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「……本当にそう思ってるの?」


 くさそうと言ったらなんだかしょんぼりしてしまった。

 ええ、なんか思ったよりも傷つけちゃったか?

 まぁそうか、流石に女の子に対して言う言葉じゃなかったよな。


「ごめん、もう俺疲れてて頭がどうかしてるんだよ。だから本当に思ってることと逆のことを言ってしまったりしてるかもしれない。だから話半分くらいに聞いてくれないか」


「ぎゃ、逆って……まぁそういうことならいいわ! もう水に流してあげるから、水筒だけに。早く先に進みましょう。夕暮れになっちゃいそうだわ」


 なんとか機嫌をなおしてくれたようで、ズカズカと森の中に入っていってしまう。

 本当にノーテンキというかなんというか。まぁでも今のやりとりでリフレッシュされたのか、なんだか俺の具合も多少は改善された気がする。それでもかなりきついのには変わりないけど。


「川があるわ! まぁ湧き水かしら! ともかく水よ!」


 頑張って歩いていると、憩いの場を見つけた。

 またげてしまうほど細い水路だが確かに水が流れている。

 そのせせらぎの音が本当に涼しげで、水も透き通っているように見えた。


「あうが! あっがあがが。あが……」


 俺は一心不乱で水を飲み続けた。

 うまい。こんなに水をうまいと思ったことなんて今までなかったぞ。水分補給って本当に素晴らしいことなんだ。俺はいつか水の神様に仕えることになるかもしれないな。


「ぷはぁ! 生き返った」


「すごい勢いね、なんだか私も飲みたくなってきちゃったわ! ちょっと飲んでみようかしら」


 そういって水をすくって飲もうとするラブ。


「あ……でもこれってその、間接キスになっちゃわないかしら」


「なるわけないだろ」


 ツッコむ余裕も出てきた。

 偉大なる水のおかげで体力がかなり回復してきた。


「それで? こんな森まで来たわけだけど、そろそろ教えてくれよ。こんな森にいったい何があるっていうんだよ」


「そうね。そろそろ教えてあげようかしら。じゃあこの川にダイブしてひと休みしてくれたら教えてあげるわ!」


「ど、どういうことだ? ひと休みってなんだよ、恥ずかしいだろ」


「ただの思いつきよ。まぁでも嫌だっていうならなんかもったいないけど教えてあげてもいいわ。あんまり焦らしすぎるのも変態だものね。実はこの森には番人がいるのよ」


「番人?」


「ええ、この森に昔からいて、その番人がいる前も別の番人がいた。代々継承して、ずっとこの森を守り続けてるらしいわ」


「へー、そんなすごいことが行われてたのか。でもそれが王都に行くのとなんの関係があるんだ?」


 王都までの道のりを知っているとかだろうか? でも行商人は普通に行き来してるみたいだし、別に道案内はいるように思えないけど。


「まぁその辺はお楽しみに……って言いたいところだけど、いいわ。もう言っちゃうわね。その番人に乗せていって貰うのよ。そうしたら王都にだってずっと早くつくわ。そうに決まってるの!」


「え、番人に乗るのか? 専用の乗り物でも持ってるってことか?」


「番人自体に乗るのよ、またがるのよ。あ、ま、またがるって言ってもあれだからね、そういうあれじゃないというか」


 勝手に頬を赤らめてるラブ。

 あんたそういうキャラだったか?


「変なスイッチ入れなくていいから。まぁ早く着くならなんだっていいよ。とにかくそいつにお願いいしにいくってことだろ」


「そういうことよ!」


 なるほど、そういうことだったのか。

 それならそうと早く言ってくれればいいんだよ。そうしたら納得してもっと気分良く歩けたかもしれないのに。まぁどのみちへばることには変わりないだろうけどな。




 森の中をどんどん歩いていく。

 といってもここに来るまでに比べればまだ全然歩いていない。二十分くらいかな。

 俺も流石に疲れてきて息もかなり荒くなってきたころ、突如ラブが立ち止まった。


「お、いたわ。この先よ」


 ラブのレーダーが何かをキャッチしたらしい。

 俺にはまったくわからないが、この子は何か特殊な能力でも持っているのだろうか。


「どうする? このまま突っ込むのか? まぁそれしかないか」


「いえ、どうやら向こうからお出迎えしてくれるみたいよ」


「え、それってどういう……」


『……汝、何者だ』


 どこからかそんな声が聞こえてきた。

 なんというか森全体から響いてくるような、脳に直接響いてくるような、そんなどこか怖さをかんじる声だ。


『痛い思いをしたくなければ立ち去れ。ここは人間が足を踏み入れる場所ではない』


「あなたが森の管理者ね?」


 物凄い仰々しい感じでこちらを諭してくる謎の声だったが、そんなのお構いなしに超軽い乗りでラブが尋ねる。おい、大丈夫なのか……? 俺はといえばみっともないことだが普通に雰囲気ののまれ怖くなってきていた。


『無論、我はこの森の代表であり守護者である……え、あれ?』


 威厳のある感じで喋っていた声だったが、なんだか急に勢いがしおれてしまった。


「久しぶりね! 森の番人さん。この前の怪我はもう大丈夫なの? あの時は本当にごめんなさい」


『お、お前は、あの時の!?』


 声は完全に調子を崩していた。

 なんだろう、ラブと面識があるといのだろうか。


「声を聞いた感じだと元気そうだけど」


『わ、我になんのようだ! 言っておくが我に出せるものはなにもないぞ! 我の資産はこの森だけなのだ!』


「そんな強盗みたいなことするわけないでしょ。とりあえず姿を見せてちょうだい」


 ラブのその言葉により、声の主が目の前に召喚された。



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