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忌み子という名の能力者  作者: 蔵品大樹
第5章 炎の化者
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第38話 炎の復讐

 ある夜。初老の男が夜道を千鳥足で歩いていた。

 「うぃ~ひっく。帰ったらぁ、寝るかぁ」

 この男はかつて仁科達のいた児童養護施設『幸せの園』の元園長、嘉納(かのう)である。

 この嘉納は職員や子供が仁科達を『忌み子』と差別したのにも関わらず、見て見ぬふりをしたのだ。嘉納曰く『彼らが差別を受けるのには、彼らにそうされて当然な理由がある』という下衆な理由であった。

 そして彼らが失踪後、嘉納は定年退職。幸せな老後を送っている。

 そしてこの日、嘉納は飲み屋からの帰りに誰もいない暗い道を歩いていた。

 「ふんふーん……あ?」

 嘉納の数キロメートル先。そこに人型の炎がいた。

 「なんだあれ?蛍にしてはでけぇな」

 すると炎はこちらに向かって歩いてくるのだ。少し恐怖を覚えた嘉納は後退りする。

 「な、なんだよアレ……怖いぞ」

 だが、何度後ろに歩いてもこちらに来る炎。遂にそれは街灯に照らされた。炎が消え、そこには赤髪の青年がいた。

 「よう。幸せの園の元園長、嘉納茂(かのうしげる)さん」

 「だ、誰だアンタは!しかもなんで俺の名前を?」

 青年は一瞬で嘉納の懐に入る。

 「うおぉっ!?」

 「やっぱりだ。誰も俺の事を覚えちゃいない」

 「な、何を言って……」

 青年が握り拳を作り、そこに炎を纏わせる。

 「死んでくれよ。園長さん」

 「えばぶぅっ!」

 その拳は、嘉納の腹を貫いた。

 「が、がばぁぁ……」

 口から血を流し、目からは痛みで涙が流れている。そんな嘉納に青年は言った。

 「覚えてないなら言ってやる。俺は火山灯紅。タブーチルドレン、特攻隊長だ」

 腕を引き抜き、その場に倒れる嘉納。

 「たくっ……俺は他の奴らに比べて名を知られてねぇ。だからこそボスの夢を俺が叶えなきゃならねぇんだ……優秀な男としてな」

 火山は倒れる嘉納を尻目に、誓うのであった。

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