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異世界でもアイドルデビュー!?~アイドルの経験を活かして無双します~  作者: Nanairo


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14話:クラス分けテスト⑤

クラス分けテスト最終日。


今日はなんと、受験者全員での対人戦だ。なので今日は鑑定の儀を行った場所でテストが行われる。ソロで戦ってもよし、その場でパーティーを組んで戦ってもよし。なんでもありの戦闘力テスト。またもや全員にバッチが配布され、今日もダメージが500を超え、バッジが赤く光ると退場となる。そしてもう一つ配布されたバッジがあり、そちらは総合的な戦闘力を項目別に測定してくれるものだ。戦闘中に相手に与えた合計の攻撃力、仲間を癒した回復力、ダメージを回避したり受け止めたりした耐久力なども数値として記録してくれるらしい。どんな仕組みなのかは全く分からないがこれがあることでサポート特化の職業でも公正に判定することができる。


また、バッジで判定しきれない部分はもちろん学園にいるすべての教師が観客席から戦闘の様子を観察し評価する。俺は試験の説明をしている教師の説明を聞きながら、せっかくだしアーサーとパーティーを組んでテストを受けようかと思っていると、


「あー、最後に。職業アイドルのリンは昨日までの試験で1位が確定しているため今回の試験の参加は見送ってくれ。」


とけだるそうな40代くらいの無精ひげを生やした男性教師から試験の不参加を言い渡された。その言葉に会場全体がざわつく。


「納得いきません!!」


するとどこからか抗議する声が聞こえてきた。


「1位がもう確定しているなんて!そんなの今日やってみないと分からないじゃないですか!」


どうやら抗議しているのは俺の試験不参加についてではなく1位が確定しているという部分についてだったようだ。確かに、俺ももう1位が確定しているなんてびっくりだ。アーサーもぎょっとした目でこっちを見ている。おい、こっちみんな。


「そうは言うがなあ、これはもう確定した事実なんだよ。今回の試験の満点は300点。最終的な試験の合計点数や内訳は入学式のときに開示するようになっているからそっちを見てほしいが、現時点でリンと2位との点数差は優に300点以上あるからどうあっても逆転不可なんだよ。」


「そ、そんなこと…」


まだ何か反論しようとしているが気だるげな教師はさらに追い打ちをかけるように言葉を続ける。


「それにリンが参加すると恐らくここにいる生徒の過半数はあっという間にやられてしまうぞ?昨日のテストを見たやつらなら知っていると思うが、リンはユニークスキルなしでさらにスキルもほとんど使わず上級生、しかも成績上位者を30人一気に相手してノーダメージで勝利したそうだからな。だからスキルやユニークスキルを使用禁止にしたとしても戦闘経験のほとんどないお前たちなんて一瞬でやられる。そうなるとお前たちも困るし、俺たち教師もお前らを正当に判定することができず困る。だから頼む、リン。お前には申し訳ないが今回の試験の参加は見送ってくれ。」


一斉に視線が俺の方に向く。おいおい、だからそんな目でこっちを見るなよ。まあ、そこまで試験に参加したいってわけじゃなかったから別に構わない。


「分かりました。では今日は見学させていただきます。」


その言葉に教師も周囲の生徒もほっとする。抗議した生徒と後何人かはこちらをにらんできているようだったが気にしない。


「よし、じゃあリン以外の生徒は全員準備しろ。リンは俺と一緒に来い。観客席に行くぞ。」


俺は教師のもとへ行く前にアーサーに声をかける。


「今日は見学になったから上で見てるな。俺、お前と同じクラスになりたいから今回の試験最後まで残れよ。」


俺の言葉に目を見開いた後、アーサーははにかんで力強くうなずいた。


教師と一緒に観客席に向かうと、目の下にうっすら隈を作った管理職の人もいた。


「リン君、おはようございます。さすがですね、10歳で主席入学とは。素晴らしい。」


「おはようございます。いえ、そんなことは…。それよりも大丈夫ですか。顔色が悪そうですが。昨日も迷惑をかけてしまってすみません。」


「いえいえ、大丈夫ですよ。それに昨日のは君のせいじゃありません。そうだ、今日この試験の後また何曲かここで歌っていただきたいんですがいいですか?分析している中でちょっと面白いことを発見しまして。あと、ユニークスキル以外で何か歌える曲もありますか?それも歌っていただけると助かります。もちろんお礼は弾みますよ。」


