすぐにテンションが盛り下がっていた。


「あー…。それは大丈夫ですよ。これからのテストは平均点が6割くらいになるように調整して作成しますので。クラス分けテストの時は困難な問題に対面したときに皆さんがどう解決に当たるのかを見るためかなり難しく作られたようですから。」


その言葉を聞いて全員ほっとしているようだった。


(まあでも授業がない分自分で勉強の時間を作らないといけないという点では大変だと思うが…。)


俺は前世の知識もあるしダンジョン学や職業学くらいを勉強していれば問題ないだろう。


「そして皆さんは基礎科目がない分、実践授業を多く受けてもらうことになります。これから1か月間、月~水曜日はSSSクラス合同での基礎演習、木・金曜日は職業別に分かれての実践演習が主な流れになります。去年までとは異なり、選択科目の一般授業がなくなった分、だいぶハードなスケジュールとなっています。これも崩壊まであと10年となったS級ダンジョンの対策のためです。10年後、おそらくこのSSSクラスに属する皆さんの多くが最前線で戦うことになるでしょう。その時皆さんが国の希望となって戦えるように今年からこのようなカリキュラムになっています。」


ミホーク先生の言葉にみんな覚悟を決めた顔をしている。アーサーもめらめらと闘志を燃やしているようだ。


「ま、重い話をしましたが皆さんはまだまだひよっ子です。一人でも多くの人がAランク、Sランク冒険者となれるようこれからビシバシと指導していくので皆さんきちんとついてきてくださいね。」


以外とスパルタな人の様だ。笑顔なのにどこからか感じる威圧に全員ビビっているようだ。


「さて、今日はオリエンテーションのみで解散予定となっていますが、時間がもったいないのでさっそく基礎演習を行いましょうか。皆さん今日は体操着を持っていますか。なければ制服のままでもかまいませんので1時間後にSSS1演習場に集合してください。軽く体を動かしましょう。」


そういうとミホーク先生は意気揚々と教室を出ていった。クラスの奴らはというとさっそく授業を受けられることに喜んでいるようだ。普通予定外に授業が入ったら不満の声が聞こえてきそうなものだがさすがSSS1クラスに配属されたというだけあって向上心があるやつらばかりみたいだ。アーサーなんていつ着替えたのかもう体操着になっている。


(本当に女子もいるのにこの一瞬でどうやって着替えたんだ?)


アーサーは俺の疑問にものともせず早く行こうとせかしてくる。あいにく俺は今日体操着を持ってきていない(寮に荷物としてまとめて送ってしまった)ので制服のまま行くことにする。他の奴らも制服と体操着半々といったところだ。


演習場に行く際に同じ階の他のSSSクラスを窓越しに見たがどこもまだオリエンテーションが終わっていないようだった。ちなみにSSS2クラスはライラ先生、SSS3クラスはアネッサ先生が担任らしい。クラスによって全然教室の雰囲気が異なっているのが少し面白かった。


俺たちが演習場に着くとミホーク先生とエリック先生もいた。どうやらミホーク先生に引っ張ってこられたようでルンルンなミホーク先生とは対照にブスッとしている。今日は休みだったようで寝ていたところをさっきミホーク先生にたたき起こされたらしい。


「あー、このクラスの副担任のエリックだ。職業は剣豪で近接戦闘を担当している。今日は休みだったところをこいつにたたき起こされた機嫌が悪い。その分ビシバシいくからよろしく。」


”やつあたりします”宣言にクラス一同引き気味だ。


「さあ、じゃあ早速、皆さんあちら側の壁に一列に並んでください。」


ミホーク先生はエリック先生の皮肉を無視し、攻撃力テストのときに使用した壁を指さした。俺たちは言われた通り壁の前に一列に並ぶ。


「今からある音楽を流します。皆さんはその音楽が終わる前までに反対側の壁に行き、タッチしてもらいます。これを永遠に繰り返し、2回連続で間に合わなかった者から脱落していきます。終わったものは速やかに私のもとへ来てください。なお、音楽はだんだんスピードが速くなるので気を付けてくださいね。あと純粋な基礎体力を見たいのでスキルは一切禁止とさせてもらいます。」


