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【異世界恋愛】打診募集中作品一覧

いまさら愛だの恋だの言われましても困ります

作者: 志波咲良

「フローラ! お前と婚約破棄する!」

「あ、はい。ありがとうございます、では」


 婚約破棄を告げられたというのに淡々とした様子の私に、相手であるクロウド男爵は唖然とした表情をしている。


 さっさとカップに入ったお茶を飲み干し、笑顔で手を振ってクロウド男爵の元を立ち去った。


(さて、これからよね)


 私はなんら傷ついてもいないし、悲しんでもいない。

 何せ、彼と婚約を破棄するのは……五回目だからだ。


 私、フローラはオレガノ伯爵家の長女として生まれた。普通に愛されて、苦労のない幼少期を送っていたと思う。

 母が亡くなるまでは。

 父は後妻を母以上に溺愛した。後妻が連れてきた義妹の存在も溺愛した。代わりに、私への愛情はなくなっていった。


 子供ながらに居場所がなくなったことは感じていたし、義妹からはいかにも「姉、嫌いです」ってオーラが垂れ流しだったので、近づこうとはしなかった。


 悲しかった、二回目の人生くらいまでは。

 だから初めは、私の厄介払いと分かりきった格下の家柄との縁談にも喜んだし、相手のことも見た目から誠実そうだと判断して信頼した。


 でも、結婚は叶わなかった。


 姉は差別主義者。姉は血も涙もない女。姉は男遊びが激しい。

 私の縁談を面白半分にからかう義妹の並べた嘘を婚約者は信じて、破談となる。


「おねぇ様なんか、修道院にでもいけばいいのよ」


 別にクロウド男爵に気があるわけでもない義妹の高笑いの声は、何度生まれ変わって聞いても癪に障る。


 一度目に婚約破棄されたとき、私は悲しみのあまりその日の夜、身投げをした。

 転機はそこからで、人生がなぜか後妻と義妹がやってきた日へと巻き戻るのだ。


(……母が亡くなる悲しみを何度も味わわずに済むだけマシね)


 二度目の人生は、どうにか新しい家族と仲良くしようと愛想よく頑張った。妹の私への気が変われば、未来も変わるんじゃないかと。


 特に変わらなかった。なんだったら、義妹の嘘を馬鹿正直に信じるクロウド男爵もヤバい人なのでは? と気づいた。以降、クロウド男爵も嫌いになった。


 今度は死ぬのではなく、身投げした時間になると人生が巻き戻る。


 三回目の人生は、本気でこのループを終わらせる方法を考えることにした。

 そもそも縁談を受けるから繰り返すのでは? と思い、縁談をこちらから断った。

 家からは勘当されたし、全然普通に巻き戻った。


 四回目の人生は、逆に妹に怖がられる存在になってみようと、姉に逆らわぬようはちゃめちゃに虐めてみた。すると父親に地下牢に監禁され、婚約を大義名分として出されるまで、奴隷のような生活をさせられた。


 五回目の人生は、父に頼み込んで初等科から全寮制の学校に通って家族と距離を取ったけれど、婚約破棄までの流れは変えられなかった。


 仲良くしてもダメ。険悪を悪化させてもダメ。距離をとってもダメ。かといってループのタイミング的に父の再婚は止められない。


(ってことは、家族関係や婚約自体が問題ではない……?)


