009─1-Sクラス─
入学して3日目。新中等部1年生達は割り振られたクラスの教室を探す。今年からフィスラティア学院の生徒となったノアとヴィンセントの2人も入学時に配布された冊子に印字されたクラスの教室を探しながら廊下を歩いていた。
「AⅠ、AⅡ、AⅢ、AⅣ、BⅠ……ノア、この調子だと僕達のクラスは遥か遠くにありそうだね」
隣を歩くヴィンセントの言葉に、ノアは廊下の奥を眺める。長く続く廊下の両隣には教室。各教室の前方入口にはクラス名が印字された表札があった。クラスはAから順にB、C、D並んでいるが同じAクラスでも細かくローマ数字でⅠ〜Ⅳに区分されていた。ヴィンセントの言う通り、ノア達が割り振りられたSクラスの教室はまだまだ先にあるようようだ。
「1年だけでも魔術児が多いな」
ノアとヴィンセントが廊下ですれ違う生徒達を横目で眺めると、視線が合いそうになった生徒達がすぐに目線を逸らす。周囲は噂の的でもある"中途入学者の新入生"が物珍しいのか、中等部棟に入ってからノアとヴィンセントは好奇の目で見られ続けていた。
「気づいていないとでも思ってるのかなぁ?目を逸らすくらいなら最初から変な目で見ないでほしいよ」
「皇族を目の当たりにすることなんてそうないからみんな興味があるんだろ」
「それはそうだろうけど……、どちらかというと皆の関心は……」
言葉を区切るとヴィンセントはノアの方を見る。
「……?」
「どう育てばそこまで無頓着になれるのか不思議だよ」
「は?」
自分の顔を見てよく分からないことを呟きながら1人ため息をついたヴィンセントにノアは何を言っているんだと言いたげな表情を浮かべた。
(ま、その方が僕としては助かるんだけどね)
害虫避け作業も手軽にできるとヴィンセントはやや鼻歌交じりでノアの隣を歩く。わかりやすく機嫌が良くなったヴィンセントを一瞥してノアは視線を上げた。そこには1-Sと彫られたプレートがある。
「Aクラスの生徒が羨ましく思えるね」
「ヴィンセント、歩きずらいよ」
「変なのがいるかもしれないだろ?僕がノアを守らないとだからね!」
「守るって、何から……?」
離れるつもりがないらしいヴィンセントはさらにノアの右腕に両腕を絡ませながら身を寄せる。ヴィンセントを引き剥がすことを諦めたノアはそのまま教室の扉へ手を伸ばす。
「……。」
教室内にはすでに生徒の姿がちらほらと見えた。その全員の視線がノアとヴィンセントに向けられる。ヴィンセントは未だにノアにくっついたまま、周囲を気にした様子もなく黒板の方へと視線を向けた。そこには"席は自由。時間までに着席しておくこと。"と簡潔に指示が板書されている。
「ノア、席は自由だって。どこに座る?」
「座れればどこでもいいよ」
ヴィンセントに腕を引っ張られながらノアは教室内を観察した。最大3人が座れるようになっているライティングデスクは紅領地でよく見られる装飾が施されている。机上には備え付けで引き出し付きの棚があるが、教壇に立つ教師の顔が見えるように低めに設計されていた。椅子はデスクと違って個別で座れるようになっている。造りはやはり紅領地に倣ったライティングデスクとセットになった調度品のようだった。学ぶ場としては細々としたところまでにこだわられている内装になっていた。
(……本館もホールも中等部棟も、学院の主な内装担当は紅領地出身の人間だったのかもしれないな)
一通り観察をし終えたノアはヴィンセントと共に後方の空いた席に並んで座った。ノアが窓際、その隣がヴィンセント。さらに隣の席がまだ空いているを見たノアは思考を巡らせる。もしこの後、空いている席に誰かが座った場合、ヴィンセントは両隣が挟まれた状態で授業を受ける事になるわけだが、その状態で勉強に集中できるのだろうか、と。そんな疑問を抱くノアだったが、その心配は杞憂に終わりそうだった。ライディングデスクの横幅は十分に余裕がある造りになっている。さらに気持ち程度ではあるがシンプルな彫装飾がされた仕切り板がデスクの左右にあることで両隣の生徒の視線も特に気にならないで済みそうだった。よくよく考えればヴィンセント自身も両隣に誰かが居るからと気にするような性格には見えない。