(シャトルランみたいなものか。アイドル時代によくやらされたな。まあ今回は20mじゃなく100mだが…)


「あ、あとエリック先生も一緒に参加しますので全員エリック先生に勝てるように頑張ってください。」


「何ぃ!俺はそんなこと聞いてないぞ!!お前がやればいいじゃないか!」


エリック先生も初耳だったようだ。本気で驚いている。だが何かをミホーク先生が耳打ちすると一瞬顔が青ざめ、その後しぶしぶといった感じで俺たち同様壁の前に並んだ。


(一体何を言われたんだ…)


「じゃあ始めましょうか。音楽はさっき聞いてもらった通りです。あれが鳴り終わる前までに反対側の壁に触れてくださいね。では…スタート!」


ミホーク先生の合図とともに音楽が鳴り始める。音楽はいたってシンプルで前世と同じようにだんだんと音階が上がっていくものだった。全部で20音あるようで、1音で5m進めば間に合う計算だ。


はじめは約30秒かけて100mを走ればよかったためどの子も余裕の表情だ。「これなら余裕じゃね?」と軽口をたたいている子も結構いる。でもシャトルランの怖いところはこれからだ。誰もが最初のゆっくりさに油断するのだが、これを10回、20回繰り返して初めてそのしんどさに気づく。マラソンとは違い一定のスピードで走り続けるわけではないので息も上がりやすいのだ。


思った通り10回ほど繰り返したところで息が切れ始める子が出てきた。それに今回は特に100mだ。10回繰り返すと1㎞走ったことになる。


(なるほどな。戦闘中はずっと一定のリズムで動き続けるわけじゃない。だからマラソンよりはこっちの方が基礎体力を見るにはうってつけってわけか。)


皆息が切れても粘り強く頑張っていたが、30回を超えたあたりからだんだん脱落者が出てきた。ちらっとアーサーを見てみたがアーサーはまだまだ余裕そうな表情だ。エリック先生なんかあくびをしている。


40回くらいから100m20秒ペースになってきた。現段階で残っているのはクラスの約半分とエリック先生だ。何人かはすでにぜえはあと苦しそうな息をしている。


50回。100m18秒ペース。残っているのは俺とアーサー、クラス分けテストで3位~5位だったギルダ、メイ、リューク、そしてエリック先生だ。アーサーも含め他の子たちも少し息が切れ始めている。


60回。100m16秒ペース。普通の12歳の子たちであれば全速力で走ってやっと出せるようなスピードだ。ここらへんでまずメイが脱落。他の子たちもギリギリで走っているといった感じだ。アーサーはスピード的にはまだ余裕があるがそろそろ息がしんどそうだ。


70回。ペースは変わらず100m16秒ペース。ここでとうとうギリギリでついてきていたリュークが間に合わず脱落。ギルダもその後すぐに2回連続で間に合わず脱落となった。これで残るは俺とアーサー、エリック先生だけとなった。


80回。100m14秒ペース。アーサーもここらへんで大分余裕がなくなった。スピード的にもギリギリといった感じだ。俺とエリック先生より半歩ほど遅れだした。


90回。同じく100m14秒ペース。アーサーは何とか根性で食らいついている感じだ。1回間に合わなかったことがあったが、その次で何とか挽回し脱落を免れていた。


100回。100m12秒ペース。ここでアーサーがスピード的に間に合わず脱落となった。体力も限界だったようで脱落となった瞬間その場に大の字で倒れこんでいた。一歩も動けない様子だったのでミホーク先生が風魔法で浮かして運んでいた。これで俺とエリック先生の一騎打ちになった。俺も実は体力的にもスピード的にもそろそろ限界なのだが、エリック先生はまだ少し息が切れているだけで余裕がありそうだ。