 でもそうなると、残された時間は半日。

 このわずかな時間で何をしろと、と言いたいくらいだ。


「このまま家に帰っても、同じになる気がするわ……」


 直感的に、どうせ巻き戻ると感じた。

 また地獄の幼少期が始まり、また婚約破棄されて、また巻き戻る。


 うーん。と考え込み、


「よし。次の計画は次の人生で考えよう!」


 吹っ切れることにした。そもそも五回目の人生も四回目の結末を察してから考えたし。まあ、また終わり際になればいい案思いつくだろう。


 何度も人生を繰り返していると、割と吹っ切れるのだと気づいた。

 いい学びです。


「四回目のラスト半日は確か、次の人生をどうするかの計画表作りに費やしたのよね」


 眠気眼を擦りながら馬鹿真面目に考えていたけれど、

 馬鹿真面目に考えたこの人生がダメな気配がしているのだから、そもそも馬鹿真面目に考えること自体が間違っているのかもしれない。


 好きなことをしよう。と思った。


 残された時間、どんな振る舞いをしようが関係ない。

 だったら、やってみたかったことをやってみようと思った。


 私は家に戻り、ルンルンと義妹の部屋を尋ねる。


「おほほ! 泣いても遅いですわよ、おねぇさま!」

「泣かないわよ」

「ちょ、何してますの!?」


 私は義妹の机の引き出しを漁り、一枚の手紙を手にする。


「それ、私のですわ!!」

「いやあ、一度行ってみたかったのよね。舞踏会に」


 焦った義妹なんか無視して、私は堂々と妹の招待状を盗む。

 あとでお父様に怒られる? どうせ巻き戻るからいいの。


 私の不幸だけを快楽として生きている義妹にかける情けなし。

 ギャーギャーと騒ぐ妹を無視して、私は家を出た。



 ◆


「さて、と」


 夜になり、会場に到着する。会場の入り口に立つ私を見て、周囲の令嬢たちはゲテモノを見るような表情をしていた。


 なにせ、私の格好は真っ赤なドレス。靴も装飾品も赤。丁度地毛も赤毛なので、薔薇の貴婦人のようになってしまった。

 それに、仮面舞踏会でもないのに仮面をしている私は、好奇の的である。


 どうせ舞踏会に行くなら、思いっきり目立ちたい。

 そんな私の要望に見事に応えてくれた仕立て屋には感謝だ。


 私が生まれ持った性格通りに生きたら、死んだ。どうしたらいいかと真面目に考えても変わらなかった。良心を抑えて悪を演じてもダメだった。


(人のために変化を起こしても何にもならないんだわ、きっと)


 だったらもういっそのこと、普通じゃ経験しないような方向を試してみたい。

 自分のための変化を得てみたい。


(目立つ、ってのも悪くないわねぇ)


 ちょっとだけ義妹の気持ちが分かって具合が悪くなる。

 気を取り直して、私は会場の中に潜入した。


 案の定、周囲は私を腫物に触るがごとく避けて通る。


 だが派手さとは悪いことばかりではないらしく、大きく開いた胸元につられた男どもが怖いもの見たさでちらほら寄ってきた。


「レディ・レッド。私と一曲いかがですか?」

「お断りします」


 私がプイと顔をそむけると、男性らは残念そうな顔をして立ち去っていく。


 無理よ。ダンスなんて知らないし、そもそも男性に触れたことすらないんだから。

 クロウド男爵のときも、当時は私があまりにもモジモジする初心だったので、向こうも気を遣っているのが丸わかりだった。


 そんなこんなで断り続けているうちに、私は壁の花になってしまった。


「……思ったよりつまらないわね」


 ダンスの一つでもできたら、違ったのかな。

 男性に触れることに抵抗感がなかったら違ったのかもしれない。


 義妹が嘘をついた「男遊びが激しい」とは無縁である。


「……次の人生では、ダンスレッスンを視野にいれましょう」


 どうやったらループを抜け出せるか考えていたはずなのに、ループ前の半日をどう過ごすか考えてしまっていては本末転倒。

 自分に自分でツッコミをいれたところで、


(……帰りましょう)


 なんだか虚しくなって、帰ることにした。


「レディ。私と一曲いかがですか?」


 そう話しかけられて振り返るまでは。


 振り返れば、そこには若々しい男性が胸に手を当てて立っている。

 高貴な服装、金髪が良く似合う美麗な顔立ち。


(……この人、どっかで)


 もうちょっとで思い出せそう、と思ったとき、会場にいた令嬢らから悲鳴が上がる。


「アレン様!? どうしてそんな女に!!」

「王族の方がそんな痴女に声をかけては、格が……!!」


 あ、思い出した。

 アレン・ルドクリフ第一王子。まぎれもなく、この国の王子である。


(なんで王子が舞踏会に?)


