第27話 寡黙の鋼鉄
タブーチルドレン本部、ボスの部屋。そこにはボスと幹部の金岡がいた。
「ほう…メキシコの奴らがお前に手を出したと」
「はい。ですが全員返り討ちにしました」
「流石鋼鉄だ。それはそうと、幹部の者達が立て続けに死んでいる。雷と植草。さらに裏切り者の黒岩は死体は見つかってないが死んだらしい」
「えぇ。とても悲しきことです」
「そして彼らを殺っているのは仁科守義。奴を殺さぬ限り、儂らの組織がこの世を乗っ取れん」
「それで、俺に?」
「いや、そういう訳ではない。もしそれでお前が死んだら意味がない」
「ほう」
そして、ボスは金岡に命令した。
「そういえば、関西の担当はお前だったな?」
「はい」
「大阪の泉興業を破壊するのだ」
「破壊…ですか」
「あぁ。儂の直感だ」
「……分かりました。では、そこを俺の手により破壊してきます」
「頼んだぞ」
そして、金岡は部屋を出た。
金岡練。彼は小学生にしてフェンシングの天才だった。
彼の出る試合は必ず勝利。負け知らずだった。そんな彼には師匠とも呼べる人物がいた。
『真白木フェンシング塾』のコーチ、剣持鋭児だ。剣持はかつてオリンピックで金メダルを取ったこともあり、彼の育てる練習生はとても優秀で、彼らの中で一番最強であったのが金岡だったのだ。
だが、そんな最強でも友達は出来なかった。
それは金岡があまり喋らない性格で、誰とも関わるような人間では無かったのだ。
他の子からも、『親無し』という事から避けられていたのだ。(強い金岡に嫉妬を抱き避けた者もいたが)
しかし、金岡が唯一関われる人間が剣持だった。
実は剣持も小学生の頃に親と死別し、その悲しさを下手ながらも習っていたフェンシングで埋めていた。そのうち、剣持はフェンシングがみるみる上手になり、オリンピックで優勝するまでに至ったのだ。
金岡はそんな剣持を父のように慕い、二人は親子のような仲となっていた。
だが、それを切り裂く者がいた。
例の誘拐事件の日、金岡は塾にて剣持と二人きりで休憩していた。するとそこに乱入者が現れた。
「ちょいと失礼」
そいつは黒服の男で身長は180もあった。
「だ、誰だ!」
「ボスの命令ですわ。恨まんでください」
男が金岡に近付く。男と金岡の間に剣持が入る。
「俺は…生徒を守らなければならないんだ!」
「ほう…?まぁ、邪魔するんやったら死んでくれや」
男は懐から拳銃を取り出し、剣持の脇腹を撃つ。
「がぁっ!」
「どいたどいた」
邪魔者を退けようとするも、男にしがみつく剣持。
「なっ…」
「俺の…生徒に……手を出させはしない!」
「くそったらぁ…」
「金岡ぁ!すぐに逃げろぉ!」
「は、はい!」
金岡は男の横を通り抜けて、部屋を出た。
「この野郎……」
男は剣持に何発も撃った。
「がぁっ」
「けっ、とはいえ外にもいる。そいつらに任せるとするか」
実は外にも誘拐犯がいたのだ。
塾を出た金岡の前には何人もの誘拐犯が。
「あっ…わっ…」
「さて、行こうか」
その後、解放の後能力に目覚た金岡は塾の生徒に蔑まれ、塾に行くのを止めた。そして、今に至るのだ。
東京駅。金岡は大阪行きの新幹線に乗ろうとしていた。
「さて…ん?」
金岡が向こうを見る。そこには、見たことがあるような青年がいた。
(仁科…いや、そんな訳無いか)
自分の考えを否定し、金岡は新幹線に乗り込む。片道切符を手に持って。




