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 げっ、いきなりオークが突っ込んできやがったぞっ!

 どうしよう、もう自首しようかな。でも自首して許してくれるわけもないよな。ラブに頼ろうにももう完全に俺に任せる気まんまんっぽいし、俺の手で撃退するしかないのか?


「仕方ないな、くらえ、俺のまほ――」


「でやああああ!!」


 しゅぱん、ぷしゅ。


 突如として目の前にまで迫ってきていたオーク二匹分の首がちょん切れた。

 俺は一瞬何が起こったのかわからなかった。

 隣を見てみればラブがきれいなフォームで抜刀していた。


「ふぅ、つまらないものを斬ってしまったわ」


「え、ええ!? お前が攻撃すんの? 俺に任せるんじゃなかったのかよ!」


 意外すぎてつい突っ込んでしまった。


「はっ! そうだったわ。私としたことが、つい戦闘本能がうずいてしまって……こんなつもりじゃなかったのに!」


 意味のわからない悔しがり方をするラブ。

 頭がおかしいとしか思えなかった。


「ぶほ、ぶほおおおおおお!」


 周囲にいた他のオークは一瞬面食らったように見えたが、仲間の末路についてはなかったことにしたのか、愚直にも再び俺達に突っ込んでくる。

 数はいつの間にやら増えていて今度は六匹分くらいが周囲からいっぺんに攻めてくる!


「でや! でや、でやああああああああ!!」


 オークたちの首が一瞬で吹き飛んだ。

 俺に任せるとか言ってたやつは、なんのためらいもなく全部のオークを駆逐していた。


「気でも狂ったのか!」


「はぁ、はぁ。だめよ。私、敵を見るとつい攻撃してしまう癖があるのよ。だから今回我慢できなかったのよ、わかる?」


 全然わからないです。

 こいつ思ったよりもやばいぞ。何がやばいのかは言い表せないが、鳥肌が立つ系統のやばさだ。笑いよりもむしろ恐怖を感じてしまうパターンだ。


「ああ私なんてことを……まぁいいわ! 今度こそあなたの力を見せてもらうからね!」


「こわいよぉ」



 その後どんどんやってくるオークたちを次々に倒していった。主にラブ一人が。

 一体どんだけのオークがいるんだよ、もう訳わかんないわ。


「ブォお」


 すると目の前に巨大なオークがのっしのっしと現れた。

 もしかしてこいつがここの親玉か? それまでのやつよりもかなり体がでかい。もう半端じゃないでかさだ。もうどれだけデカかろうが多分ラブが瞬殺してしまうんだろうけども。

 あと後ろの方には杖を持った女っぽい感じのオークもいる。これが嫁ってことなのかな。よくわからんな。

 さらにその巨大オークの後ろの方には残ってるオークたちが数体やってきていた。

 最終局面ってことかな。


「さぁ! どこからでもかかってきなさい!」


 ラブは剣を構えて勇ましく吠えている。

 もう俺のことなんてどうでもよくなってしまったようだ。


「おいおい誰だよ、俺の邪魔をするやつはよ!!」


 するとどういうわけかさらにオークの後ろから誰かがしゃしゃり出てきた。

 その人物は人間だった。三十代前後の少し着飾った感じの男だ。研究者っぽい雰囲気がある。


「え、誰だ?」


「こ、こんなにもオークが……お、おまえらよくもやってくれたなぁ!!」


 男は激昂していた。何がなんだかわからない。


「落ち着いてくださいよ。こんなところで何をしてるんですか? オークたちがいて危ないですよ!」


「危ないのはお前たちだよ! トンチンカンなこと言ってんじゃねえぞ! ああ、俺の計画が……許せない。許せない!」


「ちょっとまって。あんた何を企んでるっていうの? こんなオークたちの巣窟で何をしてるわけ?」


「へ、へへ、うるせぇ。お前らにはわかんねぇんだ。俺の人生を、俺の思いなんて、わかりゃしねぇんだ! いけ! お前ら! こいつらをぐちゃぐちゃにしろおおお!!」


 男が俺達に向かって指を指す。

 それに呼応するようにして、巨大オーク含めすべてのオークが突っ込んできた。

 な、なんだ!? オークたちを使役してる? こいつが全部の親玉ってわけかよ。


「でりゃ!」


 だが俺が何をどうするよりも早く、ラブがすべてを瞬殺した。

 やはり見えない……最強最速最低の剣士だ……!


「な、なん、だ……何が、起こったんだ……」


 男は完全にへこたれてしまっていた。

 地面にぺったんこだ。そりゃそうもなるのかもしれなかった。


「なんだよ! なんなんだよ! なんでこんなところにこんな無茶苦茶な強さのやつがいるんだよ!  聞いてねぇよ! お前らはなにもんなんだ!?」


「私なら名乗るほどのものでもないわ。モナの街で冒険者をしてるラブレリカよ」


 めちゃくちゃ名乗っていた。


「ラブレリカ……? ま、まさかとは思うが、聖剣士ラブレリカか? 世界でも五本の指に入るとされる次元を超えた強さの化け物……なぜかは知らないが辺境の街に居付いてると風の噂で聞いたことはあったが、そんな、よりにもよって、こんなところで出くわすとは……」


 男は完全に萎えてしまった。寝転んでしまう勢いで萎えていた。かわいそう。


「そうよ、私は最強なの。恐れおののくといいわ。さ、というわけでもう観念しなさい。こんなことになってる経緯、洗いざらい話してもらうわよ!」

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