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異世界でもアイドルデビュー!?~アイドルの経験を活かして無双します~  作者: Nanairo


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13/23

11話:クラス分けテスト③の3

あのあと、”Water”、”Wind”、”Earth”の順番で曲を披露した。2曲目からは子ども達が手拍子でリズムを取ってくれたので歌いやすかったし、コンサートのときのような一体感が出て本当にライブ会場のようだった。


”Water"はゆったりとした曲なので視覚的に楽しんでもらうため、大きな氷の城を作ってみたり、雪兎や雪だるまを作って生きているように動かしてみたりしながらパフォーマンスを行った。そして今回も歌いながら無数の水の玉を演習場いっぱいに浮かべていたが、3歳の時の失敗から歌い終える前に次々とそれらを氷の結晶に変えていき、観客に一つずつプレゼントするかたちにして歌を終えた。細部まで形をこだわって生成したため、こちらもずいぶん喜んでもらえた。歓声に混じって解けるのがもったいないという声もちらほら聞こえた。


”Wind"では観客一人一人に風魔法をかけて浮遊を楽しんでもらった。これには教師陣も大喜びだった。風魔法が使えても浮遊までできる人はなかなかいないためだ。”Wind”のサビでは、比較的簡単な振り付けが多いので、風魔法を細かく操ってランダムに数人ずついろんな人に踊ってもらった。体が勝手に動くので、強制Shall we dance?をされた人は最初は目をぐるぐる回していたが、すぐに他の子たちも俺も!私も!と踊りたいアピールをしてきたので面白かった。もちろんアーサーは俺の近くに引き寄せて踊ってもらった。実は、ここにいる全員を一気に躍らせることもできたので、最後は全員に風魔法をかけて一緒に踊った。学園長にもかけたので顔はぎょっとしながらも踊っていた。ちょっと睨まれたが気にしない。


最後の"Earth”では500体ほどの人型ロボット、この世界ではいわゆるゴーレムと呼ばれているものを作り、バックダンサーのように俺の後ろで躍らせた。予想通り、観客、特に男の子たちが目を輝かせて興奮しながら喜んでいた。観客の方にも数十体、約3mほどの大きさのゴーレムを作り、肩に子ども達をのせて躍らせた。子ども達はゴーレムにしがみつきながらキャッキャッと楽しんでいるようだった。この曲はバックダンサーも含めてぴったりとシンクロした軍隊のようなダンスが特徴的なので最後のサビではありったけのゴーレムを出現させて指先一つまで寸分の狂いもないダンスを披露し会場を湧かせた。そしてフィニッシュの指を鳴らす振り付けとともにゴーレムの権限を解除し、そこには初めから何もなかったかのようにゴーレムがかき消えた。


はあ、はあ、と息を切らせていると今までで一番くらいの歓声が会場全体を包み込んだ。中にはアンコールを希望する声や「リン君こっち向いて―!」など前世のファンが言っていたような声も多数聞こえた。


"Fire"の後は3曲ぶっ通しで歌ったのでさすがに疲れた。のどもカラカラだ。


(あーでも楽しかったな。それに色々と新しい発見もあったし。)


そう。実は曲の最中、3000を超える魔法を一度に操作したりしていたが、あれでもまだ全然余裕だったのだ。限界を感じなかった。それに氷の城やゴーレムのように今の魔法レベルに関係なく、想像した通りの魔法が扱えた。


(もしかしたら、本当にアイドルのように歌って踊っている間は制限なくどんな魔法も俺の想像した通りに使えるのかもしれない。…え、やばすぎない?これ、耐久力を上げて俺が倒されないようにすれば実質最強じゃないか?)


自分の可能性に打ち震えていると管理職の方が興奮気味に駆け寄ってきた。


「本当に素晴らしかったですよ、リン君!なんですかあの魔法は!あの数の魔法を一度に精密に操作できるなんて!伝説の職業の勇者でさえそんなことができた記録はないというのに!それに恐らくですが、君のユニークスキルには他の人のステータスをアップさせる効果があるかもしれません。一度持ち帰って詳細に分析してみないと分かりませんが、多分間違いないでしょう!」


(え、マジで?それは初耳なんだが。)


「ステータスが上がる…?それは本当ですか?」


「ええ、実は私の職業は鑑定士なんですが、私のスキル”鑑定”のレベルが高いおかげでここにいるほとんどの人たちのステータスを見ることができる、いや、ずっとステータスが表示された状態になっているんです。それでリン君が歌っている間も他の人のステータスが見えていたわけですが半分くらいの子のステータスがランダムに1つほど上がっていたんです。こういう私自身もリン君が歌っているときに耐久力と敏捷が1ずつ上がりました。本当にリン君には驚かされてばかりです!」


興奮冷めやらぬといった様子で管理職の方が話しているが、それには俺も驚いている。


(それが本当ならずっと俺と二人でダンジョンに潜って誰よりも俺の歌を聞いていた父さんはステータスが爆上がりしたんじゃ…?)