と依頼があった。まあすでに何回かは歌っているし、この人には昨日も助けてもらったので快諾した。


「いいですよ。曲もユニークスキル以外にも何曲か歌える曲はあります。お礼はまた昨日みたいに困ったときに助けていただけたらそれで十分です。」


そういうと管理職の方は優しく微笑んでお礼を述べた。


その後は周囲の教師も交えて軽く談笑しながら試験の開始を待った。今さらだが改めて自己紹介も行った。


今俺の右隣に座っている気だるげな40代に見える教師は近接戦闘担当のエリック先生で何とまだ28歳なんだそうだ。40代と勘違いしてごめんなさい。そして俺の真後ろに座っているのが魔法戦闘(水・風)担当のライラ先生で年齢は永遠の17歳と言っていた。だがすぐにエリック先生に35歳とばらされ杖をエリック先生の顔面にめり込ませていた。うん、永遠の17歳、承知した。エリック先生の後ろ、ライラ先生の右隣に座っているのがライラ先生の妹で魔法戦闘(炎・土)担当のアネッサ先生。アネッサ先生もライラ先生に負けず劣らずの美人で首元で揃えられた短髪がとても似合っている。こちらも年齢は秘密と言っていたのに懲りないエリック先生に31歳とばらされ、エリック先生の頭をわしづかみにし、燃やしていた。エリック先生、その年でハゲるのはつらいと思うよ。最後に管理職の人、ハンスさんの真後ろ、ライラ先生の左隣に座っているのがランク審査でお世話になったミホーク先生だ。この人もエリックさんと同じ28歳らしい。学園に通っていた時はエリック先生とパーティーを組んでいたらしい。今もたまに二人でダンジョン巡りをするんだとか。


そんな感じで話していると漸く試験が始まった。アーサーを探すとこの4日間一緒に試験を受けてきた子たちと一緒に固まっていた。円の形になって全員で背中を守り合い、一番外側が近接職。その後ろが魔法戦闘職、さらに後ろが遠距離戦闘職、そして真ん中にヒーラーを配置している。近接職も剣士と盾士を交互に配置しているみたいだしなかなかいい配置じゃないだろうか。アーサーはその輪から少し外れたところにいる。多分遊撃隊見隊な役割で戦うのだろう。


他の子たちを見ると3~7人ずつでパーティーを作っていたり、誰とも組まずに一人で戦っていたりと様々だ。


さっそくアーサーたちの方にいくつかのパーティーが向かっていったのが見えた。同じクラスの何人かが委縮しているみたいだったがすかさずアーサーがそこに助けに入り6人パーティーのうち2人を撃破。それをみて近接職の子が何人か戦闘に加わり、後ろから魔法士の援護もあって6人パーティー全員を撃破。その後はアーサー以外すぐに元の位置に戻り、ダメージを負った子はヒーラーの子の助けで回復していた。


「へえ、あそこ、なかなかやるな。あれを指揮しているのは君の友達みたいだな。」


エリック先生が感心したように言う。アーサーは戦いながらもクラスの子たちの状況を見極め、指示を飛ばしているようだった。そしてクラスの子たちもアーサーの指示通り、いや、それ以上に動き未だ誰一人として脱落していない。


「この短時間であの陣形を思いつき、実行に移すのもすごいですね。それに他の子たちも仲間を信頼してないとなかなかあの動きはできないと思います。」


ミホーク先生の言うように、ここにいる受験生たちはまだ出会って5日目だ。即席のパーティーを作ったとしてもこれは個人戦のため100パーセント信頼して背中を預けることは難しいだろう。実際既にいくつかのパーティーは仲間割れを起こし自滅している。


しかし俺たちは昨日のハプニングもあって互いにだいぶ打ち解けることができた。そのため他のパーティーに比べても結束力は段違いに高い。おそらく周囲に誰もいなくなるまで自ら崩壊することはないだろう。


「ヒーラーの子もすごいわね。入学したての子だとスキル発動するのも失敗する子が多いのにあの子今のところ100%発動に成功しているわ。」


ライラ先生の言う通り、あの子は攻撃力テストのときは発動に失敗していた。でもだいぶ落ち込んでいたからその後も恐らくたくさん練習したのだろう。それを今日の本番でさっそく活かすとはすごいな。


そろそろ受験者数も残り100人程度になってきた。すごいことに俺たちのクラスはまだ誰も脱落していない。ダメージが500ギリギリになった子たちが円の内側に入り2列目と交代していたからだ。しかしもうヒーラーの子の魔力も底をついたようで魔法士の子たちもほとんど魔力が残っていないようだ。近接職もずっと前線で戦っていたから体力の限界っぽい。


「残りはあと70人程度だ!他の奴らもだいぶへばってる!ここまで誰も脱落せずに来たんだ、最後まで頑張ろう!!みんなで上位に入ろう!もしやばそうだったら声を上げてくれ!俺が守りに行く!!」


アーサー自身も誰よりも動いて疲れているはずなのにその疲れを一切見せることなく他の子たちに檄を飛ばしている。だんだん目線が下がってきていた子たちもアーサーの声に元気を取り戻したみたいだ。


(こんなかっこいい10歳いるか??)


