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忌み子という名の能力者  作者: 蔵品大樹
第3章 二足の草鞋
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第22話 私を見つけてみろ

 その後、カサブランカを去った植草は足原区のドヤ街に入った。

 「さてと。ここに隠れてますか」

 適当な建物に入ろうとする植草に邪魔者が現れる。

 「おい兄ちゃん。ここは俺の居場所だ。当たり前かのように入られると困る」

 それはその建物の所有者と名乗る中年ホームレスだった。

 「貴方は?」

 「俺はここの長だ。ここに入るには俺の許可を貰ってくれ」

 「ほう。お金ですか?」

 「いや、ここで居座り続けるには、暴力だ」

 いきなりホームレスが植草に殴りかかる。右のアッパーだ。

 「ほっ!」

 「おっと」

 体を背け、アッパーを避ける。すると、ホームレスが聞いてもいないのに語り出す。

 「俺は元々格闘技を習っていてな。八百長ばっかりしてたから今こんな感じなんだわ」

 「ふむ、いわば自業自得ですね」

 「うるせぇ!俺はその言葉が大嫌いなんだよ!」

 激昂したホームレスが脛を狙う下段蹴りを仕掛ける。

 「おらぁ!」

 「おっと。怒りにまみれては死あるのみですよ」

 その時、植草が跳んだ。

 「何ぃっ!?(今まで俺の下段蹴りをジャンプで避ける奴はいなかった!)」

 「さて、トドメと行きましょうか」

 着地の後、そのままバックステップをとる。

 「この野郎ぅ!」

 植草に襲いかかるホームレス。だが、それは計算の内だった。植草が葉っぱを指にはさみ、それをホームレス目掛けて投げる。

 「がびゃっ!!」

 それは綺麗に目を切り裂き、ホームレスの視界を永遠の闇に導いた。

 「み、見えねぇ!」

 「さて、どうします?」

 「うぐっ!」

 目をやられた恐怖により、ホームレスは見えない植草に媚始める。

 「ど、どうかその建物はあげますのでぇ!命だけはぁっ!」

 「ありがとうございます。では、また」

 建物に入り、最上階に着いた辺りである者から電話を受ける。相手はバケルだ。

 「なんだバケル?」

 「オイオイ、黒岩の野郎を殺さなかったのか?」

 「そうだが」

 「やはり甘い。お前は甘いんだ」

 「ほう?」

 「お前のそういうところが、ダメなんだよ」

 「答えになっていないですね。だから貴方は変装しか能がないのですよ」

 「ちっ。選択次第で、お前も裏切り者だ」

 電話を切った植草。その時、草柳の人格が宿る。

 「けっ、バケルの野郎。俺はすげぇんだよ。力があって、回復も出来る。なんなら、あの黒岩をも追い詰めた。そんなの、アイツには出来んのか?」

 建物内では、植草の怒りの言葉が響いていた。

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