ルビ振りの可能性なのです。
可能性に気づいたので、拡張するのです。
みなさん、呪文の詠唱って、好きですか?
私は好きです。だってカッコいいと思いますもの。
そんな呪文の詠唱って、どんな風に表現されてます?
例文と一緒に解説してみましょうね。
・ファイヤーボール
火の魔法といえば、これ。みたいな印象があります。
火の玉を発射する魔法で、基本的な魔法っぽいですね。
効果は、着弾すると爆発するものもありましたね。
ではこの、ファイヤーボールの魔法に詠唱を付けてみましょうね。
「炎よ、燃え盛り球となれ。『ファイヤーボール』」
はい、適当です。
この詠唱に対して、呪文名をルビ振りにしようとすると、
「|炎よ、燃え盛り球となれ。《ファイヤーボール》」
↑適用できていないことが分かると思います。
これに、ルビ振りを適用しようとしますと……。
※1、「炎よ、燃え盛り球となれ。」
※2、「炎よ、燃え盛り球となれ。」
こんな感じでしょうか。
※1の方は、ボールの方にものっすごい気合い入れてる系の詠唱ですね。
それに対して、※2の方は、文字の配置的にもバランスがいいと思われます。
これらは、どうやったかといいますと……。
その前に、ルビ振りに関するおさらいをしておくのです。
第6部分、「ふりがなをふるのです」を参照にします。
半角縦線 | 、ふりがなをいれたい漢字 、括弧《 、ふりがな、括弧閉じ》
こうしておきますと、『漢字を含むふりがなをいれたい文字』、『ふりがな』が、それぞれ10文字以内なら適用されるのですが、10文字を越えると適用されなくなるのです。
それをふまえまして、さっきの呪文詠唱を解体していくのです。
※1、「○炎よ、《ファイヤー》○燃え盛り球となれ。 《ボール》」
※2、「○炎よ、燃え盛り《ファイヤー》○ 球となれ。《ボール》」
はい、やったのはこれだけ。
↑の○の部分に、半角縦線|を入れると、
※1、「炎よ、燃え盛り球となれ。」
※2、「炎よ、燃え盛り球となれ。」
こうなります。
解説しますと、『一つの文章に対して』、『二つ以上のふりがなをふった』だけです。
次は、こんなのどうでしょう?
「炎よ、燃え盛れ。|風よ、渦を巻き嵐となれ。《トルネード》」
中途半端に適用されているのが分かると思います。
では、これを違和感が少なくなるようにやってみましょう。
いつでもトライアンドエラーなのです。
「炎よ、燃え盛れ。風よ、渦を巻き嵐となれ。」
こんな感じですかね。
こちらも同じように解体していくのです。
ガキィン! ドリュゥン!
「○炎よ、燃え盛れ。《ファイヤー》○風よ、渦を巻き《トルネ》○嵐となれ。《ード 》」
先程と同じように、○を半角縦線|に変えると適用できます。
さて、いかがでしょう?
可能性は広まりましたか?
知っとるわーい!
やっとるわーい!
と、思う人もいることでしょう。
では、もう一つの可能性を、例文を添えていきましょう。
※
超能力者。
これまでオカルト扱いされてきたいろんな能力を持った人が、突然現れるようになった。
神様からギフトを授かった! と騒ぐ世間に白い目を向けていた私だけれど、ある日、黒いスーツでサングラス姿の人たちに告げられた。
「こんにちは。我々はこういうものです。あなたも超能力が発現したことが分かりましたので、我々の拠点までご同行願います」
その後、有無を言わさぬ態度で、けれど丁重に連れられてある施設で検査を受けた結果。
私も、「超能力者」になった。
そして、今度は私が、白い目を向けられるようになった。
……それでも、幼馴染みの男子だけは、態度を変えなかった。
むしろ、孤立していく私のことを憐れんでか、朝の登校時間も夕方の下校時間も、ぴったり側にいるようになった。
理由を聞いても教えてくれなかったけれど、恋人ヅラすることもなく、ナイト気取りでもなく、ただ静かに側にいてくれる幼馴染みのことを、改めて好きになるのに時間はかからなかった。
けれど、変わらないつもりでいた私の態度が少しずつ変わってしまっていたのか、ある日から憎まれ口を叩くようになっていった。
「俺は別に、お前のことなんとも思ってないんだけど」
「こうして通学路一緒にいるのも、おじさんとおばさんに頼まれたからだし」
「超能力者っていっても、なんにも変わってないし」
「だから、別に、気にすることとかないし」
今日もまた、大好きな幼馴染みの、憎まれ口という名の心の副音声を聞き、腕にしがみついてぴったりと体を寄せる。
好き。大好き。
自分の考えは伝わらないけれど、相手の考えていることは伝わってくる『サトリ』能力者になってしまった私からは、友達と思っていた人たちは離れていってしまったけれど。
ぶっきらぼうな態度言動の心の中では、本当の気持ちをまっすぐに伝えてくる幼馴染みが愛おしくて。
今日もまた、突如得られたサトリ能力を、いるかどうかも分からない神さまに感謝するのだった。
※
はい、例文ここまでです。
ふりがなの、ルビ振りの可能性を示すことはできましたでしょうか?
ではでは、あなたも良いなろう生活を。
ある作者さんのある連載作品に、誤字報告機能を利用して、ルビ振りの可能性を提案させてもらったことがあるのですが……。
次回の連載の更新の際には、その提案を理解し、受け入れ、自分の作品に反映させていました。
誤字報告を適用してもらえたってことだけではないのですよ。
誤字報告を参考にして、提案したルビ振りを使いこなしていたということです。
作者さんの明確なレベルアップの瞬間に立ち会えたことは、素直に感動ものでした。
もし書籍化した暁には、「この作者はワシが育てた (ドヤァ)」と、ドヤ顔できるかもしれませんね。