(……もしヴィンセントが壁側の席が良いって言えば変わればいいだけだ)
ヴィンセントと何気ない会話を交わしている間も、当たり前ではあるが教室に入ってくる生徒は増えていく。半数以上の席が埋まってきた頃、ふと前方の扉が開いたことに気づいたノアが視線を向けると2人の生徒が入ってきた。
「……眠い」
「……、眠いのはいつもだろ」
襟足を長めに整えた金髪に金眼、金属性によく見られる特徴を持つ女子生徒と平均的に身長の低いフードを被った男子生徒の組み合わせはある意味歪さを感じさせる。2人のうち女子生徒の方は早朝に何故か追いかけっこをしていたあの女子生徒。あの時はフードを被っていたが常に被っているわけではないらしい。
「ふぁぁあ……」
「……。」
近くの席に座ると思っていた2人は意外にも離れた席に座った。入るタイミングが同じだったのか、顔見知りだっただけなのか……2人の関係性は今の段階では分からない。ノアはヴィンセントに名前を呼ばれたことで2人の生徒から視線を外した。
「結構1人でいる生徒が多いね」
ノアがヴィンセントの言葉に頷いた時、ある生徒が2人の元へ近づく。
「クラス替えの時は大体こんな感じだよ!初等部上がりでも全員と顔見知りになるわけではないからね」
声がした方へノアが視線を向けると、赤眼と目が合う。
「ハウラ、引っ張るなよ」
2人に声をかけた生徒は以前と同じく片割れの生徒と手を繋いでいた。
「おはよう‼︎同じクラスみだいたね!」
「あれ?ほんとだ」
ノアは先日知り合った双子の生徒、ハウラとルアンを見上げる。
「……誰?」
ヴィンセントが首を傾げる隣でノアは2人を見たまま。
「おはよう、ハウラ。ルアンも」
ノアが挨拶を返すと、ハウラは嬉しそうに笑顔を浮かべ、ルアンは挨拶を返した。やや不満げな表情を浮かべているヴィンセントをそのままに双子はノア達の前の席に座った。互いに椅子を少し寄せると双子は向き合う形で座ってノアの方へ振り返る。ノアと出会った時と同様、双子は今も手を繋いだまま。動きにくそうな気もしたノアだったが、本人達は慣れている様子。
(双子というのはこういうものなのだろうか……?)
1人で疑問を抱いていたノアの肩を隣からツンツンとつつかれる。ノアが隣へ視線を向けるとまだ双子と面識がなかったヴィンセントがどこか拗ねた様子でノアを見ていた。
「……。」
なんとなくヴィンセントの言いたいことを察したノアは視線を双子の方へ向ける。
「ヴィンセント、この2人は昨日の朝知り合った──」
「ノアの友人のハウラ-ソミュールだよ!」
「同じく、ルアン-ソミュール」
よろしく、と声を揃える双子を前にヴィンセントは数回瞬きを繰り返す。続いてノアはハウラとルアンに声をかける。
「ハウラ、ルアン。隣に座っている彼はヴィンセント。僕の──」
「ノアの"親友"のヴィンセント-クラウスだよ」
ノアが言い終わるよりも先にヴィンセントは自ら名乗ると続けて双子と同じようによろしくね、と一言添えるとにっこりと爽やか(?)な笑みを浮かべた。双子は顔を見合わせると再びヴィンセントに視線を戻し、こちらも似たようなタイプの笑みを浮かべる。そんな交流をしている間、ノアはノアの方で言葉を遮られた事が気になってはいたが、事実どう紹介していいか迷っていたところもあった為、本人達が自ら名乗ってくれたことにある意味感謝の念を抱いて3人へ視線を戻す。
(──それにしても……)
ヴィンセントと双子を見たノアは1人首をかしげた。
(なんで黙り込んでいるんだろう……?)