110回。100m12秒ペース。というか10歳で100m12秒で走れていることを褒めてほしい。エリック先生ともだいぶ体格差があり(つまり足の長さから違う)、その時点で大きなハンデを背負っているようなものだ。


120回。100m10秒ペース。マジで根性で走っている。前世なら世界陸上出場どころの話じゃない。この歳で100m10秒は世界記録になるだろう。もう自分の心臓の音しか聞こえない。耳元で爆音でなっているようだ。足の感覚もほぼなく、口で呼吸をしているから気管や肺が痛い。もうエリック先生を気にする余裕も残っていない。足が今にももつれて転びそうだ。


130回。100m10秒ペース。本当になんでこんなに頑張っているのかと一瞬我に返ったが、前世から俺はとことんやるタイプ、いわゆる負けず嫌いでただただ負けたくないという気持ちだけで走っていた。


(あー。しんどい。肺が痛いし今すぐにでも地面に倒れこんで寝転がりたい。でもやっぱ負けたくない。)


しかしさすがに140回で100m8秒ペースになると物理的に間に合わず、141回で脱落となってしまった。脱落となった瞬間、身体の力が抜けてアーサーと同じように地面に大の字に倒れこむとエリック先生から声がかかった。


「リン、……やっぱ、お前、…すごいな。…100m10秒ペースについてきたときも驚いたが、……まさか、俺と、引き分けるなんて…」


どうやらエリック先生もスキルなしで100m8秒で走ることは難しかったらしく、俺と一緒に脱落となったらしい。しかし一切しゃべれず体を動かせない俺と違って体力的にはまだまだ余裕がありそうだ。エリック先生は一歩も動けない俺を抱えてミホーク先生のもとに戻った。


(くそ、結果的には引き分けだけど実際は負けたようなもんだ。悔しい…)


みんなのもとに戻るとほとんどのクラスメイトから賞賛された。アーサーは悔しいと言いながらもたたえてくれた。


「さて、皆さんの基礎体力が把握できましたので今からは基礎戦闘力を見せてもらいます。スキルも使用していいので皆さん全力で私にかかってきてください。」


ちなみに俺は免除された。戦闘力はランク認定試験のときに見たから大丈夫とのことだった。まあ、今戦えと言われても足はガクガクだしまともに戦えないだろうから助かった。


そして全員の基礎戦闘力を見終わったあと、ミホーク先生からある提案があった。


「みなさん、お疲れさまでした。これで皆さんの基礎体力と基礎戦闘力を大まかに把握することができました。明日からの基礎演習では今日皆さんに個々にお伝えしたポイントに留意して授業を受けるようにしてください。そしてギルダくん、メイさん、リューク君はすでにEランク程度の実力はあると判断しました。そのため、私とエリック先生の権限により3人をEランク冒険者として認定します。明日からの基礎演習は免除とし、担当講師とともに月~水はE級ダンジョンでレベルを上げ、実力を磨いてください。そしてアーサー君、君はCランク冒険者に認定します。実力的にはBランクでも問題はないでしょうがまだまだ粗削りな部分があるためCとさせていただきます。アーサー君も明日からC級ダンジョンに行きましょう。あ、リン君も言わずもがな基礎演習は免除です。いったん明日はアーサー君と私たちとともにC級ダンジョンに行きましょうか。」


思ってもみない提案だった。もともとダンジョンには交渉していくつもりだったし好都合だ。


「他の皆さんも早い段階で実力が十分だと判断すればランク認定をし、ダンジョンに行ってもらいますのでそのつもりで励んでくださいね。では今日は解散です。明日はいったん8時に着替えた状態で鑑定の儀を受けたスタジアムに集合してください。ダンジョン組はそこから移動してダンジョン攻略に行くので荷物の準備もしておいてくださいね。」


こうして学園生活1日目が終了した。

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