結局その後、周囲のやまないアンコールの声と比較検証もしたいという管理職の方の強い要望もあり、もう1回ずつ4曲歌った。今度は基本の型じゃないものを見せてほしいと言われたので歌もダンスもアレンジして披露した。アレンジverだと今までと一緒でやはりいろいろと制限がかかるようだった。でも周囲の人たちは満足してくれたようなのでよかった。


管理職の方は8曲分がきちんととれていることを確認し、学園長と何かを話した後もう一度俺のところに来てお礼と分析結果を後日伝えにくることを約束して帰って行った。


学園長も本日の試験の終わりを告げ、気を付けて帰るようにとだけ残して帰って行った。学園長だけはなぜかずっと敵意のある目で俺を見てきていた。帰る時も俺を一瞥してから帰っていたし。


(なんか嫌な感じだな。)


そんなことを思っていると魔法士の格好をした女性教師が駆け寄ってきた。


(鑑定の儀のときにもいた人だ、確か名前は…ライラ先生だったか?)


「君、さっきの本当にすごかったわ!その年齢でどうやってそこまでの魔法を身につけたの!ぜひコツを教えてくれないかしら!!」


とまくし立てるように興奮気味に話しかけてくる。


(は、鼻息が荒い。)


だがライラ先生を皮切りに他の教師や子ども達も続々と駆け寄ってきてすぐに周りを囲まれた。


「なあ、さっきの本当すごかった!もう一回踊ってくれよ!」

「リン君、こっち向いて!」

「俺にも魔法を教えて!」

「友達になって!!」

「リン君私と握手してー!」

「かっこいいー!」

「リン君私と結婚して!」

「あ、ずるいリン君は私と結婚するんだから!」

「違うわよ!リン君は私と結婚するの!」

「リン君、私と結婚してくれたら一生養ってあげるわ!」

「リン、俺の嫁になってくれ!」

「愛してる!」

「俺もお前に惚れたー!好きだー!」

「一生推します!!」


だんだん発言が過激になってきて手や足やいろんなところを触られた。おい、誰だ今俺の尻をもんだのは。一部男のコアなファンもできたようだ。嬉しいような複雑なような。ちょっとだいぶもみくちゃにされ始めたので風魔法を使って空中に逃げた。そしてざっと周囲を見渡しアーサーを見つけるとアーサーにも風魔法を付与して二人で急いで演習場を抜け出す。


ほぼ全員が追いかけようとしていたが出入口が一つしかなく、譲り合いの精神というものをみんなどこかにおいてきたのか一斉に出ようとしたためドアのところにつまり面白いことになっていた。


その間に俺たちは急いで借りている宿へ帰った。帰っているときにアーサーに誰かに尻をもまれたことを告げたら心配しながら爆笑された。おい、心配するか笑うかどっちかにしろ。何人かには俺がこの宿に泊まているところを見られており、忍び込んでくる人もいないとは限らないのでアーサーの提案でセキュリティが万全なアーサーの借りている部屋に泊まらせてもらうことにした。もちろんジンとリサも一緒だ。


アーサーの宿に移動した後、簡単に今日の出来事を話すとジンとリサは「何それうらやましい!俺(私)もみたい!」と言い出したので、俺はまた4曲分歌った。さすがに借りている宿なので派手な魔法は使っていない。炎の小鳥を出したり、氷の結晶をプレゼントしたりしたくらいだ。あとはアーサーを風魔法で終始一緒に躍らせた。ジンとリサもそれを見て自分たちも踊りたいといったので二人にも魔法をかけて結局全員で踊った。みんな楽しそうだったので何よりだ。


でも踊り終わって息を整えているときにせっかく俺が黙っていたことをアーサーが話してしまったことで空気が一変した。


「そういえば、リンが歌い終わった時の他の子たちの反応がすごかったんですよ!リンに結婚を迫る子が何人もいたんです。中には男の子も数人いました。あ、あとどさくさにまぎれて誰かがリンの尻をもんだらしいんですよ!本当、モッテモテですごい人気だったんです!」


リサはこれを聞いて「さすがジンと私の子ね!」と手をたたいて爆笑し、ジンは人様に見せられない顔になった。その顔を真正面から見てしまったアーサーはヒッ!と声を漏らしガタガタ震え出した。


「どこのどいつだ…?俺のリンに求婚したのは。リンは絶対に嫁にはやらん!!絶対だ!!それにリンの尻をもんだだと……?誰だ俺の可愛いリンに手を出したのは!!そんな不埒な輩は俺が成敗してくれる!まずはそのリンの尻を触った手を切り落とさねば…!」


何処からか取り出した剣をチャキッと構え、今にも飛び出していきそうなジンに慌てて後ろから抱き着く。


「父さん、落ち着いて。俺はどこにも嫁になんか行かないから!」


(だって俺は男だからお嫁さんをもらう側だし。なぜみんな俺が嫁に行く側だと思っているんだ?)