ノアの視線の先で、ヴィンセント、ハウラ、ルアンの3人は面と向き合ったまま喋りもしなければ動きもしない。状況を把握できずにいるノアだったが、本人達にしか分からない何かがあるのだろうと普段通り特に気にせず静観することに徹していると教室に入るや否や、ノア達を見て何かに気づく生徒が1人。
「──ヴィンセント兄上!」
声をかけて駆け出したその生徒は、ノアと双子が視線を向けるよりもヴィンセントの背後に抱きついた。
「っ‼︎……アルセルフ?どうしてここに」
突然抱きしめられたことに驚いた様子のヴィンセントだったが、相手が誰かすぐに気付いた様子を見せると、慣れた手つきで自身と同じ髪色の頭を撫で始める。
「僕もこのクラスなんです!兄上も同じだったなんて……すごい偶然ですね‼︎」
背後からヴィンセントに抱きついたまま、アルセルフと呼ばれた少年は嬉しそうに笑った。
「学院に入る前に飛び級したって聞いていたけど……まさか、同じ学年だったなんてね」
ヴィンセントとアルセルフの会話を聞いていたハウラがパチパチと瞬きを繰り返す。そしてすぐに、あっ、と思い出したように言葉を漏らした。
「あの噂ってやっぱりアルセルフ君だったんだー!」
「あぁ、初等部で噂になってたっけ。誰かが中等部に飛び級合格したって」
ハウラに続いてルアンも思い出した様子でアルセルフへ視線を向けた。
「……飛び級?」
ノアが首を傾げると双子は同時に頷く。
「上の学年に上がるに相応しい実力を持っているって事を学院側が認めたら、年齢関係なく上の学年に上がれる飛び級制度っていうのがあるんだ」
「去年の入学段階で初等部1年生じゃなくて6年生のクラスにいたから、アルセルフ君は初等部内でも有名だったんだよねー!」
「上級生に紛れて1年生が授業を受けてるって大騒ぎだった。しかもそれがこの帝国の第三皇子だから尚更」
「うんうん!さらに成績は初等部首位‼︎ここの教育は他国の魔術学院と比べても群を抜いてるって言われてるのに、どの分野もトップを占めてたんだよ!」
「噂を聞いてまさかとは思ってたけど……本当に中等部に上がってたなんてな」
双子の話を聞いたノアは、今もヴィンセントと楽しげに話すアルセルフを見た。ヴィンセントと似通った容姿を持つ少年。双子の話にも出た様にヴィンセントの弟にあたるこの帝国の第三皇子には周囲からの視線が向けられていた。確認するまでもなくアルセルフもノアやヴィンセントと同じ噂の的になっている人物らしい。ハウラとルアンによる詳しい話によると、アルセルフの飛び級入学は過去にも数えるほどしかない出来事だったらしく、さらに続けて飛び級して中等部に上がった初等部生はアルセルフが初めてだったという。入学してすぐ二度飛び級したということは、今のアルセルフの年齢は9歳。中等部1年生の生徒は通常通りなら13歳。魔術児時代の3歳差はかなり大きい。
「一度の飛び級ですら凄いことなのに二度も飛び級してしまうなんて」
「第三王子がとんでもない秀才だっていうのは本当だったんだね」
3人が話している間も、本人は兄であるヴィンセントしか見えていない様子でノア達を気にする素振りを見せない。アルセルフが嬉しそうに跳ねる度に少し癖っ毛気味な髪が揺れる。洗練されたヴィンセントの表情よりもまだあどけなさを残した年相応の表情を浮かべているアルセルフを眺めていると、ヴィンセントに抱きついたままだったアルセルフが顔を上げる。ふとノアとアルセルフの紫眼がパチっと交わった。
「あれ、紫眼……?」
ノアに気付いた様子でアルセルフは驚いたように目を開く。
「そうだ、アルセルフ。紹介するよ、彼は僕のルームメイトで親友のノア、ノアフォルトス-セレシルヴァ。そしてこちらが……」
「ノアの友人!ハウラ-ソミュール!」
「同じくノアの友人、ルアン-ソミュール」
双子が名乗った瞬間、ヴィンセントの周辺の空気がピシッと凍った気がしたのはノアの気のせいではなかった。ヴィンセントは気に食わないという心内を表に出すことはなく、貼り付けた笑みのまま。
「……そしてこっちが、僕の弟アルセルフだ」
「あ、えっと……アルセルフ-クラウスです。ソミュール先輩方の事は何度か初等部の頃に、お見かけしました。結構有名人でしたし……」
ヴィンセントから離れながら、アルセルフは双子の方を見た。お互いにお互いのことを一方的に認識していたらしい。アルセルフの言葉を聞いた双子は顔を見合わせてすぐに視線を戻す。
「うん!私達もいろいろと有名だった自覚はある‼︎」
「俺達も君の事は何度か見かけた事あるよ。初等部一の秀才だって有名だったし」
ハウラとルアンは空いている手でアルセルフと握手を交わすとお互いに、よろしく、と声をかけた。
「えぇっと……」
双子との対面を済ませたアルセルフは続いてノアの方をチラッと見ると何故か言い淀む。
(……?)
