表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でもアイドルデビュー!?~アイドルの経験を活かして無双します~  作者: Nanairo


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/27

15話:アイドル活動開始

「ハンスさん、わざわざ宣伝しなくても…」


俺はあの後ハンスさんに抗議の意を込めて言葉をぶつけたが、「まあまあ、いいじゃないですか~」と軽く流されてしまった。エリック先生とミホーク先生からは同情の目を向けられ、ライラ先生とアネッサ先生からは期待の目を向けられた。


「そうだ、こうしてはいられません。リン君、さっそく準備をしますよ。」


「準備…ですか?」


そうして俺はあれよあれよという間に控室のような場所に連れて行かれた後、服をひん剥かれ、新しい服を着せられた。上は黒を基調としたシャツに赤のベストを着用し、その上からまた黒のロングコートを着た。袖口と襟もとには金の刺繍が施されており高級そうな見た目になっている。そして右の肩口には深紅のマントがついており、動くたびにひらひらと翻っている。下は白のぴっちりとしたパンツに黒のロングブーツだ。ブーツにも外側縦に金色の刺繍が施されている。そして腰元はロングコートの上から金と黒のベルトで引き絞られ、引き締まったシルエットが作り出されている。


(いや、ナニコレ。前世で来てたような衣装と似てるんですけど…。)


そう、前世でよく来ていたようなめちゃくちゃアイドルっぽい衣装だった。衣装に戸惑っているとどこからともなく現れた3人の女性に髪のセットと簡単なメイクも施された。


「いや、何、何ですかこれ???」


戸惑っているとやっとハンスさんから説明があった。


「リン君のユニークスキルを分析した結果、”魅せる”という事にこだわればこだわるほど他者のステータスアップに効果があるのではないかという結論に至りまして。」


「どういうことですか?」


「まず、この前歌ってもらった時、基本の型とそうでないアドリブバージョンの両方を披露してもらいましたが、実はステータスアップには両者ともそれほど差はなかったんですよ。そして二つ目、リン君が良く目線を飛ばしていたアーサー君や前列の子たちと後方の子たちではステータスアップに差がみられたんです。さらに三つ目、鑑定の儀の時の話では君のお父さんは7年間ずっと君の歌声を誰よりも近くで聞いていたという事になりますよね。でもそれにしてはステータスも上がってはいましたがその上昇幅の計算が合わないんです。これらのことから我々は①リン君がより自分を”魅せる”こと、”魅せようとする”ことでステータスが上がるのではないか。②リン君をより近くで見た者の方がステータスが上がるのではないか。という二つの結論に至ったわけです。また、基本の型に関わらず、リン君の”魅せる”という意識によって変わるのであれば、それは今リン君が持っているスキルとは別の特性によるもの、すなわちアイドルという職業によるものではないかと仮定し、③ユニークスキル以外の曲でもステータスアップにつながるのではないか、という仮説を立てたというわけです。」


(おお、すごい研究者っぽい。よくこの短期間でそこまで分析で来たな。)


なるほど、それでこの衣装とメイクか。でもこの感じまだほかにも用意しているものがありそうだな。


「もしかして、まだほかにも用意しているものがあるんですか…?」


そう聞くとハンスさんはよりいっそう顔を明るくさせ、よく聞いてくれましたと言わんばかりに話し始めた。


「ええ!もちろん、これだけではありません!この2日間で私が所長をさせていただいているスキル研究所の技術職員を総動員し、さっき私が使った声を拡張する機械に加え、リン君の様子を後ろの人でも十分見れるようにリン君を拡大して映し出す機械も開発しました!」


(マイクとプロジェクターか。この2日間でそれを1から作ったのか…?いや、すごすぎるだろ。)


「驚くのは早いですよ。まだ試作段階ですが、私たちが一番時間をかけたのがこれです!リン君、試しにこれを額に当てながら何か1曲頭に思い浮かべてみてください。」


俺は言われた通り、渡された野球ボールくらいの機械を額に当て、Fireを頭に思い浮かべた。10秒くらいそうしていると機械からピピッと電子音が響き、ハンスさんに言われるまま球体の上面についているボタンを押した。


するとどういう仕組みか分からないが前世で俺たちが作ったFireとほとんど同じものが再生されたのだ。いくつか音の抜けや違いがあるがそれでも一瞬でFireだと断定できるものだった。


「すごいです!これどうやったんですか!?」


「ふふふ、それは企業秘密というものです。ですが、それがあればよりリン君もパフォーマンスしやすくなるのではないですか?まだ試作段階ですのでいくつか改良を加えないといけませんが今日のところはそれを使ってください。他の曲も同じようにできますので後はリン君が今日歌ってくれる順番に曲を思い浮かべていってください。」


(ここまでされたら俺も頑張らないわけにはいかないな。それにやっぱ曲有りで歌うのはワクワクするし。俄然やる気が出てきた。あとはセトリだな。)


「ここまでしていただいてありがとうございます。俄然やる気が出てきました。曲は何曲歌えばいいですか。」


「いえいえ、リン君のためもありますが、人類のためでもありますからね。曲はそうですねえユニークスキルの4曲に加えできたらあと4曲ほど歌っていただけるとありがたいですね。」


(そうか、俺が歌ってみんなのステータスが上がるとしたらダンジョン攻略にも役立つし10年後にS級ダンジョンがもし崩壊したときの希望になるもんな)


「分かりました。そしたら8曲歌わせていただきますね。」


(追加の4曲はアルバムのサブタイトルでいいかな。セトリもアルバムの発売順にしよう。)


ぱぱっと曲とセトリを決めた俺はさっそく機械に曲を読み取らせていく。


そうこうしていると1時間が経ったので俺はハンスさんと一緒に競技場に戻る。今回俺が歌う場所は競技場の前面、観客席真上の開けた場所だ。横幅が10メートル、奥行きが5mほどあり、ちょっとしたステージのようになっている。そこに立つと競技場の人たちを全員見下ろす形となり、顔もよく見える。

俺がステージに立つと驚きの声とともに黄色い歓声が沸いた。どうやら衣装は成功のようだ。


(ん?なんか人数増えてないか?)