「それにちょっとお尻に誰かの手が当たっただけだよ!人がいっぱいいすぎてだれか分かんなかったしそんなことのために父さんの手を汚す必要はないよ。それより、俺今日結構頑張ったのに褒めてくれないの?」


必殺、上目遣い+目を潤ませてさらにぎゅっとジンのお腹に手を回す。


「お、おお、そうだな!リンはずっと父さんたちと一緒に暮らすもんな!(まあ、不埒な輩は後で必ず見つけて制裁を与えるとして…)よし、じゃあ何か頑張ったご褒美をやらないとな!何がいい??」


(うん、チョロい。ちょっと不穏な言葉が聞こえた気がしたが…聞かなかったことにしよう。)


「久しぶりに父さんと一緒にお風呂に入りたいな。学園に入ったらしばらく二人とは会えなくなるだろうし、母さんとは一緒に料理を作りたい。」


そういうと二人とも二つ返事で了承した。ジンは「しばらく会えなくなる」という俺の言葉に少し落ち込んでいるようだったが、入学するまで毎日一緒にお風呂に入って一緒に寝ることを約束すると気を取り直していた。


アーサーは俺たちのやり取りを見て笑いながらどこか寂しそうにもしていた。


(アーサーのお父さんは今ダンジョン攻略中だもんな。どんな人なんだろうか。)


「アーサーもよかったら一緒にお風呂に入らない?背中流し合おうよ。」


「いいのか!?」


「リンの友達になってくれたしこうやって俺たちのために部屋にも止めてくれているんだ。ダメな理由がない!アーサー君も一緒に入ろう!」


(元気が出たみたいでよかった。)


3人でアーサーの部屋についている風呂に入り、互いに背中を流し合った。父さんは言わずもがな、アーサーもすでに腹筋が割れておりムキムキだったことにひそかにショックを受け、俺も鍛えようと心に誓った。


この宿の風呂は3人で入ってもずいぶんとゆったりしていた。湯船につかりながらほっと一息つく。


(こいつも存外整った外見をしているんだよなあ。)


俺はどっちかというと可愛い形の顔で多分まだ今くらいの身長なら服装とかしぐさ次第で女の子に見えることもあるだろう。ジンは言わずもがなキレイ系だな。男で肌の手入れなんかしているところ見たことないのに肌艶が良すぎる。体毛も薄いしどこを見ても造形美がすごい。完璧なイケメンって感じだ。性格も親ばかなところを除けばいう事ないし。


そして、アーサー。こいつはクール形の顔だ。きりっとした眉に意思の強そうな目、薄い唇。まだ10歳だというのに普段後ろで一つにまとめている金髪を下ろしている姿はどこか色気がある。


じっとアーサーを見つめていると視線に気づいたアーサーが、なんだ?とニッと笑ってきた。


(笑うと一気に犬っぽくなるんだよな、これが世に言うギャップ萌えってやつか?)


変なことを考えているとだんだんぼーっとしてきたのでのぼせる前に上がることにした。

リサも俺たちが風呂に入っている間に使用人たちの部屋の風呂を借りて入ってきたらしい。


風呂から出た後は今度はリサとアーサーの3人で料理を作った。ちなみにジンは不器用すぎるので厨房は出禁だ。俺が生まれる前、家の鍋を爆発四散させたり包丁でまな板ごときったりしたことからリサに台所に立たせてもらえなくなったそうだ。


でもアーサーも料理自体するのが初めてらしく、なかなか怪しい部分があったが何とか無事に作り終えることができた。終始アーサーのところの料理人がハラハラしていたのが少し申し訳なかった。


こうして、その日はアーサーを交えて4人でゆったりと過ごし、寝るときも俺とアーサーを真ん中にして4人でベッドに入った。アーサーはどぎまぎしていたようだが口元がふにゃっとしていて嬉しそうだった。


(たまにはこういうのも悪くないな。)


ポカポカとした心持のままいつの間にか眠りについていた。

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