美少女戦士ミルちゃん
「ブヒィ!」
ボクは何故かイケメンサッカー部エースの陣内くんにサッカーボールキックを食らっている。
「ややや、やめるでござるよ!」
「キモいんだよオタク!」
ドガッ!
「ブヒィ!」
ただ彼のサッカーボールキックをもってしても、ボクの巨体は動かない。痛いことはいたいけれど。
「あやや!光圀氏!大丈夫ですかな?」
「デュフフ。ボ、ボクのATフィールドとアイカちゃんのそれが融合連携して、使徒の侵攻を防いだのでござるよ!」
「おお!さすがは光圀氏!融合連携はまさにロマンですぞ!!」
ボクの言霊に反応を示す古強者は山根氏。彼はイケメンの上にアイドルオタクという高スペック!ボクについてこれるとはやりおる。
「うっわ~。キモ」
「な、何ってるか一ミリも理解できないんだけど……」
「まじありえんてぃ」
このメスブタどもは、相川 美紅という現役アイドルを筆頭にしたギャルグループ。カーストトップグループに君臨しているんだから、いちいち絡まないでほしい。
「おおお~mikuちゃんは今日も天使だぁ~!」
「や、山根氏?」
ダメでござる。この男はアイドルならこのメスブタにも尻尾を振ってしまうパブロフ状態だ。かれの死は無駄にしないでござる。
「いいから蹴られておけばいいんだよ。キモオタ!」
ドガッ!
「ブヒィ!」
「やめなさい!騒ぎになっているわ!また陣内くんと光圀くんね」
「い、委員長~だってこいつがよぅ」
「光圀くん。いい加減そのキモい笑いをやめなさい!」
「ブヒヒィ。こここ、これはボクのアイデンティティなのでござる」
「とにかくキモいのよ!」
クラス委員長の舞島 早苗さんは、陣内君のサッカーボールキックを止めてくれると思いきや、ボクを罵り始めた。
このクソビッチめ。
こうなったら何をいっても無駄なので、無言で自分の席に座ることにした。最近また体重が増えたようで、ドカッと大きい音がなってしまう。
「いい加減それなおせ、ブタオ!」
ばちん!
「ブヒィ!」
なにが癪にさわったのか、隣に座っている幼馴染の美月ちゃんは、ボクひっぱたいて罵る。幼稚園の頃はやさしかったのに。
『大人になったら匠くんのお嫁さんになる!』
なんて言っていたのに、今は生ごみ扱いだ。
でもボクはそんなことは気にならない。だって今日は『美少女戦士ミルちゃん』というギャルげーのダウンロード公開日なのだ。
先行予約までした、期待作。これに重課金してミルちゃんをかわいがってあげるんだからね。デュフフウ!
デュフフ、放課後。そろそろ公開時間!
ボクはWi-Fiが使える職員室を裏手から回って、隠れる。ここは校舎裏にあたるけれど、先生に見つからずにWi-Fiが使えるのだ!かえってからだと、スタートダッシュに遅れるのでござる!今がその時!いまでしょ!
さてダウンロード開始~!
「いいじゃんかよ~!今日あそび行こうぜ~!mikuちゃ~ん」
「嫌よ!あたしは忙しいの!」
「おいおい、アイドルでちょっとかわいいからって調子にのってんの?」
「ひっ」
「あんたマジありえんてぃ!その顔に傷いれてやろ!キャハハ!」
「……や、やめて……ください」
ブヒィ!!これはいけないでござる!
みると男子2名と女子1名が、現役アイドルmikuちゃんに襲い掛かろうとしている。
彼女にはいつも罵られてブタとか、キモイとか、肉団子とか呼ばれているけれど、女子のピンチは助けなければならないのでござる!
ただボクは喧嘩がめっぽう弱い。女子にもイジメられて殴られたり蹴られたり、ビンタされたり、ツバを吐きかけられたりするぐらい弱い。
だったらどうするかと言えば――
「デュフフフ。これはこれは、うまそうなオナゴがおりますなぁ……」
「な、なんだこいつ……」
「お、オーク?」
「いやハイオークじゃね?」
いや、オークもハイオークもそんなに変わらないでしょ。
「ブヒヒヒィ!女どもは孕ませて、男どもは肉にしてくうのでござる!」
ドシン!ドシン!ドシン!
「ひぃいい!!!なんだこいつぅうう!」
「や、やめて……お、犯される」
「や、やめろ……やめろやめろやめろ!」
じょわわあ~~~~~!!
恐怖のあまり、ロンゲのヤリチンくんがおもらししてしまった。ナンパなイケメン日焼け金髪や、ギャルでビッチそうな女子も腰を抜かしている。
ドシン!ドシン!ドシン!
「デュフフフフウ!オレ オマエ クウ」
「「「食わないで~~!!」」」
3人は、ばたばたとコケながら命からがら逃げだした。口ほどにもないやつらだけれど、正直明日がこわい。いや、今が怖い。
だってmikuさんが怯えてボクを見ているから。
「いや……いや……た、たべないで……」
ちょろちょろちょろ……
……やりすぎたでござる。
仕方ないので、制服の上着を脱いで下半身を隠してやる。ハイオークの被害者だから、優しくしてあげるんじゃないんだからね!
さて、この怯えたmikuちゃんをどうするか。ほおっておけば、何か言われるし、保健室に連れて行けば強姦魔扱いされそうでござる。いやハイオーク扱いか。
「じゃ、じゃあボクは、こ、これで」
「……あ……」
何が正解かわからないけれど、いま悲鳴を上げられないことを優先しないと、ボクが強姦したみたいな絵面でござる、どうみても。
刺激しないように、そろりそろりとその場を去って行った。
思い出してスマホをみると、『美少女戦士ミルちゃん』のダウンロードが終わっていた。デュフフゥ!最高!
あ、あれ?
スタートボタンをおしたら、またダウンロードが始まったでござる。最近のゲームは重すぎでしょうが!!!
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