6 ☵ 悪役令嬢は私が可愛がってあげる(中)
今回は比較的に長いです。
一応少しエロっぽいですが、R15というほどではない。多分……?
「あなた、何をするつもりですの!?」
燕未ちゃんは私の指に抵抗するために両手で私の右手の人差し指を突き飛ばそうとしているが、こんな小さくて無力な手はもちろん完全に無理だ。でも無駄だとわかっても頑張っている小さな彼女の姿はすごく可愛い。
私はこの中指で彼女の左手を地面まで押し倒した。そして同じ右手の親指で彼女の右手を押した。もちろん、指にあまり力を入れていないが、これだけでも彼女の動きを封じるのに余裕だ。
今の体勢では彼女の両手は私の2本の指で捕らえられて身動きができなくなっている。
「放してよ! このジメメヌ!」
こんな状況でも彼女はまだ強がって私に屈服する気配はない。やっぱり強い人だな。彼女は悪役だけど、決して臆病な悪党ではなく、気高く強い意志を持っている立派な女王のタイプだ。
それに私はゲームをやっている頃から彼女のことをよく知っている。彼女は根っから悪い人であるわけではないとわかっているから、たとえ私はどんなに彼女から酷いことや嫌がらせをされようと、彼女を本気で嫌いになったことはない。
――根から悪い美少女なんて存在しない。これはアニメやゲームの世界の常識だ。
だけど苛めは絶対にいけないことだ。だから私は彼女に自分のやったことの重さをわからせてあげたい。話し合いたいなら今はチャンスだ。今までの私の立場ならゆっくりと話す機会さえなかったけど、立場逆転になった今ならできるはず。
「ね、燕未ちゃん、答えて欲しいの」
「は?」
「なんで私を苛めていたの?」
「今更ですのね。そんなのあなたのことが嫌いだからに決まってますの」
藻掻きながら、彼女は強気で私の質問に答えた。
「嫌いだからそんなことをする理由になるの?」
「嫌いなやつに酷い目に遭わせるのは当然のことですわ! 何が悪いですの?」
「そんな……。じゃ、もし燕未ちゃんを嫌うクラスメイトがいたら、その人から苛められても当然だと思って、文句言わないってこと?」
人に嫌なことをするなら、自分も同じことをされるという覚悟をしておくべきだろう。
「そ、それは……駄目に決まってますの! わたくしは誰だと思ってますの? 青川森財閥の娘ですのよ! わたくしを苛めるなんて何様のつもり?」
「また身分のこと? そんなに大事? みんな同じ人間だよ。同じ女の子なのに」
「当然ですわ。あなたみたいな下民はわたくしを従えればいいですの!」
「じゃ、今の燕未ちゃんはもう令嬢ではなく、ただの『小人』だ。何をされても問題ないってこと?」
「え? いや、その……」
燕未ちゃんはさっきより動揺してきた。やっと何か理解してきてくれたようだね。
「そうか。やっぱりあなたもわたくしを嫌っていますのね? そんなこと当然ですわね」
「え?」
彼女は観念したような顔で苦笑いをした。
「わたくしをこんな目に遭わせて満足ですの? 復讐したいでしょう? わたくしを苛めてめちゃくちゃにしたいですのね? では勝手にすれば? そうしたらあなたもわたくしの気持ちをわかるでしょう」
「そんなこと……」
確かに今私のやっていることは燕未ちゃんのやっていたのと同じようなことだ。それは『弱い者苛め』。こんなことをやって本当にいいのか?
