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妖怪マニアの転生ギルド生活  作者: 音喜多子平
プロローグ
2/46

第二話

テンプレ。


(・・・どこだ、ここ?)


 俺は生まれて初めて目が覚めた事に疑問を感じるという経験をした。


 見知らぬ白い天井をただ見つめる事しかできない。


(ひょっとして、アレか。病院か?)


 頭は冷静に事故の記憶を引き出してきてそう結論付けた。すると今度は怒涛の心配事に襲われる。


 え?


 ちょっと待て。今、何日の何時だ?

 

 俺が事故ったことってバイト先に伝わってんの?


 てか、入院費ってどうなるの? 貯金ねーぞ、俺。


 色々な事が頭の中を駆けまわっていったが、いずれにしてもベットの上にいたのではどうにもならない事だと思い諦めた。その内に看護師の人が様子を見に来るだろう。


 しかし、結構重症なのかもしれない。なぜなら、身体が思うように動かないからだ。顔が痒いっていうのに満足に腕を動かすことができないでいる。それがもどかしい。それでも意識を集中させて右手を顔へと持ってくる。


 すると。そこにはやけに小さい手があった。


 ・・・は?


 思考が止まった。神経を通して脳みそが感じ取っている以上、証拠を提示する必要もなく、これは俺の腕なのだが、理解は追いついていない。


 ひょっとして腕が千切れてていて、子供の腕しか移植できなかった・・・とか? いや、そんな事ある訳ないか。じゃあ、アレだ。デット・プールみたいに驚異的な再生能力が身について、千切れた手が新しく生えてきている最中なんだ・・・みたいな? もっとあり得ないだろう、それ。



けど、そうでも考えないと思い付く限りの発想の中で最もあり得ない答えを出すしかない。


・・・生まれ変わった、のか?


今の状況と頭の中の記憶をそのまま足し算してしまうと、実に説得力のある結論に至る。



俺は交通事故に遭った。

死んだ。

新しい人間として生まれ変わった。

以上。



自分で自分にツッコミたくなる論だったが、状況証拠が揃い過ぎている。


ふわふわのベットと枕に預かられた体をもぞもぞと必死に動かす。部屋は石の天井に木の床が窓から入ってくる光に映えていた。ここから見える範囲で、窓は三つ。テーブルや本棚は整頓されており、花瓶の花が部屋の雰囲気をより柔らかくしている。


 掃除も行き届いている様だが、あちこちが過度なほどに整理されている印象をうけたので、きっちりとした性分の人が住んでいるかも知れない。


 生まれ変わりだとすると真っ先に考えるべきは、どんな世界に生まれたのか、これに尽きる。


 ・・・くそっ。これは、アレか。


昨今のWeb上で散見される異世界転生ものの小説のニアピン賞といったところだろうか。あの手のものは事前にどんな世界に生まれ変われるか教えてくれる神様が居たり、都合のいいスキルとかをくれたりするのが大半だと思っていたはずだが、俺にはそのいずれもない。


 部屋の様相だけしか今のところ情報はないが、察すると案の定どうやら中世ヨーロッパ的な世界のようだ。


 この分だとひょっとしたら魔法やモンスターなどは存在しているかも知れないが、妖怪は名前すら存在していないだろう。


とことんニアピンだ。


 色々な考えが頭を巡り、期待と不安に胸が膨らみ、結局は落胆で終わってしまった。


 その落胆ぶりは疲労感に変わる。俺の意識は再び夢中に到達していった。


読んでいただきありがとうございます。


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