 古ぼけた記憶を辿っていると、アレン様が首を傾げる。


「私でも不満ですか?」

「え?」

「誘いを断られているご様子から、それなりの男ではないとレディは見染めないのかと」


 王子からの誘いを断る非常識がこの世界のどこにいる? 

 と、私の中の常識が顔を覗かせた。


「そ、そんなことはありませんわ……おほほ……」

「では、ぜひ」


 流れるように手を取られ、ホールの中心部に連れていかれる。

 周りは自分たちのダンスを止めてまで、私たちの一挙手一投足に夢中だ。


 当の私は、そんな周囲の反応に構っている場合ではなかった。


(男性、男性、男性の……手ッ!!!)


 初めて触れる殿方の手は大きく、熱く、なんか硬い。

 父からは昔、頭を撫でられたり抱っこされたような気がするけれど、もう思い出せないくらい古い記憶だ。


(どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう!!)


 パニック状態でふらつく私を見て、アレン様は口を開く。


「酔っておられるのですか?」

「か、かもしれませんわ……」

「では」

「ひいいいいいい!!!!」


 アレン様は私の腰に手を添え、支えるような形を取ってダンスを踊り始める。

 ダンスの仕方は知らなくとも、体が勝手に動かされていく。


 思考が完全に停止しかけた私を見て、アレン様はクスッと笑った。


「……やっぱり。君みたいな純粋な子を探していたんだ」


 周囲には聞こえない小声に、私は目を丸くする。


「へ?」

「君、こんな格好をしているわりに、慣れていないだろう?」


 図星を突かれ、視線が泳ぐ。というか、なんか口調が……。


「そ、そんなことはありません。あ、アレン様こそ舞踏会に来られるような身分では……」

「おや。知らなかったのかい? 今日の舞踏会は、俺の婚約者探しを兼ねた舞踏会なんだ」


 婚約者、探し? 

 私は現在までの記憶を振り返る。


 招待状を奪われた際、発狂する勢いで叫んでいた義妹。

 こんなもんかと思っていたが、妙に着飾った女性が多い会場。

 私と同様に相手が見つからず壁になっている男性陣。


 ……もしかして私、ヤバいことしてる? 


「俺にアピールしたくてこんな格好をしている勘違いした人かと思ったけれど、どうやら観察していたら違ったみたいでね。興味深くて声をかけてみた。直感は正解だったみたいだ」

「あ、の、わたし……」

「どうしてこんなことを?」


 すっかり取り繕うことさえ忘れて、また真面目さが顔を覗かせる。

 正直に答えなきゃ無礼よね。とループのことは伏せたまま、私はぽつぽつとこれまでの経緯を話した。


「なるほど。辛い人生だったね」

「……辛いだなんて感情はもう忘れました」

「そんなことはないはずだ。心の傷は、いつになっても残るものだ」


 違う、本当にもう辛さなんて関係ないんだ。


「……無知、だったんだと思います。自分が愛されて当たり前だと思ってしまったので、そうじゃない世界があることに馴染めませんでした。どう振舞っても変えられない世界があることも知りませんでした。何があっても得られないものがあるのだと知りませんでした」


 私のループ人生は、幸か不幸かなんて区別をもはやしていない。

 すべて学び。どう振舞ったら何が起きるのか。たった五回の人生ですべて学び終わっただなんて大層なことは言わないけれど、一度きりの人生ならば得られなかった収穫ばかりだ。