ううん、絶対にそんなことないよ。確かに自分の方が上だという優越感が味わえて、自分の存在が認められているという喜ばしい感じもする。だから燕未ちゃんのこんな気持ちは少しだけどわかってきた気がする。
だけど、その直後自分に降りかかってくるのは罪悪感というものだと思う。
「復讐とか苛めとか、そんなことやっても虚しいだけよ」
私は燕未ちゃんを拘束している手を彼女の体から離して、自由を与えた。そうしたら彼女はすごくホッとしたような顔になって自分の胸に手を当て溜息をした。
「何かっこつけてますの? 今はあんたの千載一遇のチャンスかもよ。本当に何もしないつもりですの?」
「燕未ちゃんこそ、そこまでめちゃくちゃにされたいの?」
「それは……」
「もし実は何かされたいなら正直言って。私は嫌でも燕未ちゃんのためならやってあげる」
「いや、別にそういうわけではありませんの。傷つけられて喜ぶわけないでしょう」
「だったら自分のことをもっと大切にしてよ!」
苛められて嬉しい人間なんていないよ。……いや、確かにいるかもしれないけど、あれは『ドM』っていう特殊なタイプの人ね。でも燕未ちゃんも私もそうではないはず。さっき解放してもらえて嬉しそうに見えたし。
「なんでジメメヌに心配されなければなれないですの? 気に食わないですわ!」
「なんでって、さっきも言ったでしょう」
そう言って私は燕未ちゃんの体を右手で優しく掴んで持ち上げた。
「な、何をするつもり!?」
自分の視線と同じくらいの高さまで着いたら、私は彼女をじっと見つめて……。
「私、燕未ちゃんのことが好きだからだよ」
と、私は囁くような声で自分の気持ちを伝えた。
「は!?」
燕未ちゃんは『何わけわからないこと言いますの?』と言いたそうな訝しげな顔で私を見つめている。
「やっぱり、燕未ちゃんは可愛い」
「か……!?」
燕未ちゃんは恥ずかしそうな顔になった。小さくてわかりにくいが、確かに顔は赤くなってきた。
「食べちゃいたいくらい可愛いよ」
「へぇ!?」
私にそう言われて燕未ちゃんは狼狽えてきた。今の彼女は本当の意味で食べられるくらい小さいからね。
「冗談だよ。うふふ」
「ならなんで舌舐めずりをしていますの?」
「あ、つい。美味しそうな顔をしているからね。ちょっと味見してもいい?」
「駄目に決まってますわ! わたくし全然美味しくなんかないですわよ」
「あれ? 美少女お嬢様は自分に自信がないの? いつもなら威張るところでしょう。謙遜しなくてもいいよ?」
「お嬢様関係ないでしょう! そんなことで張り合ってどうしますのよ!」
「まあ、これも冗談で。別に何をするつもりはないから安心して。本当だよ?」
「だったら、なんで唇をこっちに近づけますの? やっぱりわたくしを食べ物に!? やめて!」
私はどんどん燕未ちゃんを自分の唇に運んできた。口を閉じたままでね。
「うっ……」
こうやって彼女の顔は私の唇と密着するという体勢になっている。
これはいわゆる『キス』っていうのかな? 実は私、前世も含めて誰かとこんなことをしたことないんだよね。だからこれは初めてだ。
でも燕未ちゃんの顔は私の唇よりもちっちゃいから、同時に彼女の額も、ほっぺたも、唇も、同時に私の唇に当たっている。こうなると『キス』と呼べるのかな? 複雑なことになるね。
「な、何勝手なことしますの!? わ、わたくしのファ、ファーストキスなのに!!!」
あ、どうやら彼女は勝手にそう解釈して照れてしまった。まったく可愛いよね。
「私も初めてだよ。嬉しい~」
「わたくしは全然嬉しくなんかありませんわ! 最悪ですわ! どうしてくれますの?」
「ではしかいないね。私は責任を取ってこれからずっと……」
「は? 責任って、まさかあなた……。なんでわたくしはジメメヌなんかと?」
「私はずっと大好きな燕未ちゃんの友達になってあげる」