ノアは疑問を抱きながら、とりあえず自分から声をかける事にして立ち上がった。
「初めまして、僕のことはノアって呼んでくれ。そう呼ばれる事の方が多いから」
「あっ、はい!ノア先輩‼︎僕の事も名前で、気軽にアルセルフと呼んでください!」
「敬称も付けなくていい」
「私達のことも敬称なしでいいよ!気兼ねなくハウラって呼んで!」
「俺のことも、ルアンって呼んでいい」
緊張した様な面持ちでノアを見上げていたアルセルフは少し緊張を解いた様子で頷くと再びチラッとノアの方へ視線を向ける。しかしさっきと同じように何か言いたげにしながらも、なかなか口にしようとしない。
(……人見知りをする性格なのだろうか?)
すぐに交友関係を築き上げてきたヴィンセントとは違い、控えめな仕草を見せながらジッとノアを見つめてくるアルセルフ。しかしその視線に怯えた様子はなくどこか力強い光を放っていた。
「……?」
不思議な素振りを見せるアルセルフに疑問を抱きながらノアは首を傾げる。ここでアルセルフはノアから視線を外すと、バッと勢いよくヴィンセントの方を振り返った。
「!」
突然の事にビクッと反応を示したヴィンセントだったが、すぐに元の笑みを浮かべてアルセルフへ視線を向ける。笑顔を浮かべてはいるものの、ヴィンセントの方もどうしたのか不思議に思っている様子。それはノアやさっきから引き出し棚の上に左右反対の手で頬杖をつきながら、パチパチと瞬きを繰り返す双子も同じだった。
「えっと……」
ノアから声をかけようとした時、再び勢い良くノアの方を見上げたアルセルフの挙動不審な動きにノアも思わずビクッと反応してしまう。
「あ、あの!ヴィンセント兄上とお友達になって頂き、ありがとうございます‼︎」
ようやく声をかけてきたアルセルフは嬉しそな表情を浮かべながら何度もペコペコと頭を下げる。どうやらそれが言いたかったらしく満足そうでもあった。思わぬ弟の行動と言葉にヴィンセントは呆然とし、様子見していた双子もポカーンとした表情をしていた。この中で恐らく一番早く我に戻ったノアは返答するべきか考える。
「……いや、むしろヴィンセントがいてくれて僕の方も心強いよ。同じ中等部からの入学だったから」
「‼︎僕も嬉しいよ、ノア!これからも親友として仲良くして行こうね‼︎」
勢いよく振り返ったヴィンセントの表情は今日一輝いていた。
「ん?うん、勿論、そのつもりだよ。えっと……これからもよろしく、ヴィンセント」
「もちろんだよ、ノア‼︎」
ヴィンセントの突然のテンションの上がり様、そして何故か隣にいる双子から漂う不穏なオーラ。
「……。」
「……。」
ノアがチラリとハウラとルアンを盗み見るとニコッとした笑みのまま、ヴィンセントを凝視していた。
「……ふっ」
そんな2人に気づいたヴィンセントもまた、笑顔で返す。さっきから妙なやり取りが多い3人に気にする様子もなくアルセルフは嬉しそうにノアに近づいた。そっと口元に手を添えながら見上げてくる姿になんとなく察したノアは腰を屈める。
「兄上はノアと友人になれた事が嬉しいようです」
「?ヴィンセントは結構友人が多いようにも見えるけど……」
現に入学式の時も幼馴染組の生徒達と一緒にいたり、本人は友人が少ないと言いながらも寮内でも何人かの寮生に話しかけられてもいたヴィンセント。
「でも兄上が進んで誰かを紹介するのは初めてなんです!それに兄上があんなに楽しそうにしているのは珍しい」
「楽しそう?」
「はい!よっぽどノアの事が好きなんですね‼︎」
