表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/23

14

「朝食も用意してるから早く降りてきてね!」


「ありがとう、何から何まで助かるよ、えーと、君の名は……」


「私? フーリっていうの! お兄さんはユノミさんでしょ? 泊まっていくのは今日一泊だけなの?」


 え、どうだろう……適当に選んだ宿に泊まっただけだし、そこまではまだ考えてないな。でも毎朝この子に起こして貰えるとしたらかなりありな気もする。


「まぁそのへんはおいおいな」


 俺はどうやら二階にいたらしく、一階に降りた。

 そして用意されていた朝ご飯を食べた。

 質素だったが、まぁ美味しい方かな。なにげにこの世界に来て初めてのご飯だったかも。そのせいであの質素な飯でも美味しく感じたのかも。ひっひっひ。


「ユノミさーん! また泊まっていってくださいねー!」


 フーリちゃんに元気に見送られながら俺は宿を出た。

 うぅ、なんだか体がだるい……特に足腰がやばいな、背中もやばい。もしかしなくてもこれは筋肉痛だな。


 なんやかんやで冒険者ギルドについた。

 とりあえず来てみたけど、ラブはいるかな? てか俺なんであの人と一緒に行動してるんだっけ? 別に一人でもよくないか? 俺の魔法があれば魔王も余裕で倒せちゃう気がするし。


「たのもう!」


 俺は元気よく戸を開けた。

 朝ということもありそれなりに人がいて、結構見られた。

 やっべ、はずかしい。


 俺は肩身を狭くしながらも受付方面へと向かった。


「あれ、あなたは……」


 受付がいくつか解放されていたので、列ができているわけでもなく普通に受付嬢までたどり着けた。そこにいたのは、


「あ、君は……えっと、モンちゃん?」


「気安く呼ばないでくださいと言いましたよね。やはり処刑が必要ですね」


 昨日やけにラブのことを慕っていた女の子だった。


「しょ、処刑、やめてくれよ。というか本名はなんなんだよそれすら聞かされてないぞ」


「まぁ名乗る理由もないですが、仕方ありませんね。私はモンタンと申します。しがない一受付嬢ですよ」


「ほえー、モンタン……そっちのほうが可愛いじゃん!」


「侮辱してるんですか?」


「いや、そんなつもりはなくてだな……まぁいいわ、このわからず屋! もうこれは確実にモンタンと呼ぶしかなくなったからそうさせてもらうな。モンタン今日ラブを見なかったか?」


「……いえ、ラブさんはまだお見かけしていませんね」


「そうか。どうしよっかな」


 適当な依頼でも受けて時間を潰しておくか? いや、俺はそもそも魔王を倒すという目的があるんだ。お金はそこそこ手に入ったんだし、魔王の情報を集めるのが先決かもしれない。


「まさか今日もラブさんを連れ回すつもりですか?」


「連れ回すっていうと語弊があるな。あいつが勝手に付いてきてるんだよ」


「そんなことあるわけないじゃないですか」


「それが事実なんだけど。本来なら一人で行動していく予定だったんだ。俺にも一応目標があるからな。それを邪魔されてるって形になるのかもしれない」


「そんな……なんでラブさんは、こんな男に……」


 モンタンは本気で悲しんでいるようだった。


「ま、まぁと言ってもあれだぞ。ほら、ラブはああいう性格だから多分一時的な興味本位的なあれだと思うぞ。だから俺のことがわかってきたらすぐにどっか行くと思うぞ。そうなればもう俺なんかと関わることもなくなるだろうな」


「……本当にそれだけの関係なんですか?」


「当たり前だろ。俺が言ってることはすべてが事実だ。俺は本当に鬱陶しいと思ってるんだ。現に俺が一度でもラブを要求する気配を見せたことがあったか? その逆ならあれど俺からはないだろ」


「…………」


 モンタンは考えて混んでいるようだった。顔は思いっきりすねているように見える。

 ほっぺたを引っ張ったら殺されるだろうな。


「まぁいいでしょう。あのいくつもの伝説級の肩書を持つラブさんがおいそれとその辺のやすい男に引っかかるわけがありませんもんね。ただやられないにしても、ラブさん馬鹿だからそのへんだけ心配なんですよね……」


「まぁ仮に誰かに騙されたとしても本当に最強ならなんとかなるんじゃないか? 最終的に全部ぶっ飛ばせばいいんだから」


「それもそう……ってあなたと談笑している場合ではないんですよ。用がないならどっか行ってください」


「冷たいなぁ。トロピカルシャーベットより冷たいよ。そういやモンタンは魔王って知ってるか?」


 俺は情報収集をこころみることにした。せっかくの機会だ。多少不自然でも聞いてしまおう。


「魔王? もちろん知ってますが、それがなにか?」


「いや、俺が仕入れている情報によれば、魔王はとんでもなく強くて人間を滅ぼそうとしていて人類大ピンチ! って感じに聞いてるんだけれども」


「はぁ。まぁあながち間違いではないと思いますよ。ただこの国が滅びるとしたらもう少し先にはなるとは思いますが」


「え、そうなのか」


「魔王軍は確かに人間の領土へ侵攻したりやたらとちょっかいは出してきているようですが、そんなの今に始まったことではありませんしね。そもそも隣の大陸で勇者たちを中心に食い止めてくれていると思うので今ここにいる私達が心配しても仕方がないですよ」


「勇者、か」


 なぜだ? 俺は聞いてる情報だと差し迫ったピンチということだったはず。もしかしてあのじじい嘘をつきやがった?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