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忌み子という名の能力者  作者: 蔵品大樹
第2章 岩の如き固い男
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第15話 二人だけの決戦

 俺は仁科守義。ある悪人の謝罪会見を見ている男だ。

 「この度は、差別発言を過去にしていたことを隠し、申し訳ありませんでした」

 テレビに写る男、久木田照泰。俺は友添さんと我孫子さんと共に奴の会見を見ていた。

 「この度、私はこの件に対し、辞めるべきだと思い、幹事長を辞任します」

 奴の発言に驚く記者。無論、俺達はこの事を知っていたため、驚きはしなかった。

 すると、本部の扉を叩く音がした。

 「あ?」

 「俺が行きます」

 俺が玄関に行き、扉を開ける。そこには、黒服の男がいた。

 「これは黒岩様からの伝言だ」

 男が封筒を渡し、すぐにその場を去った。

 「なんだったんだ?」

 「恐らくタブーチルドレンの者かと。ソイツ曰く『黒岩様の伝言』と」

 「はぁ?」

 俺は二人の前で封筒を開け、入っていた紙を見せた。

 『仁科守義。今夜8時に真白木自然公園に一人で来い。そこがお前の墓場だ。黒岩剛磨』

 「ほう…果たし状か」

 「奴は昨日『次会ったら必ず殺す』と言っていました。恐らくこの事かと」

 「やっぱ男はタイマンか」

 「行くのか?」

 友添さんが俺に聞く。

 「行きます。皆を守るために…」

 俺は覚悟を決め、その時を待った。




 午後8時。真白木自然公園。俺はそこに着き、黒岩を待っていた。

 「いたか」

 「遅かったな」

 「ふん、最後の夕飯を食ってたからな」

 公園の入り口から黒岩がやって来ていた。

 「泣いても笑っても、これで決着だ」

 黒岩が怪しげな笑みを見せる。

 「来るなら来い。皆を守るために、お前を…」

 「さぁ、砕ける事のない岩か、傷つく事のない守りか!どつちが勝つかねぇ!」

 いきなり黒岩が手を岩のようにして殴りかかる。

 「はぁっ!」

 「させるか!」

 バリアを張り、それを防ぐ。だが、奴は諦めずにラッシュを叩き込んできた。

 「オラオラオラオラオラぁ!」

 「くぅぅぅ!」

 バリアは割れないものの、奴のラッシュに少し恐怖を覚えていた。

 「俺がバテるのが先か、お前が諦めるのが先か!どっちかなぁ!?」

 「皆を守るんなら、俺は一切諦めない!」

 ラッシュが続いて一分。奴の動きが衰え始めた。

 「くっ…(分かってたが、やっぱり固ぇや)」

 しかし、俺のほうにもダメージが入ってきていた。

 「はぁ…はぁ…(バリアを張り続けてると、疲れが…体力の消耗が激しくなるのか…)」

 だが、先に動きを止めたのは奴だった。

 「くそっ!割れねぇ!一旦離れるか!」

 ラッシュを止め、バックステップ。それと同じくして俺はバリアを無くした。

 「くうっ…ぐっ…」

 明らかに長い距離を走った後のような感覚に陥った。息切れがヤバい。

 「へっ、バリアは張り続けたらそうなるのね」

 黒岩がじわじわと近付く。

 「それならよぉ、死ぬまでバリア張ってもらおうかねぇ!」

 またも黒岩が殴りかかる。

 「まずいっ!」

 俺はバリアを張らずに横に避ける。

 「おっと?」

 「このおっ!」

 俺は捨て身のタックルで奴にぶつかる。体にはバリアを張り、奴に攻撃を通す。

 「ぐおっと!」

 奴はいきなりの攻撃に対処出来なかったのか、タックルを受けて背中から倒れた。

 「ちっ…さっき食ったオムライス出たらどーしてくれるんだよ」

 「知らねぇよ」

 奴が立ち上がり、笑みを浮かべる。

 「さてと、俺の攻撃は殴りだけじゃねぇんだわ」

 黒岩が手を握り、硬球を投げるかのようなフォームをとる。

 「くらえぃ!岩の散弾銃(ロックショットガン)!」

 そして、黒岩から何粒かの小石が投げられた。それはとても早く、まさに散弾銃だ。

 「ちぃぃっ!」

 残りの体力からか、長時間バリアは張れない。俺は負傷覚悟でバックステップし、腕をクロスする。

 「ぐわぁっ!」

 後ろに行ったおかげで威力は下がったものの、小石が体を掠める。痛みは無いが、血が流れている。

 「さぁて、見る限りバリアは張れなさそうだ。さぁて、死にやがれぇぇぇ!」

 「くぅぅぅっ!」

 死を覚悟した。その時だった。

 「やめてぇぇぇぇ!」

 女性の声が向こうから聞こえてきた。

 「何っ!?」

 その声が黒岩の運命を左右するとは、この時は知る由もなかった。

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