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「あそこにカウンターがあるでしょ? あそこでいろんなやり取りをするのよ。私も今回用があるからついでに冒険者になれるかどうか聞いてあげるわ!」


 頼もしいラブレリカが受付に切り込んでくれるので、俺も後ろについていく。


「おい、ラブ様が男を連れてるぞ」


「誰だあいつ……見ねぇ顔だが」


「あれだろ、依頼主とかだろ」


「ああ、そうか。そりゃそうだよな。てっきり新しいパーティーメンバーかと思ったがそんなわけねぇよな」


「当たり前だろ。もしそうだとしたらラブ様ファンクラブのやつらが黙ってねぇぞ。確実に殺されるだろうな」


 歩いている途中で誰かが何かを話しているのが聞こえてきた。

 なんか不吉な予感がするんだが……まぁ気のせいか。


「あ、ラブさん、おかえりなさい」


「モンちゃん、ただいま。依頼受け終わって来たから精算お願い」


 受付嬢が出向かてくれる。

 控えめな感じの小柄な子だった。む、この子もかなりかわいいぞ。

 どうやらラブレリカと見知った仲らしい。


「かしこまりました……そちらのお方は?」


「ああ、こっちのはまぁなんというか」


「あ、すみません赤の他人ですよね余計なことを聞いてしまってすみません。ラブさんと一緒にお越しになったように見えたので知り合いか何かかと思ってしまいました。ラブさんに限って仲間ができたとかそういうことあるわけないですよね。ましてや男となんて、そんなことありえないのにすみませんつまらないことを勘ぐってしまい」


 モンちゃんと呼ばれた受付嬢は早口で何かをまくし立てていた。

 なんか狂気を感じるんだが。怖いんだけど……


「まぁ別に仲間ってわけじゃないけど、さっきたまたま知り合ったのよ。ユノミっていうらしいんだけど」


「抹殺します……!」


「なにする気なの!?」


 カウンターを乗り出そうとするモンちゃんをラブレリカが抑えていた。

 なんかよくわからないけど出しゃばらない方がいいのか……? でも冒険者にならないといけないしな。


「取込み中申し訳ないんだけど、俺冒険者になりたくてここに来たんだ」


「そうよ! 私が連れてきてあげたの! よくわからないけど落ち着きなさいよ」


「本当にそれだけですか? 何かやましい関係性にあったりしませんか?」


「どういうこと?」


「ラブレリカとはかなり親密にさせていただいております。もうあんなことやこんなこともしました」


「……っ!?」


「何を言い出してるの!?」


 また取り乱そうとするモンちゃんをラブレリカが必死に抑えていた。




「ふぅ、ふぅ、すみません。冒険者になりたいということですよね。そのためには普通は試験を受けないといけないのですが、ラブさんの推薦ということなら試験をスキップすることができます。いかがなさいますか?」


 あれから調子を立て直した受付嬢が本来の役目を果たすべく普通に対応してくる。

 怖い、怖いよ。もう俺どうにかなってしまいそうだよ。


「それでお願いします」


「かしこまりました。それではこちらの用紙にご記入ください」


 用紙を渡されたので、必要事項を記入していく。


「へー、最初ってこんな感じだったっけ。昔のことすぎてすっかり忘れちゃってたわ!」


「ラブさんが冒険者になられたのは三年と二十六日前でしたもんね。ラブさんの頭だとそれくらい忘れてしまっても仕方ないですよね」


「……なんかトゲがある気がするんだけど」


 まぁ必要事項と言っても名前とか特技とかそういう簡単なものだった。ちなみに特技は早食いと書いておいた。別に特段早食いをしたことはない。俺はどちらかというと遅食いだ。


「こちらが冒険者カードになります」


 適当な手続きを得て冒険者カードを渡される。よくわからないが冒険者になったようだ。いろいろ説明も受けた気がしたが、ちょっとぼうっとしててあんまり聞いてなかった。


「私の方の精算も終わったし、どうするの? お金を稼ぐってことなら早速依頼でも受けるの?」


 言われて考える。そうだな。お金を稼ぐ。俺はそのために冒険者になったのだ。


「そうするよ」


「じゃあ戦闘系の依頼にしましょう! そうすることであなたの魔法をもう一回目にすることができるはずだわ」


「ラブさん、私的なことに介入するつもりはありませんが、それでもどうしても気になるのでお聞きします。そちらのお方は誰なんですか?」


 モンちゃんが俺のほうを睨みながら聞いてくる。


「たまたま出会っただけって言ったじゃない。そんなに気になるの?」


「……その割にはずいぶんと仲が良さそうに見えますが」


 モンちゃんはジト目だった。

 まったくモンちゃんは私怨たらたらだな! ラブレリカのことを気に入ってるのかな。そんな感じだよなこれ。まぁ別に俺自体はラブレリカにどうこうする気は一切ないから、そのへんを伝えておいたほうが良いかもな、とも思ったが面倒くさいのでやめておいた。


「おいモンちゃん! 適当な依頼を見繕ってくれよ! 俺お金を稼ぎたいんだ!」


「……気安く呼ばないでください。依頼なら依頼ボードにあるとご説明したはずです。とっとと去りやがってください」


 ものすごく冷たくあしらわれてしまった。

 仕方ない、確かそんなことも説明の時に言ってたっけ。

 そうさせてもらうか。



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