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 いや、確か話だと魔王がやばくなったのは最近とかいうことだったよな。ここは魔王がいる場所から離れてるってことだし、この世界の情報網の弱さとかを考えればまだ話が伝わってきてないという可能性もあるか? うーんわからん。


「まぁ、いいや、そもそも最初からモンタンに期待なんてしてなかったから。誰か魔王について詳しい人いない?」


「はぁ、どうしてそこまで魔王に固執するんです?」


「それはモンタンには関係ないだろ。ちょっとした大人の事情というやつだよ」


「私も大人なんですが。あなたも年齢的は私と同じくらいに見えますけどね」


「別にいいじゃないか、新人冒険者が困ってるんだ。もしかして土下座とかをしたほうがいいのかな」


「鬱陶しいだけなのでやめてください。あなたの土下座に価値ゼロですから」


「本当に今頼れる人がいなくて、軽い情報だけでもいいんだけど……」


「しつこい方ですね。魔王なんか知ってる人この街にはいませんよ。どれだけ離れていると思ってるんですか。どうしてもというなら王都まで行ってみてはいかがですか? そこなら王立図書館なんかもありますし自力で調べられるでしょう」


 へー、そんなもんがあるのか。これは有益な情報かも。


「わかった。王都まではどうやっていけばいいんだ?」


「行動力すごいですね……馬車とか使えばいいんじゃないですか? まぁそれでも軽く一月弱くらいはかかるでしょうが」


「そんなに遠いのか? マジで無能だな」


「私に言ってますか?」


 この世界広すぎだろ。まぁ地球みたいに新幹線とか飛行機とかあるわけもないもんなぁ。人力で行くしかないのかぁ。


「めんどくせぇなあ。もう魔王討伐諦めようかな」


「え? ひょっとして魔王を倒そうとしてるんですか? やめておいたほうがいいですよ。あなたみたいな人が倒せるなら誰も困ってません」


「そうですか。まぁ君にどう思われようがいいよ。じゃあその馬車に乗りたいんだけど、王都行きの馬車とかは出てるのか?」


「王都に行くなら他の方の乗る馬車に同乗させてもらうのが手っ取り早いかと思いますよ。それこそ冒険者なんですから護衛として雇ってもらうとか……ってなんで私がこんなにもアドバイスを……」


「なるほどな。じゃあ護衛として雇って貰うにはどうしたらいいんだ? そういった依頼が冒険者ギルドに来てたりするのか?」


「めちゃくちゃ聞いてくるじゃないですか。さっきからずっと。これも業務の一環ですか……そうですね、お調べしてきましょうか」


 そう言ってモンタンは裏に下がっていった。

 ああ見えて仕事はきっちりするタイプなのかもしれない。出してくる情報も正確だし結構優秀だったりするのか?


「ありましたよ。二件でてますね」


 割とすぐに戻ってきて教えてくれる。紙が閉じられた冊子を持ってきていた。


「じゃあそのどっちかを受けさせてもらうよ」


「無理ですね」


「なんで?」


「ユノミさんが雑魚すぎるからですよ」


「ストレートすぎんだろおい」


「別に嘘はついていなくて、採用条件がユノミさんに不適合だからですね」


「どういうことだ?」


 モンタンが持ってきた紙を見せながら説明してくれた。

 要するに募集している冒険者がEランク以上だったり、今まで一度以上護衛系の依頼を全うした冒険者に限る的なことだった。


「俺無理じゃん!」


「そうですね、ユノミさんは最弱のFランクですので諦めるしかないようです」


「そうだ! こういうときのラブだろ! あいつに受けさせて俺はなんか一緒にいますみたいな、なんでか知らないけどいますよみたいな感じでいけばいいんだ!」


「完全におんぶにだっこじゃないですか。そんな都合の頼みラブさんが了承するわけ……ないですよね?」


 よし、聞いてみよう。次あったら早速聞いてみるんだ。なんだ、ただのストーカーかと思ったがあいつもやればできるじゃないか。


「じゃあその依頼のうちどっちかを抑えといてくれ。後で受けることになるから」


「頭おかしいんですか? ラブさん前提の依頼じゃないですか」


「なに、最悪俺の実力を見せつければなんとかなるだろ」


「そうは言いましても無理なものは無理なんです。そもそもユノミさんに実力なんてないでしょう」


 む、なんだ俺様もずいぶんと舐められたものじゃないか。

 これはもう怒ったぞ、激怒でしかないぞ。すべてを破壊してしまいそうになってしまってるぞ。


「そこまで言うなら俺の実力を見せつければいいんだな。ちょっと手頃な依頼を受けるから、モンタンも付いてこいよ!」


「はぁ? なんでこの私がそこまでしなくちゃいけないんですか。アホなんですか。そもそも今日は夕方まで業務が入ってますので無理です」


「有給を使えばいいじゃないか、そういうシステムはないのか?」


「ありますけど、なんで有意義な休みの権利をあなたのゴミみたいな要求のために使わなければならないんですか? 絶対に絶対にいやといか無理です」


「なんだよケチンボ。はぁじゃもういいよ。ラブに頼んでなんとかしてもらうから。まぁ俺の実力見せてやるみたいなこと言えば余裕だろ」


 ぴく。


 気のせいかモンタンがピクリと反応した気がした。


「さっきから言わせておけばラブさんラブさんと……あなたに一体何があるというのですか? どうしてラブさんはあなたにそんなに固執するのですか!?」


「ええええ、知らないよなんかごめん。でも俺の実力を知りたいとかそういうことはずっと言ってるぞ」


「……わかりました。いいでしょう。この私が直々にあなたの実力を確かめてあげます」


 モンタンからはどこか吹っ切れたような気配を感じた。


「有給を使います。そして――あなたを見極めさせていただきます」

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