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忌み子という名の能力者  作者: 蔵品大樹
序章 皆を守る為に
1/39

プロローグ 『守』の失い

挿絵(By みてみん) 

 時は2014年。東京都真白木(ましろき)区の児童養護施設に住む計9人の12歳の子供達が誘拐された事件が発生した。

 事件から数週間後、子供達は公園で見つかったが、犯人は不明。いつの間にか時効となった。

 だが、その後が問題(・・)だった。

 子供達がいつの間にか『特殊能力』を手に入れていたのだ。

 ある者は炎を、ある者は水を…誘拐された9人全員が何かしらの能力に手に入れていた。

 彼らは他の子供や職員達に『忌み子』として蔑まされ、差別された。

 それからして18となった彼らは一人を除いて失踪。『忌み子』を知る者は暫くしてそれを忘れた。

 そして、『忌み子』の中で唯一失踪しなかった子供は、彼らの失踪前日、とある人間に養子として貰われていたのであった…




 四年後、2024年。東京都釘柴(くぎしば)町。暴力団嶋脇(しまわき)組の事務所。

 「ふぅ…」

 組長、嶋脇武(しまわきたけし)はタバコを吸いながら赤髪の青年と会話をしていた。

 「それで、お前達の組織の傘下になれと?」

 「はい。貴方達がいれば、俺達の組織が強くなります」

 「ふぅん」

 タバコを灰皿に置き、嶋脇は笑みを浮かべる。

 「お前らみたいなケツの青いガキの下っ端になるなんざ100年早ぇ。おこちゃまの遊びには付き合わない方針なんでね、ウチは」

 「そうですか…それは残念だ」

 青年が横にいた組員に手の平を向ける。

 「あん?」

 すると、手の平から炎が噴射された。

 「ぎゃぁぁぁぁ!熱い!あづいぃぃぃ!」

 その瞬間、組員は火だるまとなった。

 「なっ!?」

 「これを見ても、ですか?」

 「くそったりゃぁ!お前ら集まれ!」

 嶋脇の叫びにより、組長室に10人程の組員が集められた。

 「ガキぃ…ヤクザ舐めるなよ!」

 「死ねおらぁ!」

 ある組員が刀を振り上げるも、青年は振り上げた腕を掴み、顔に炎を噴射した。

 「がぁぁぁ!」

 「見て見て、炎の剣」

 そして刀を奪うと、刀の上身に炎を纏わせた。

 「ふんっ!はっ!」

 「ぎゃっ!」

 「ごのべっ!」

 組員が斬り倒され、残るは嶋脇と若頭の沢田(さわだ)のみ。

 「お、オヤジを殺らせるかぁ!」

 沢田が長ドスを構え、青年に斬りかかる。

 「バカだなぁ」

 青年は炎を纏わせた刀で、沢田の心臓を貫いた。

 「がっ…ばっ…」

 沢田は死亡。嶋脇は拳銃を構え、青年に狙いを定める。

 「く、来るなぁ!」

 「俺一人に壊滅させられるとは、全く情けない」

 刀を捨て、青年は嶋脇の顔を掴む。

 「レッツファイア」

 「ぎゃばぼぉぉぉ!」

 顔が炎に包まれ、嶋脇は悶絶しながら死亡した。

 「さ、て、と。ボスに報告しないとね」




 一方その頃。真白木区の暴力団、仁科(にしな)組。

 「どうなってやがる…」

 組長、仁科義継(にしなよしつぐ)は最近の出来事に困惑していた。

 「大原(おおはら)組に原岡(はらおか)組に岡嶋(おかじま)組…一気に三つの組織が壊滅させられた」

 すると、部屋に若頭の伊沢(いざわ)が入ってきた。

 「お、オヤジぃ!」

 「なんだ!?」

 「さ、先程入った情報ですが…嶋脇組が…」

 「嶋脇組がなんだ?」

 「壊滅…させられたと」

 「なんだって!?」

 「す、すぐに逃げましょう!ぼっちゃんを連れて!」

 「うむぅ…」

 伊沢の言うぼっちゃんとは、仁科が児童養護施設から引き取った子供、仁科守義(にしなもりよし)の事であった。

 「このままじゃあウチの組もいずれ…」

 その瞬間、仁科が叫ぶ。

 「馬鹿野郎が!」

 「なっ…」

 「俺は組の長やってんだ!お前達残して逃げられっか!」

 「な、ならぼっちゃんだけでも…」

 その時、玄関の方から音がした。

 「ぐわぁぁぁ!」

 「がばぁぁ!」

 「なっ…」

 「くそっ…いつの間に…」

 仁科が刀を持ち、音の方へ向かおうとする。

 「ダメですオヤジ!オヤジが死んだら…」

 「ダメだ!子の危機は俺の危機でもあるんだ!」

 「くっ…俺はその心意気に惚れてここに入りました。俺も行きます!」

 そして二人はそこへ向かった。

 「大丈夫かぁ!お前…ら」

 「なっ、嘘だ…」

 そこはもう後の祭り。組員は殆ど殺られていた。

 「な…」

 「油断はしちゃだめでしょう」

 「あがっ!」

 伊沢の体が炎で包まれる。

 「なっ、伊沢ぁ!」

 「アンタがここの組長さん?まさか前線に出るとは」

 襲撃者は赤髪の青年。仁科は躊躇せずに青年に斬りかかった。

 「はぁぁぁ!」

 「馬鹿が」

 手の平を出し、炎を噴射させるも、それを仁科は奇跡的に避けた。

 「はぁっ!」

 「うおっと、今のを避けるとは」

 「この野郎ぅぅ!」

 仁科が唐竹割りで青年を切り裂こうとする。しかし…

 「真剣白刃取り」

 「何っ…」

 切られる直前に刀を防いだのだ。さらに、刀が溶け始める。

 「なっ…」

 「アンタは強い。だから名乗ってやろう。俺は『炎の忌み子』の火山灯紅(ひやまひぐれ)。『タブーチルドレン』の幹部さ」

 「けっ…俺もここで終わりか」

 「まぁ、良い相手だったし、即死で終わらせよう」

 火山が手刀の構えをし、手に炎を纏わせる。

 「じゃあね」

 「ぐぶっ…」

 胸を貫かれ、仁科は即死。そのまま火山はそこを去った。

 それから1時間後、ある青年が事務所に戻ってきた。

 「ただいま、父さ…ん」

 青年の目の前に広がるのは、何人もの死体。

 「なっ、皆!」

 それは、自分を愛してくれた仁科組の組員達だとすぐに分かった。

 「父さん!父さんは…」

 青年は非情にも、父の死体を見つけた。体には穴が空いていた。

 「そんな…父さん!父さぁぁぁん!」

 青年は叫んだ。

 青年の名前は仁科守義。仁科の義子であり、10年前の事件の被害者の一人であった。

 彼が手に入れた能力は『守』。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ちゃんと主人公を立てている [気になる点] 地の文が少し少なすぎる。 行間空けの技術が無いので少し読みにくい。 [一言] 企画に参加ありがとうございます。
[良い点]  ファンタジーというジャンルながらミステリー要素も含まれているような始まり方が面白いなと思いました。  また、世界観設定は最小限にして、すぐに動きのある場面に移っているところも好感を持てま…
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