「いやですわ! ……あれ? 友達だけ!?」
「ふん? なら何になって欲しいと思っているの?」
もしかして燕未ちゃん、私と……。
「いや、なんでもありませんわ。とにかく、ジメメヌの友達なんてまっぴらごめんですわ! あなたのことなんて大嫌いですわ!」
今の態度は何か誤魔化そうとしている時の強がりっぽい。まあいいか。
「でも私はやっぱり燕未ちゃんのことが大好きだよ」
そう言って私は燕未ちゃんの体を自分の胸に運んで抱き締めた。とはいってもこのサイズ差だと彼女はただ私の左胸にくっついているように見えるだけだけどね。
「な、何をしますの!? なんでわたくしはジメメヌのこの嫌らしいものに。嫌がらせのつもりですの? 放しなさい!」
彼女は藻掻いて私の胸を叩いている。全然痛くないけど、なんか擽ったい。自分の胸のところでもぞもぞ動いている燕未ちゃんはやっぱりまた可愛く感じる。
「嫌らしいって? 本当にそう思う? 本当は好きじゃないのか? いつもジロジロ見ているくせに」
「ち、違いますの! 目障りだからですの! 今だって呪いでこんなものを消したいくらいですわ」
「あ、そういえばこれは本来の呪いの目的だったね」
そもそも『胸を小さくする』呪いのつもりなのに、間違って『小人にする』呪いになっちゃったね。まあ、体の全部は小さくなるから、これも胸が小さくなるとも言えるけど、意味合いは違うだろう。
でも今は逆に彼女から見れば大きくてクッションのように見えるだろう?
「わかったら早く放しなさい」
「うん、そうね。わかった」
私は燕未ちゃんを抱きしめている腕を体から外して、そうすると……。
「ギャッ!」
さっき私の胸と腕の間に挟まれていた燕未ちゃんは、私の腕がこの場からなくなったら当然重力によって下の方へ落ちてしまう。
「もう……!」
落ちる前に彼女は私のシャツを掴んで結局落ちないように済んだ。しかし今の姿勢はちょっとやばく見えるかも。
「ほら、やっぱり燕未ちゃんは私の胸すごく好きだよね~」
「は!?」
今燕未ちゃんの掴んでいるのは私の胸の部分のシャツだ。
「巫山戯ないでちょうだい! 掴むところはこれしかないからですわ」
「そうだね。『絶壁』でなくてよかった?」
「そういう意味では……。大体あなたがいきなり腕を外したから」
「放してって言ったのはそっちでしょう?」
「そうだけど……もう、恍けないでちょうだい! もっと優しくできませんの? あなた、わたくしのことを好きって言ったくせに」
「あれ? それってつまり私の『好き』を受け入れてくれたってことなの?」
やっと私の気持ちは伝わったのか。嬉しいね。
「ち、違いますわ。別にそういうつもりではありませんの。とにかくわたくしを下ろしなさい!」
「いいよ。燕未ちゃんが私のことを『好き』って言ってくれたらね」
「そんなこと、絶対ごめんですわ! ジメメヌのことなんか嫌いですの!」
「ならずっとここにいたい?」
「あなた馬鹿にしていますの? 卑怯ですわ! こんなことして満足ですの?」
「うっ……」
やっぱりそう簡単にはいかないか。まあ、脅かして心にもないことを無理矢理言わせても虚しいだけだろうけど。
「そうね。じゃ、こうしよう」
私は体勢を変えて、倒れて仰向きに寝ることにした。そうしたら燕未ちゃんは私の胸の膨らみを下敷きにぺたんと座ることになった。
「はー、助かった。って、ここは!? 嘘……」
「座り心地はどう?」
「さ、最悪ですわ。なんでわたくしはあなたの脂肪の塊なんかの上に座らなければならないですの?」
「こんなに気持ちよさそうに座っているくせに?」
「そ、そんなことないですわ! こんなもの!」
そう言いながら彼女は私の柔らかい膨らみを何度も叩いて、その弾力で遊んでなんか楽しそう(?)だな。私もこのままでは変な感じになってしまう。
今私、初めてCカップでよかったと思うようになったかも。