確信を得ている様子のアルセルフの言葉にノアは首を傾げたが、ずっとそばでヴィンセントを見てきているはずの弟の彼が言うのだから、そうなのだろう、と納得した。
「あ、そろそろ時間ですね」
アルセントはそう言ってまだ空いていたヴィンセントの隣の席に着席する。時間を知らせる鐘の音が聞こえてきたことで、ヴィンセントと張り合っていたハウラとルアンも椅子を戻して座り直す。2人の隣の席は埋まっていなかった。どうやら席は余分にあるようで他の席も所々空いている。ノアと隣に座るヴィンセントの2人は、今も手を繋いだままでいる双子の事が気になっていたが、気になるだけに留めた。アルセルフは初等部の頃からその姿を見ていたからか、特に反応を示していない。
「──よし、ちゃんと席に着いているな」
教室に入ってきた女性教師が教壇に立つ。
「このクラスを受け持つ事になった。担任のカミラ-ラピスラントだ。よろしく頼む」
カミラは一人一人の顔を確認するようにゆっくりと教室内を見渡す。
「……。」
ノアは担任教師だと言うカミラを見て、すぐにその高い位置で団子状にまとめられた黒い髪に視線を向けた。
「ノアと同じ黒髪だね」
前の席からハウラが声を顰めてノアに声をかける。ノアがハウラの方へ視線を向けると目が合ったハウラはどこか楽しげに笑みを返して前を向き直す。ノアの方も視線を前に戻すと、碧眼の鋭い視線が交わった。ハウラとのやり取りを見られていたのか、しかし注意されることはなくカミラの視線はすぐにノアから逸れる。どうやら偶然目が合っただけだったらしい。
その後はカミラによって今後の流れを伝えられる。これから行われるのは予定されていた通り、授業で使用する教材の配布。教材は別室に用意されているらしく、カミラと手助けを買って出た数名の生徒達が教材を取りに戻る間、ノア達を含めた残りの生徒達は待機する様に指示を受ける。周囲の生徒達の会話に紛れて、ヴィンセントはノアに声をかける。
「担任の先生、厳しそうな人だったね」
ノアはさっき向けられたカミラの鋭い目つきを思い出しながら小さく頷く。
「ラピスラント先生って一見怖そうに見えるけど生徒達には人気の先生なんだよ!」
ヴィンセントの話が聞こえたらしいハウラが振り返りながら会話に加わる。
「僕も怖そうな人だなぁって思ってたんですけど、それを聞くと少しホッとしました」
ハウラの言葉を聞いたアルセルフは安心したように胸を撫で下ろしたが、間髪入れずルアンが続ける。
「でもやっぱり怒らせると怖いらしい」
「それも夢に出てきちゃうくらいにね!」
「えぇ!?」
怒られない様にしないと、とアルセルフが震える中、ヴィンセントは、弟を怖がらせないでよ、と釘を刺す。そしてノアは今もアルセルフの反応を楽しむ双子を見て疑問を抱く。
「……それって誰情報?」
ノアが双子に問う。ハウラとルアンが顔を見合わせた後、うちの寮長情報!、と声を揃えたところでカミラ達が教材を抱えて戻ってきた。
源創魔術師の黙示録を一読いただきありがとうございます。
世埜です。加筆修正してからようやく続編を投稿できました。こんな感じでゆっくりとノア達の日常が動いていきます。
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毎月15日を目標に更新予定。※あくまで予定。
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