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忌み子という名の能力者  作者: 蔵品大樹
序章 皆を守る為に
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第3話 『守』が守りたいもの

 俺は仁科守義。警察に状況説明をしている男だ。

 「それで、急に相手が炎を…?」

 「本当なんです!信じてください!」

 先程起きた事について、俺はカフェの店員に呼ばれた警察官に説明していた。

 「全く…おい、薬物をやっている可能性がある。連れていけ!」

 「はい」

 「ちょっ、ちょっと待ってください!(くっ…誰も信じてくれない…)」

 その時だった。

 「おいポリ公さんよう」

 「あ、なんだアンタは?」

 俺を連れ去ろうとする警察官の目の前に中年の男が立つ。

 「俺はこの子に用があるのでな」

 「はぁ?」

 すると、中年男が懐から特殊警棒を取り出したかと思うと、警察官の腹に突いたのだ。

 「ごぶっぅ!」

 「なっ、貴様ぁ!傷害と公務執行妨が…」

 「黙れ」

 「グハッ!」

 二人の警察官を倒し、男は俺の手を掴む。

 「逃げるぞ」

 「えっ?は、はい!」

 「まっ、待てぇ!」

 俺は男に連れられ、カフェを出た。

 それから暫くして、俺と男はとある所に着いた。

 「ここは…?」

 「ドヤ街だ。ここなら警察は入れない。だが、ドヤ街ってのは表の顔だ。おい」

 「ん?」

 男が地べたに座っていたホームレスに話しかける。

 「コイツを保護したいのだが」

 「そうか。それなら奥に行ってくれ」

 「あいよ」

 そして俺達は一つの建物に入った。

 「おぉい!いるかぁ!」

 「ん?どうしました?」

 茶髪の若い男が男の目の前に来た。

 「甲斐(かい)、リーダーはいるかい?」

 「あぁ、リーダーなら奥の部屋に」

 「そうか」

 そして、奥の部屋に通され、そこに入る。部屋には黒髪のロン毛の中年男がいた。

 「失礼するぜ、リーダー」

 「ん?あぁ、お前か」

 「あ、あの…」

 「あぁ。申し遅れた。私はTC壊滅軍リーダー、友添俊(ともそえしゅん)。TCはタブーチルドレンの略称で、ここにいるものはタブーチルドレンに部下や上司を殺された裏社会の人間達だ」

 「俺は副リーダーの我孫子泰史(あびこやすし)だ」

 「そ、それで、なんで俺を…」

 「君の父は仁科組の組長、仁科義継だろう?」

 「な、なんでそれを…」

 「何故なら私はかつて暴力団の組長をしていてな。その時に仁科さんとは関わりがあったのでね。君の事も知っているよ」

 「はぁ…」

 「そして数時間前、仁科組の者が全員殺された。これは信頼できる諜報機関からのものだ」

 「はい…」

 「そして彼らを殺ったのは…タブーチルドレンの火山だ」

 「な…」

 その瞬間、俺は先程戦った火山が父の仇という事を知ったのだった。

 「信じられないだろうが。本当だ」

 「ぐぅぅぅ…」

 言葉が出ない。怒りと悲しみが溢れそうであった。

 「そして我孫子が仁科組の事務所を出る君を追跡して、君が火山と戦っている所を見たんだ」

 「そ、そうですか」

 「無理にとは言わない。よかったら、うちに入らないか」

 数秒の沈黙の後、俺は首を横に振った。

 「………それは…遠慮しておきます」

 「そうか。なら、狙われないように気を付けてくれ」

 俺は我孫子さんと共に建物を出る。

 「そういえば、行く宛はあるのか?」

 「さぁ、もう失うものは何もないですから」

 「そうか」

 その時だった。

 「ぎゃぁぁぁ!」

 「なんだ!?」

 俺と我孫子さんがすぐにそこへ向かう。

 「オイオイ。ここに仁科守義がいることは分かってんだ。どこにいる?」

 「ぐっ…お前らみたいなゲス組織の野郎に情報なんか渡してたまるかぁ…」

 そこには、三人のチンピラが一人のホームレスをリンチしていたのだ。

 「おい、クソガキぃ!なにやってやがる!」

 「ん?話をしたらなんとやら。アイツだぁ!」

 チンピラの一人がナイフを持ち、俺に突っ込む。

 「死にやがれぇぇ!」

 「させっかよ!」

 だが、我孫子さんが前に出て特殊警棒をチンピラの頭に打撃。

 「ぐぎっぃ!」

 「くそがぁ!」

 もう一人のチンピラがバットを持って我孫子さんに襲いかかる。

 「死ねおらぁ!」

 「ぐぅっ!」

 バットの攻撃を警棒で防ぐ。

 「この野郎がぁ!」

 「のがっ!」

 そのまま我孫子さんが腹にヤクザキックを決めた。

 「くそったれぇ!死ねぇ!」

 最後のチンピラがまさかの発砲。銃口は俺に向いていた。

 「なっ…」

 我孫子さんが気付き、前に出る。

 「ぐぅっ!」

 我孫子さんの肩を銃弾が貫いた。

 「けっ、死んだな」

 俺の中の何かが切れた。

 「………この、ゲスがぁぁ!」

 俺は何があっても痛みを感じない。しかし、人が痛め付けられているのを見ると、心が痛むのだ。

 「うおらぁぁぉ!」

 俺はチンピラの落としたバットを持ってそいつに襲いかかった。

 「なんだとぉ!?」

 少し反応が遅れたものの、チンピラは後ろに避け、右手でグーパン。だが…

 「痛かねぇよ」

 「なっ…(そうだ…コイツは確か『守』の…)」

 「はぁっ!」

 そのまま振り終わりの肘でチンピラの鼻を破壊した。

 「ぎぬべぇっ!」

 鼻を抑えるチンピラ。

 「だ、大丈夫か!」

 俺を心配し、我孫子さんが駆け寄る。

 「我孫子さんこそ…」

 「ふん、これぐらい若い頃に受けた傷よりかはマシだ」

 「ち、ちきしょう!逃げるぞ!」

 「くそがぁぁ!」

 「火山さんに殺される…」

 そのままチンピラ達は逃げ出した。

 「とりあえず、救護室みたいなのは…」

 「あっちだ…」

 俺は我孫子さんの肩を持ち、そこへ向かった。

 「へっ、流石仁科の倅だ。覚悟も父から教わったか」

 「我孫子さん…」

 「なんだ?」

 「俺、さっき見たホームレスの人がやられているのを見て、自分も何かを守りたいと感じました」

 「オイオイ、いきなりなんだ」

 「俺、ここに入ります!」

 「ふっ、良い心意気だ…いてて」

 「あまり無理しないで」

 俺はタブーチルドレンに父さんや色んな人たちの恨みを味わわせる事を誓った。

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