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「もういいよそのよく分かんない話題は。もう飽きたから。街がどうなったところで俺の知ったことじゃないしな。そんなことよりも魔王に関しての有力な情報をゲットしたんだ。なんでも王都の図書館に行けば自分で調べられるらしい」


「え? ああ、確か魔王を倒すとかどうのこうの言ってたわね。あれガチだったのね。でもずいぶんと遠回しなことをやるのね。そんなことをしなくても詳しい人に直接聞けばいいんじゃない?」


「もちろんそれができれば一番良いとは思うんだけど、そういった人が見つかるとも思えないし」


「私会ったことあるわよ」


「あ、へー、そうなんだ…………って、ええええええええええええええええ!?」


 俺はびっくりして腰を抜かしてしまった。


「何してんのよ、こんな公衆の面前で」


「いや、すまん、ギリちびるのは我慢したんだ褒めてくれ。ってラブは魔王と会ったことあるのか」


「まぁ会ったというより見たといった方が適切かもしれないけどね。数年前くらいに勇者パーティーと行動してた時に一目見たのよ」


「ど、どこで! どんなやつだったんだ?」


「隣のデスノ大陸に行ったときのことよ。私は冒険者ギルド代表で付いて行ってたんだけどね。あの時どうなったんだっけ? ちょっと忘れちゃったわ」


「忘れるなよっ! なんでだよすごく大事なところだろ、魔王がどんなやつかとか思い出せないのか」


「うーん、なんかすごく強かったのは覚えてるけど……正直あんまり印象が…………あ!」


 どうにもはっきりしないなぁと思っていると、突如閃いたとばかりにラブが声をあげた。


「お、思い出したか!?」


「ええ、完全に思い出したわ。あの時は徹夜明けですっごく眠かったのよ。だから半分くらい目を瞑ってて意識が朦朧としてたのよね」


「全然思い出せてねぇじゃねーか!」


 まさかのすっとぼけ発言だった。


「なによ。しょうがないじゃない眠かったんだから。ああ、でも今思いだしたけど確か女の子の姿をしてたような? そうよ、それでなんやかんやでお姫様以外のメンバーが殺されちゃって、私は用が済んだと持ったから帰ったんだわ!」


 …………どういう状況ですか? え、てことは勇者殺されちゃったってこと?


「どんな攻撃を使ってきたかとかは」


「覚えてないわね! 気づいたらいつの間にって感じだったから。いいでしょ、ここまで思い出せたんなら大したものでしょ」


 ラブはなぜか誇らしげだった。

 えぇ……そりゃ情報をくれるだけありがたいけど、そこまでいったんなら全部覚えててくれよ……


「じゃあ、あれか。とにかく魔王は女の子の姿をしていて、勇者とかを殺せるほど最強ってことか?」


「そういうことね。まぁ私の敵ではなかったとは思うけど」


「なんでその場でやっつけなかったんだ……」


「だって別に討伐しないといけないとか言われてなかったし。あくまで勇者に付いていけって言われてただけだから、肝心の本人がいなくなっちゃったらどうしようもないでしょ?」


 んー、なんかずれてるような……まぁいいか。これがラブクオリティだということだろう。



「分かったよ。じゃあもういいから魔王について詳しそうな人を紹介してくれ」


 そっちのほうが手っ取り早いと思って尋ねる。

 そこまで魔王に精通していたことがあるなら、魔王専門家みたいな人もしっているだろう。


「うーん、そう言われても……私も結局ギルドに命じられてほいーっと着いていっただけだし……まぁ一緒に逃げたお姫様とかは詳しいんじゃない? 知らないけど」


「そのお姫様とやらはどこにいるんだ?」


「知らない」


「……他の人に心当たりは……?」


「うーん、あとは……ギルドの職員とか?」


 俺は頭を抱えた。


「なによ、その使えないなこいつみたいな!」


「そんなこと思ってないよ。ちょっとでも期待した俺は馬鹿だったからな」


 ギルドの職員と言ったってモンタンに聞いたときも何言ってんのみたいな反応だった。

 この辺の地域の人に聞いたところで何もならないだろう。たぶん魔王の領土とかの近くにあるギルドで聞かないと話にならないんじゃないか。


「腹立つわね! そもそもあなたが魔王を倒したいとかいうから付き合ってあげてるんじゃない! というかなんで魔王なんか倒そうとしてるの? たぶん雑魚よ」


「そうなのか? 噂によればめちゃくちゃ強くて人類が滅亡の危機みたいな風に聞いてるけど」


「どこの噂よ。少なくともこの辺に住んでてそんなこと聞いたことないわ。万が一暴れてたとしてもどっか知らない遠くで起きてる話でしょ。わたしたちには関係ないわ」


 それはどうなんだろうと思うが価値観は人それぞれなのかもしれない。


「しかもいざ攻めてきたとかなっても私が返り討ちにしてあげるから安心しなさい!」


「そうは言ってもだなぁ、俺は魔王を倒すという高尚なる使命があるんだよ」


「なんであなたがそんなことしないといけないの。山奥で引きこもってたんでしょ」


 言われて考える。

 山奥というのは嘘だが、確かに俺は魔王を倒すためにこの地に辿りついた。

 それだけが俺がここに来た理由だと思ったので、大人しくそれを遂行しようとしていた。

 しかし一体なぜ俺が苦労してまでそんなことをしなければならないのか。


 自分で自分がわからなくなってきていた。

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