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忌み子という名の能力者  作者: 蔵品大樹
第3章 二足の草鞋
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第19話 岩の隠れ家

 俺は仁科守義。組織の元幹部の面倒を見る男だ。

 俺は今、黒岩のいる病室を訪れている。

 「どうだ?この所」

 「ふっ、腕はまだ痛ぇ。あと誰かさんがやったおかげで背中もやべえわ」

 「それはすまない」

 黒岩剛磨。タブーチルドレンの幹部にして『岩の忌み子』。先日俺と戦ったものの、彼の恩人、城さんの乱入により戦いは中止。しかし、そこに現れたタブーチルドレンの構成員により腕を撃たれたが、医者の殿山さんにより救われた。

 「それで、どうすんだこれから」

 「さぁ。まだわからん」

 「どうだ?気分は」

 病室に入ってきたのは過去に肩を撃たれた事のある我孫子さんだった。

 「あんたは、ここの副リーダーの…」

 「友添さんから話は聞いている。お前、仁科に助けられたんだって?」

 「あぁ。敵なのに、申し訳ない」

 「ふっ。敵に塩を送るってあるだろ。それと同じようなもんさ」

 「まぁ、そうですよね」

 すると、我孫子さんがとある情報を俺達に渡した。

 「そういやぁ、諜報機関の奴から聞いた話だがよ、タブーチルドレンの植草って奴が動いているとか」

 「ほう。アイツか」

 「知ってるのか?」

 「知ってるもなにも、アイツは幹部だ。『草の忌み子』。アイツは草や葉っぱとかの自然の能力を使ってきたり、回復もする。それぐらい、奴らが俺の裏切りに怒っているんだろう」

 「それなら、どっかに隠れればいいじゃねぇか」

 「隠れる?」

 「あぁ。今日の午後、俺に着いてこい」

 「?」

 その日の午後。俺と我孫子さんと黒岩は本部を抜けて、とある所に向かった。そこは真白木区から出て、10分の所にあった。

 「ここだ」

 我孫子さんが連れてきたのはカラオケバーで、店名は『カサブランカ』。店の看板には店名にちなんだのか黄色いカサブランカが描かれている。

 「ただのカラオケバーじゃないですか」

 「どうやって隠れろと」

 「なぁに。百聞は一見に如かずだ。見てろ」

 店に入ると、カウンターでマイクの音量調整をしていた中年の男がいた。

 「あーあー、マイクテスト、ワンツー」

 「諸岡(もろおか)さん。少しいいですか?」

 「お、我孫子。久しぶりだな」

 「えぇ。俺も身を隠してましたから」

 「我孫子さん。この人は?」

 「カサブランカの店主、諸岡哲成(もろおかてつなり)。俺がヤクザだった頃からお世話になってた人だ」

 「あぁ。よろしくな」

 「それで、隠れるってのはどういう?」

 「ふふふ、それはな…諸岡さん。例の部屋を」

 「承知した」

 諸岡さんが店員専用の扉を開き、俺達を入れる。すると向かって右の方に何やら小難しい機械が付いた扉があった。

 「これは…」

 「まぁ見てろ」

 諸岡さんがその機械の暗証番号を打ったかと思えば、目を見開く。そして一言。

 「私だ。ミスター諸岡」

 その途端、鍵が空いたような音がした。

 「ささ、入ってくれ」

 扉を開けると、そこには最低限の家具と小さい丸窓がある部屋があった。

 「こんな部屋が…」

 「私がサボりたいときにここを使っているのでね」

 「はぁ…」

 「まぁ、とりあえず黒岩にはここに隠れてもらう」

 「だ、だが治療は…?」

 「なぁに。殿山の部下を向かわせるよ。勿論、腕はいい」

 「それなら、まぁ…」

 「よし。とりあえず奴らが諦めるまでここで隠れてくれ」

 「分かりました」

 この時、俺達は黒岩が無事に隠れきる…そう信じていた。

黄色いカサブランカの花言葉……『裏切り』

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