 私の言葉を聞いたアレン様は、優しく微笑む。


「国というのも、同じだと思わないか? 裏と表があり、誰かの幸せの裏には必ず誰かの不幸がある。どんな稀代の国王でも変えられない人間社会の仕組みだ」

「かもしれませんね」

「ならば、君はどう考える?」


 変わらないことを考えろとは、難しい注文だ。


「……それでも、夢見ることをやめない世界であるように努力してみたいです」


 どれだけ乞うても、愛は手に入らない。

 どれだけ嘆いても、この世界を去った人は還ってこない。

 どんな手段を用いたとしても、変えられない結末が存在する。


 でも、私がループ人生をチャレンジしつづけたのは、“もしかしたら”の可能性を諦めなかったからだ。次こそは。次こそはきっと。

 それは、夢をみていたからではなかろうか。


「私、こんな人生ですけど、この世界が好きですよ。諦める理由をくれないので」


 私の返事にアレン様は同意するように頷く。


「やはり、君に声をかけて正解だった。……やっと見つけた、未来の王妃」

「嫌だわ、アレン様。ご冗談を」


 口が良く回る人だ、とクスッと笑う。

 曲の終わりが来て、私たちの体は自然と離れた。


「迎えに行くよ、フローラ」

「待ってます」


 待ってる、だなんて心にもないことを気軽に言えるのは、この世界が終わるから。

 きっと次の世界では、私たちは交わらない。


 舞踏会が終わった帰り。そういえば帰りの馬車なんて用意していなかったと思った私に、アレン様が馬車を手配してくれた。

 乗ったこともない高価な馬車に乗り込み、笑顔で別れを告げるアレン様にぺこりと頭を下げる。


(もうすぐ終わりね。なんだか、この半日が一番疲れた……)


 さあ、次は六回目の人生だ。

 そんなことを思いながら、慣れない舞踏会にいったせいか、私は馬車の揺れにつられて眠りに落ちてしまった。



 ◆


「フローラ!! フローラ!!!」


 耳に響く声がして、目が覚める。

 ベッドで起きた私は、語り掛けているのが父だと気づいて驚く。


(どうやって自室に? あ、そっか、巻き戻ったんだわ)


 さてさて、六回目の人生といきますか。

 と体を起こして伸びをして気づく。


「……あれ?」


 手足が長い気がする。ちゃんと胸のふくらみもある。そういえば眼前の父も老けた姿のままだ。

 頭にはてなマークが浮かぶ私に構わず、父が焦った声を上げた。


「何をぼーっとしている!! 早く用意をしなさい!!」


 指を向けられた先を見れば、普段は絶対私に仕えないよう指示されているはずの使用人たちがずらっと並んでいた。


「……はい?」


 なに? ループしてないの? 

 どういうこと? 


 されるがままに着飾れる私。


「お、お父様? 一体なにが……」

「アレン第一王子殿下がお前を迎えに屋敷に来られている!!」


 アレン様? アレン……


「はい!?!?」


 昨晩の記憶が一気に蘇ってきた。


「お前が真夜中に帰ってきたかと思えば、王室御用達の馬車で送られてきた揚げ句に、丁重に扱うようにとの指示まで飛んだんだぞ! 一体何をした!!」


 嘘でしょう。なんで? 

 父の叫びと疑問は置き去りに、光の速度で身支度を終えて玄関先に出れば、本当にアレン様がいた。


「やあ、フローラ」

「あ、アレン様……。やあ……ではなくて。どうしてこちらに?」


 私、なにか無礼でもしましたか。もしかして今回は極刑でもされますか? 


「迎えに行くと言ったじゃないか」

「ご、ご冗談だったのでは……」


 ループしていない意味も分からないのに、まさか昨晩の話が本当になるとは。

 一つずつ事態を整理していこうとした私を許さなかったのは、またしても義妹の存在だった。


「おねぇさまは悪女ですわあああああ!!」


 奇声と共に、私に負けんばかしに着飾った義妹が家から出てくる。


「舞踏会の招待状、私が受け取ったはずでしたわ!! それをおねぇさまに奪われたんです!! アレン様の真なる婚約者は私ですわあああ!!」


 義妹の様子を見て、父もうんうんと頷く。


「殿下。もしかしてこちらの娘と間違えられたのでは? 姉妹ですし、間違われたのかと……」


 似ても似つかないくせに? 

