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忌み子という名の能力者  作者: 蔵品大樹
第4章 寡黙の鋼鉄と関西ヤクザ
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第25話 忌み子はマフィアでさえも恐れる

 メキシコ某市。大手マフィア『デモニオ』本部。

 ボスの中年男、ミゲルと三人の幹部が、日本のとある組織について会議を行っていた。

 「最近、日本の『タブーチルドレン』なる組織が裏社会を乗っ取ろうとしているという情報が流れている」

 「えぇ。日本のヤクザ達が彼らに殺されているという事が俺の耳にも入ってきてます」

 金髪のチャラそうな幹部、タビット。鉈使いであり、異名は『ゴールデンデザート(金の台風)』。

 「あぁ。中にはうちの傘下がいるそうで」

 アフロの黒人幹部、ルイス。二丁拳銃の使い手で、異名は『デスドライバー(死の運転手)』。

 「全く、アジアの野郎が調子乗ってますね」

 スキンヘッドの危険マシマシの幹部、フランシスコ。徒手空拳の天才で、異名は『アウトロード(外道)』。

 「それで、何で俺達を集めたんです?」

 「それはな…お前達であの忌々しい組織をぶっ壊して来てほしいんだ」

 「ほほう。この間食べた激辛タコスより痺れそうな任務だ」

 ミゲルが東京の地図を幹部三人に見せる。

 「どうやらその組織の本部は割り出せていないが、一人の幹部がよくここを歩き回っているらしい」

 ミゲルが指差したのは薪之井(まきのい)区の南部。

 「ここで幹部を殺り、組織の弱体化を狙うのだ」

 「オーケーです。ボス」

 「俺達に任せてください」

 「調子に乗ってるアイツらには地獄を見せないと、ですね」

 それからして数日後、ダビット、ルイス、フランシスコの三人が来日。早速幹部の一人がいるであろう薪之井区に訪れた。

 「さて、その幹部とやらはどこにいるんだか?」

 すると、ダビットはある一人のチンピラを見つけた。

 「ちょっと聞いてみますか」

 ダビットがそいつの肩を叩く。

 「少しいいか?」

 「あん?なんだよ?」

 「君、タブーチルドレンの人か?」

 「あぁ。そうさ。泣く子も黙るタブーチルドレンの者よ」

 「あらそう」

 聞き終わるのと同時、ダビットは懐から鉈を出したのだ。

 「なっ…!?」

 「ここには一人の幹部がよく出歩いてると聞いてる。そいつには何時会えるんだ?」

 「お、お前なにもんだぁ!」

 「おいおい。質問に質問で返さないでよ。もしかして学無い?」

 「うるせぇ!ぶっ殺してやらぁ!」

 チンピラが無謀にもナイフを出す。

 「死ねやぁぁ!」

 ナイフを突き出すも、それは戦闘狂のタビットにとって欠伸の出る行動だった。

 「それ出したら容赦出来ないよぉ?」

 その途端、チンピラの腕が一瞬にして切り裂かれた。

 「ぐぼぉぁぁ!」

 「もう一度聞く。その幹部とやらは何時会える?」

 「わ、分かりましたぁぁ!言います!言いますんでぇぇ!」

 そのチンピラの計らいにより、三人とその幹部は顔合わせすることとなった。

 時間は午後9時。とある廃ビル。三人がそこに訪れ、幹部を待つ。

 そして9時26分。やっとソイツは訪れた。

 「待たせたな」

 ネズミ色のパーカーを着た威圧感のある男。

 「やっとお出ましか」

 「俺は金岡練。それで、用というのは?」

 「用というのは…コイツだ」

 タビットがいきなり鉈を出す。

 「お前達が俺達の組織の目の上のたんこぶになりかねないからな。そうなる前に一人排除しろと命令があったんだ」

 「………ほう」

 「さぁ、死んでくれよ」

 いきなり鉈を振り上げる。

 「しゃぁぁぁぁ!」

 「…なまくら鉈には切られん」

 なんと金岡は鉈の前に腕を出した。

 「バカが!腕を切られろぉ!」

 そして、刃は腕に当たった。そう。確かに当たったのだ。

 「な、何でだ…」

 「特別に見せてやる」

 袖をまくり、自身の腕を見せてやる。するとそれは『鋼』と化していたのだ。

 「なっ…!?」

 「俺は『鋼の忌み子』。自身を鋼と化す事が出来る」

 「なに言ってんだ!?」

 「隙ありだ」

 そして、右手をレイピアのようにし、それを突き刺す。狙いはダビットの心臓だ。

 「なっ!?(早いっ!まるでフェンシングのプロ選手のような…いや、それ以上…)」

 「させっかよぉ!」

 ルイスが左手の拳銃を速射。だが、銃弾は肩に弾かれたのだ。

 「何ぃっ!?」

 そのまま剣先はダビットを貫き、一人死亡。

 「がぼぉっ!」

 「ダビットぉ!」

 二丁拳銃を構え、金岡に狙いを定める。

 「死ねおらぁぁ!」

 無謀とも言える乱射。金岡はそれに対し、ダビットを出して盾代わりにした。

 「く、来るなぁぁぁ!」

 味方を盾にされ、パニック状態に陥るルイス。金岡はじわりじわりと近づいて行く。

 「さて、お前も貫かれてくれ」

 ルイスの肩を掴み、ダビットが刺さったままのレイピアで奴の喉を貫いた。

 「ごぐぅっ!」

 レイピアを抜く金岡と、一人残されたフランシスコ。彼は後退りして逃げようとしていた。

 「……逃げるのか?」

 「ひぃっ!」

 「それなら、帰るがよい。そこまで俺は残酷な人間じゃない」

 「くっ、くそったれェェ!(本国に戻って、部下を連れて…)」

 走りながら出口に向かうフランシスコ。そして、そこを通ろうとした瞬間。

 「あれ?」

 なんと出ようとした瞬間。彼は輪切りとなり倒れたのだ。

 「……鋼線。とても鋭く、それは人体を切れるほど」

 そもそも、金岡は三人を生かして帰すつもりではなかったのだ。

 「……後でボスに報告だな」




 一方その頃メキシコ。

 「さて、アイツらは幹部を殺れたかねぇ?」

 ミゲルが葉巻を吸おうとした瞬間、部屋に機関銃を持った男が入ってきたのだ。

 「誰だ?」

 「ミゲル。お前はここで終わりだ」

 「は?」

 そして男は機関銃を乱射。それはミゲルを蜂の巣にした。

 「がぁぁぁぁ!」

 「……タブーチルドレンに歯向かうとこうなるのだ」

 男はそれだけ言い残して去っていったのであった。

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