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忌み子という名の能力者  作者: 蔵品大樹
第4章 寡黙の鋼鉄と関西ヤクザ
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第33話 鋼を追い詰めろ

 俺は仁科守義。忌み子を倒すために、準備をする男だ。

 俺達は今、大阪の半グレ『婆忍愚』のヤサにて聖さんが勝ち取った金岡の情報を聞いている。

 「金岡は、今日の午後3時に間津原に着いた。これが情報や」

 「ほう。恐らくそこで金岡は隠れるだろう」

 「ここからは俺の推測やが、間津原にはそこを支配する半グレ集団『苦李夢存』がおる。恐らく金岡の野郎はそこに隠れる。事実、奴が向かったのは苦李夢存のヤサである廃ビルの方向や」

 「ふむ、ありがたい情報だ」

 「へっ、どや。婆忍愚の情報は大阪の情報や」

 金岡は間津原にいる。その情報を本宮と上杉に話した。

 「金岡はそこにいるのか。なら、俺が…」

 「本宮。お前は金岡から受けた傷を治療しろ。今のお前じゃあ戦力になりかねん」

 厳しく言い放つ聖さん。だが、本宮は復讐と言わんばかりの怒りを叫んだ。

 「俺は…泉興業の皆さんの仇を討ちたいんです!」

 「本宮…」

 「皆を殺された上に俺は奴を逃した。それが悔しくてたまらない。二度はありません。だから、俺を金岡討伐に連れてってください!」

 「……ふっ、お前も成長したもんだ」

 「聖さん…」

 「あぁ。行ってこい。だがな、今度は奴を逃がさず、絶対に金岡を殺してこい!」

 ドスの効いた声を出して命令する聖さん。本宮はそれを呼応するように返答した。

 「はい!奴は、絶対に…」

 そして、金岡を討ち取る計画が、明日の深夜に決行されることとなった。




 次の日の深夜、俺と本宮さんは間津原に着いた。

 「さて、奴をこの手で…」

 「えぇ。いつでも全力を出せるようにブラックコーヒー10杯は飲んでます」

 俺達は苦李夢存のヤサの廃ビルにカチコむ。

 「おらぁ!金岡の野郎出せぇ!」

 「TC壊滅軍舐めるなぁ!」

 「なっ、誰やお前らァ!」

 そこにいたのは三人のチンピラ。

 「死にたくなければ金岡の居場所を教えろ。上半身と下半身を別々にされたくないだろ?」

 「ちっ、こんなド深夜に来やがって…ウチはコンビニちゃうぞ!」

 一人が俺に発砲する。弾は二発。だがコイツは俺の事を知らないようだ。

 「はっ!」

 俺はバリアを張り、銃弾を防ぐ。

 「なっ、何がっ…」

 「とりあえず脚を切る」

 そいつが怯えてる間に本宮さんが懐に入り込む。

 「なっ、早っ!?」

 「セイヤァッ!」

 そしてそのまま膝から下を切り裂いた。

 「いばがぁぁっ!?」

 「こうなりたくないだろ?」

 「ひっ、ひぃぃ!」

 「か、金岡さん呼ばんとぉ!」

 他の二人は金岡を呼びに行くためにその場を去った。

 「金岡は絶対にこの手で…」

 本宮さんは復讐に燃える炎が写ったような目で奥を見た。

 それからして向こうからねずみ色のパーカーの男が現れた。

 「あ、アイツらです金岡さん!」

 「殺っちまってください!」

 「…ほう。仁科と先日の剣豪か」

 「俺は本宮龍次郎だ。名前ぐらい覚えろや」

 「まぁいい。どうせお前達はここで死ぬ」

 「死ぬのはお前だ」

 いきなり本宮さんが地面を蹴る。それは金岡の懐に入る合図だ。

 「セイヤァァッ!」

 いきなり繰り出したのは横薙ぎ。だが、それを金岡は既に見ていた。

 「そんなもの、昨日もしただろう?」

 金岡が何かを張り、刃が止められる。それを止めたのが鋼線だというのは本宮から知らされている。

 「俺に同じ技は通用しない」

 「そいつはどうかね?」

 「ん?」

 金岡が本宮の後ろを見る。奴の目に入ったのは、俺が本宮の後ろから突撃するところだった。

 「はぁっ!」

 「何っ」

 俺は金岡の胸元目掛けてドスを突き上げる。

 「おらぁっ!」

 「ちぃぃっ!」

 金岡は後ろに避け、腕をレイピアに変えた。胸元には掠り傷が出来ていた。

 「やるじゃないか。仁科。流石幹部三人を殺った男だ」

 「けっ、褒められても何も無いぞ」

 「2対1…。人数的には不利だが、レイピアと鋼線を極めた俺に勝てると思うなよ」

 レイピアを構える金岡。それに呼応するかのように俺はドスを、本宮さんは日本刀を構えた。

 そして、この戦いは衝撃的な結末を迎える。

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