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忌み子という名の能力者  作者: 蔵品大樹
第4章 寡黙の鋼鉄と関西ヤクザ
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第29話 襲撃は唐突に

 俺は仁科守義。西のヤクザの会合を待つ男だ。

 俺が今いる所は、泉興業と仲良くしている組織、吾妻組の本部。

 そこの客室にて、泉興業組長の泉と吾妻組組長の吾妻憲一(あづまけんいち)が話し合っていた。

 俺と聖さんはまた別の客室にて泉を待っており、泉の護衛の二人は泉と一緒にいた。

 「暇……ですね」

 「あぁ。俺もそう思う」

 退屈を過ごしていた俺達。すると、部屋にある男が入る。

 「失礼します」

 「ん?」

 ソイツは坊主の構成員。

 「お暇でしょう?それなら…」

 なんと奴は懐から拳銃を取り出したのだ、

 「死んでぇな」

 銃口の先には聖さん。そして男が発砲したのだ。

 「なっ…!?」

 「危ない!」

 俺はすぐにバリアを張り、聖さんを守る。

 「何ぃッ!」

 銃弾がバリアによって弾かれる。バリアを見たことが無い男はそれによりパニックを起こす。

 「お、おい!い、今なにを」

 「客人に向けて発砲とはいい覚悟だなぁ」

 聖さんが隠し持っていたドスを出す。

 「や、やめぇっ!」

 「じゃあその覚悟ごと死んでくれよぉッ!」

 そのまま聖さんは逆袈裟で男を切り裂いたのだ。

 「ぐぎゃぁぁぁ!」

 その場に倒れる男。聖さんが客室の扉を開ける。だがそこは異質な光景だった。

 「なっ…」

 そこはドスやら刀やら拳銃やらを準備している構成員達。生きている俺達を見た一人が言った。

 「ちっ、高田(たかだ)の野郎殺れんかったか。」

 「おいおい。まさか嵌められたとか言うんじゃねぇだろうな」

 「その通りや。俺ら吾妻組はタブーチルドレンの傘下なんでね」

 「ちっ……腹括れよ、仁科」

 「はい!」

 俺は高田の落とした拳銃を拾い、構える。

 「死んどけやぁ!」

 一人が俺に襲いかかる。ドスが振り落とされる前に俺は奴の横っ腹を撃ち抜いた。

 「がぁっ!」

 「裏切りもんが…」

 ソイツのドスを貰い、奴らに斬りかかる。

 「くたばれやぁ!」

 「ぐわぁっ!」

 「死ねやぁ!聖ぃ!」

 「あん?」

 組員の一人が聖さんに襲いかかろうとする。だが、聖さんはカウンターの如くドスを突き刺した。

 「がばぁっ!」

 そのまま俺達は作業のように組員を殺り続けた。

 「バリアを張らなくても勝てる」

 「がのぉっ!」

 「この仁義外れがぁっ!」

 「おばろぉっ!」

 何人か消していく内に、明らかに強そうな輩が現れた。

 「どーも。よくもうちのもん達を殺ってくれたなぁ」

 奴の体格は大きく、大木のようであった。

 「誰だい?」

 「俺は吾妻組の吉岡昌雄(よしおかまさお)。この組での一番の武闘派や」

 「だからなんだってんだ。よくもそっちの奴らを俺らにけしかけやがって」

 「ま、今頃泉の野郎は死んでるわな」

 「何ッ!?」

 その瞬間、俺の中の緊急警報が鳴り響く。

 「聖さんっ!」

 「ここは俺に任せろ。お前は泉組長を」

 俺はすぐに泉のいる客室へ向かう。だが、そこへ吉岡が立ち塞がる。

 「けけけ、通さねぇぞ」

 「おらぁっ!」

 すると、俺の後ろからドスが飛んだ。それを吉岡は避ける。

 「ちっ、無駄な足掻きを」

 「仁科を殺るんだったら俺からにしろよ」

 「まぁええ。コイツら殺ったら終わりや」

 吉岡が聖さんの方へ向かう。

 「さぁ、死んどけやぁ!」

 「死ぬのはお前の方じゃぁ!」

 二人が死闘を演じる間に、俺は泉のいる部屋に向かう。

 そして、扉を蹴り破る。

 「泉さぁん!」

 そこには、血を流して死んでいる護衛二人と足を刺され悶えている泉、蜂の巣にされた吾妻がいた。

 「くっ…仁科か…」

 「何が…」

 「吉岡が入ってきて、俺の足を……そして熊谷と猪川が吾妻を撃ち殺したが、そのまま吉岡が二人を…」

 「クソッ…少しここで待っててください」

 俺は聖さんのいる方へ戻り、加勢した。

 「おらぁっ!」

 「がべっ!」

 吉岡の後ろからドスを突き刺し、隙を与える。

 「トドメだぁっ!この仁義外れがぁぁっ!」

 そして聖さんが腹へドスを突き刺し、下半身まで切り裂いた。

 「ぐがぁぁぁぁっ!」

 倒れる吉岡。すると、誰かが逃げる音がした。

 「あ、あの人に連絡をぉぉ」

 出口の方に、吾妻組若頭の梶原(かじわら)がいた。

 「逃げんな」

 「あだっ!?」

 聖さんが飛び蹴りで梶原の逃げを塞ぐ。

 「おい。この襲撃は誰からの指示だ」

 「そ、それは…」

 圧を与えるも、梶原は答えようとしない。

 「ちっ、仁科。お前は泉さんを連れて事務所に戻れ。俺はコイツに尋問する」

 「は、はい!」

 俺は客室にいた泉さんを抱え、事務所を出た。

 「はぁ…はぁ…」

 「くそっ、吾妻組め…誰の指示で…」

 「とりあえず病院に…」

 「あぁ。あの先に俺の御用達の闇病院がある。そこへ行ってくれ」

 「は、はい!」

 俺はすぐに闇病院に向かった。




 泉を闇病院で休ませ、俺は外に出ていた。すると、電話が鳴った。

 「聖さんからか」

 俺は電話に出る。

 「仁科か」

 「どうしましたか、聖さん」

 「どうやら俺達の殺しを指示したのは、吾妻や梶原ではない」

 「じゃあ、誰が…」

 「タブーチルドレンの……金岡だ」

 「何ですって!?」

 この時、俺は知らなかった。この時、泉興業の事務所で地獄が起きていたなんて。

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