よく見ると教職員と受験者たちに加えどこから聞きつけたのか上級生のような生徒もまあまあいるのが見て取れた。


(これ、全部で5000人くらいいそうだな。アーサーは…あいつまた一番前にいる。ポジ取り最強か?)


アーサーが俺を見てブンブンと手を振ってくるので俺も振り返した。すると生徒たちからまた黄色い歓声が上がった。中には野太い歓声もあったが。


横を見るとハンスさんから親指を立てられた。準備はOKみたいだ。俺の両隣には巨大スクリーンがたらされ、そこに俺の姿が映し出されている。ほぼ動きにタイムラグもないようだ。俺も呼吸を整えるとハンスさんに頷き返した。ハンスさんはそれを確認した後、球体の機械を操作する。


数秒後、競技場全体にFireのイントロが響き渡った。生徒や教職員たちは急に聞こえ始めた曲に目を丸くしてびっくりしている。みんなの驚きをそのままに俺はマイクを持って最初のフレーズを歌い始めた。



ーさあ、始めようか

 準備はいいかい?

 目をそらさないで

 よく見ていて

 これはまだ序章に過ぎない



俺はステージの前ギリギリまで行くとしゃがみこんで口角を上げ、まずはアーサーやクラスの子たちと目線を合わせて指さしながら歌った。


雷君のパートが終わった瞬間にテンポが一気に上がる。それに合わせて俺は立ち上がるとともにそのままバク中を決め煉くんのパートに移った。



ー君の瞳、君の唇、君の指先

 頭からつま先まで君のすべては俺たちのもの

 よそ見をする暇なんて与えない

 邪魔するものは消してしまおう

 俺たちの炎はすべてを飲み込む



ここのダンスは原曲そのまま、煉くんの魅せ方で俺も観客を魅了する。激しく踊るたびに右肩のマントがひらひらと舞いまるで炎が揺らめいているようだ。



ーFire 燃え盛れ

 一度ついたら消せやしない

 余計なものは全部燃やして

 ここからはずっと俺たちのターン



ここで一気に何百もの炎を空中に出現させる。その炎をどんどん大きくしていき、近くの炎と合体させながら競技場全体を炎のドームで覆う。まばゆいほどのオレンジ色の光が競技場全体を照らしている。



ーFire もう手遅れ

 俺たちの炎は防げやしない

 一人たりとて逃しはしない

 さあ次の標的(ターゲット)は誰だ



右に左にステージをめい一杯使いながら全員の視線を俺一人にくぎ付けにする。観客のテンションも最高潮だ。



ー許してくれって?

 それは聞けない相談だ

 君もそれは分かってるんだろ?

 だってもう火はついてる



2番に入ってもビートはそのまま上下が激しい音程を難なく歌い上げる。時折がなりを入れて観客の耳を楽しませることも忘れない。



ー誤魔化したって無駄さ

 目を見ればわかる

 君の心にともる炎

 初めからチェックメイトだったんだ



ここで一度間奏に入る。原曲では7人全員が次々とアクロバティックな動きを加えていく場面だった。今回は代わりにウインドミルを披露する。下から見るアングルだと普通だったら見にくいだろうが、ハンスさんのおかげでプロジェクタ―があるから大丈夫だろう。



ー俺たちに出会ったのが運の尽きさ

 ハハハ もう諦めな

 満更でもないんだろ?

 最後の一押しは俺たちに任せな

 Don't worry, ha ha



間奏が終わった後はそのままCメロだ。ここは一度テンポを落として再度観客に語り掛けるようにゆったりと歌う。そう、ここで得物を仕留め切る気持ちで慎重に、そして大胆に。



ーFire 燃え盛れ

 一度ついたら消せやしない

 余計なものは全部燃やして

 ここからはずっと俺たちのターン


ーFire もう手遅れ

 俺たちの炎は防げやしない

 一人たりとて逃しはしない

 さあ次の標的(ターゲット)は誰だ



最後のサビの部分、ここは転調を入れながらどんどん音程を上げていき、ラストのフレーズで今度は逆に音程を1オクターブ下げ、首をかしげながら低く、新しい獲物を見つけた時のように煽情的に歌い上げ曲を終えた。


歌い終えて曲が鳴りやむと同時に爆発的な拍手と歓声が巻き起こった。観客の顔を見るとどの人も頬が紅潮し曲を楽しんでくれているようだった。


(あ~、なにこれ、すっごい楽しい。)


俺はおもむろにマイクを持ちあげ、息を整えるためにも少し話すことにした。


「…今日は、時間を割いて見に来てくださりありがとうございます。試験も終わったことですし、今日は少しの間ですが一緒に楽しんでもらえたらと思います。あと7曲歌わせていただく予定なので時間がある方は最後まで聞いていただけると嬉しいです。じゃあ、さっそく次の曲に行きたいと思います。次は初めて歌う曲です。ではお聞きください。”Sunrise”」


俺が話している間も生徒たちから「楽しいよー!」とか「もちろん!!」とかいくつもの合いの手が入り、俺は笑いをこらえながらふわふわとした気持ちで次の曲に移った。


次の曲は1stアルバムのサブタイトル曲だ。タイトル曲の”Fire”が重たく激しい曲のため、こちらは対照的に軽くポップな曲になっている。曲が流れだしたのを確認して俺は2曲目のパフォーマンスを始めたのだた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