「何あの子、かっこいい!!私、キュンとしちゃった。」


「確かに、10歳とは思えない胆力と精神力だ。みんなあの子の言葉で目に力が戻ったようです。」


アネッサ先生の言葉にミホーク先生も同意を示す。


アーサーは円からつかず離れずの距離でどんどん残りの子たちを撃破していく。クラスの他の子も最後の力を振り絞ってアーサーを最大限援護する。そしてとうとう残ったのはアーサーたち34人と最初に抗議していた子を含めた3人だった。


よく見ると3人とも俺をにらんできていた子たちだ。身なりからして3人とも貴族でレベルも多分そこそこあるのだろう。


するとおもむろに3人のうちの一人がアーサーに向かって言葉をかけた。


「ねえ、そっちは約30人、対してこっちは3人。卑怯だと思わない?」


(何言ってんだ?なんでもありの戦闘だろ。それに最後まで34人全員で残ったのはアーサーたちの実力だ。卑怯もくそもあるか。)


だがアーサーは相手の駆け引きに乗ってしまった。


「それもそうだな。じゃあ俺一人で相手になろう。」


「アーサー!」

「アーサー君!」


アーサーの申し出に相手側はばかにしたような嘲笑を向け、クラスの奴らはアーサーを心配する声を上げた。


「大丈夫。この中で一番元気があるのは俺だからな。あいつらと戦った後、最後はみんなで決着をつけよう。」


ニカっと安心させるような笑みをクラスのみんなに向けた後、アーサーは3人と向かい合った。


「じゃあやろうか。」


アーサーの合図で3人はいっぺんにアーサーに向かって駆け出し、攻撃を放つ。魔法士の女の子の攻撃を剣ではじいた後、剣士の子の剣戟を受け止めそのまま体をひねって受け流し一太刀浴びせた。そして抗議していた男子の剣を体勢を低くして躱したあとに足払いをかけ転ばしながら攻撃を与えていた。


「あいつ、戦い慣れてそうだな。剣の扱いもうまいし体の動きも無駄が少ない。あれだけ動いても他の奴らより疲れないのは力の抜きどころを把握しているからだろう。」


エリック先生が冷静に分析している。確かに攻撃を避けるときも少し体を動かすだけですれすれで避けているもんな。


最初はニヤニヤと余裕の表情をしていた3人もアーサーの実力の高さに焦りをにじませてきた。


「なんっで、攻撃が、当たらないんだ!!」


「おい!お前ちゃんと魔法を当てろよ!このノーコン!」


「うるっさいわね!今までアンタたちのフォローで魔法を使ってきたからもう魔力が底をつきかけているのよ!」


3人は戦いながらもギャーギャーと見にくい言い争いをしている。これには先生たちもため息をついている。


(おいおい、あの3人は今も試験中で教師たちに評価されていることを忘れているのか?)


そのうち、剣士の子のバッジが赤く光り脱落。続いてすぐに遠くから魔法を放っていた女の子もアーサーが聖剣Lv3をぶつけ脱落。最後まで残った抗議をしていた男子もアーサーの怒涛の剣戟により脱落。これで残ったのは俺たちのクラスの34人だけとなった。


これには教師陣も感嘆をもらし、クラスの子も大はしゃぎだ。そして最後はクラス全員での決戦かと思いきや、アーサーを除いたクラスの全員が何やらひそひそと話しているかと思うと全員で手を上げて


「ぼくたち(私たち)は全員棄権します!」


と棄権を宣言した。アーサーは「えっ、なんで!?」と驚いているが、他の子たちはクスクスと笑うと、


「だって私たちがここまで残れたのもアーサー君が戦術を考えて、最後まで私たちを元気づけながら守ってくれたおかげだからだよ。」


「アーサーがいなかったら俺たちの大半は多分最初の方で脱落してたと思う。最初にアーサーが俺たちを呼び集めてこの戦略を教えてくれたからこそ、最後まで戦うことができた。」


「だから、1位はアーサー君がふさわしいと思う!」


「万が一俺たちがアーサーと戦って勝ったとしてもそれはアーサーが俺たちの何倍も動いて戦って疲労したせいだと思うから。まあ、その万が一もないとは思うが…。」


「だから私たちは棄権します!」


アーサーはクラスのみんなから次々と声をかけられ、褒められ目を白黒させながら顔を赤くしている。周りの先生たちも微笑ましいものを見るようにニコニコしている人がほとんどだ。


「いやあ、この試験でこんないいものが見れるとは思いませんでした。皆さんの意向は分かりました。ではこれにて本日の試験並びにこの5日間のクラス分け試験の終了を学園長に変わり宣言させていただきます。みなさん、お疲れさまでした。」


急に俺の隣に座っているハンスさんが立ち上がり、マイクを持って試験の終了を宣言した。


(えっ、この世界にマイクあったのか?)


俺は一人マイクの存在に驚いていると、ハンスさんが続けて話しだした。


「えー、この場を借りて皆さんに1つお知らせがあります。このあと、1時間後にまたここでリン君に何曲か歌を披露していただく予定ですので興味がある方はぜひお越しくださいね!では改めてお疲れさまでした~。」


ハンスさんの言葉に会場はさらに沸き立ち、俺は思いがけない宣伝に頭を抱えた。

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