 との疑問はさておき、アレン様は私と義妹を交互に見た後、私に向かって手を伸ばした。


「確かに仮面で顔を隠していたが、俺が間違えるはずがない。燃えるような赤毛。世界の表裏を理解した強い眼差し。突拍子もないことができる大胆さと繊細で真面目な心。間違いなく、俺が将来妃として迎えたいと思った女性だ」


 アレン様の言葉を聞いて、義妹はフラフラとその場に尻もちをつく。


「あり得ない……あり得ないですわ……おねぇさまが選ばれるなんて……」


 義妹の面子をどうにか保とうと父がさらに口を開きかけたとき


「そもそも、招待状は数カ月前から爵位家の未婚の子女に平等に送られているはずだが?」


 アレンの追撃の言葉で私が父を見れば、父はバツが悪そうに目を逸らした。

 クロウド男爵との縁談が持ち上がったのは、一カ月前。……本当は、招待状がそれより前から届いていた?


(……隠したのね)


 父と義妹から視線を外す。私はアレン様への返事を迷っていた。


「……私は、誰かを愛せる自信がありません」


 一回目の人生で、愛などとっくに諦めた。いまさら復活させろと言われも、無理がある。

 そんな状態の私が王子の婚約者だなんて、いい笑い者だ。


「舞踏会でもお話しした通り、私は愛を求めて生きるつもりなどないんです」


 どうせ得られない。何度も試して、何度も裏切られてきた。

 俯きがちな私に、アレン様は「では」と問う。


「恋はどうだ?」

「え?」

「俺はそうは思わないが、君は愛を得られないものだと語ったね。でも、恋については言及しなかった」

「そんなの言葉の揚げ足取りです」

「なんだっていいさ」


 アレン様は私の手を取り、ダンスをした時のように腰を支えて体を寄せた。


「俺が君に恋の夢を見せられるよう、努力させてほしい」


 まっすぐな言葉に、初めて頬が赤らんだ。


 夢見ることをやめない世界であるように努力してみたい。

 私が自分で願ったことだ。自分の言葉を否定するつもりはない。


(どうしましょう……胸がうるさいわ)


 愛を信じていないのに、恋だなんて……。

 なんて矛盾だらけなのかしら。


 でももし、私のループ人生がこの謎を解き明かすためにあったのだとしたら……。


 私は口角をあげ、覚悟を決めた。


「……受けて立ちます」


 どうせ無理と思いながら過ごす人生にはもう飽きた。

 やるなら、とことんやってやろうじゃないの。


 こちとら人生五回目。何があっても、今更後悔も動揺もしないわ。


 アレンに連れられて馬車に乗り込もうとした私に、父から声がかかる。


「ふ、フローラ。その、いままですまなかった! その、なんだ……。もしよければ王室から我が家に支援を……」


 手をもみながらヘラッと笑う父を見て、私も微笑みを返す。


「では! さようなら、お父様。妹!」


 お元気で~という私の声を最後に、実家がどうなったのかなんて知らない。





「フローラ」

「はい、アレン様」


 馬車の中で呼ばれて顔を上げる。


「君が好きだ。一目ぼれってやつだな」


 アレン様の言葉で赤くなった頬。照れ隠しで顔を背ければ、アレン様のクスッという笑い声が聞こえた。


「……貴方と一緒にいたら、人生が何回あっても心臓が持ちそうにありませんね」

「どういう意味だい?」

「秘密です」



 本当は得られるはずだったもの。歩むべきだった道。

 なんでループしたのかなんて、神のみぞ知る話だろうけれど……。


(……神様が、かけちがったボタンを直そうとしてくれたのかもしれないわね)


 少なくとも、もう巻き戻らないであろう世界。

 ようやく前に進むのであろう自分の人生に、ほんの少し期待が膨れた。




 のちに王国で薔薇の王妃と呼ばれる女性が、王と国民を愛し続けたのはまた別のお話。




すっきり! 五回目の人生楽しんで! その恋の過程が気になるんですが!?

……なんて思って貰えるよう一生懸命書きました。

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また、新作公開中です。

婚約破棄ですって?私は溺愛されて忙しいので問題ありません

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人生を繰り返すだけでなくちゃんと学び考えていたからこそ王妃の資質を得たフローラ [気になる点] クソ親父と義母妹の末路 [一言] 短編ですが綺麗にまとまっていて満足度高めでした
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