第一次お見舞い対戦
「ゴホッゲホッ」
先日の大雨で全身びしょ濡れになり案の定風邪をひいた西川華恋。
「苦しい…ジメジメする…」
梅雨だもの当たり前である。そう前回に引き続き梅雨です。まだ引きずるのかって感じの梅雨である。
梅雨。連日の雨でテンションは下がる一方、テンションが上がるのは子供とマラソン大会とかそういう系のやつが嫌いな人だけである。泥だらけで帰って来る子供、通勤通学の過程でまあまあ濡れる靴、ズボンの裾も濡れたりするのでけっこうウザイ。濡れた服を洗って干すにしろ湿気が多く乾きにくい時期である。主婦の方々、いつもお疲れ様です。
(でも佐藤と相合傘…じゃなくて半分借りる事は出来たし)
誰も聞いてないのにいちいち言い直す。
(お見舞いとか来てくれないかな…ちょっと図々しいかな)
うん。図々しい。これもよくラブコメにある展開である。プリントを届けに来たという口実で女子の部屋に入り、いやらしい展開に発展しないか主人公がドキドキしたりするイベントである。華恋はこれを狙ってるのだろう。
(いやらしい事をする気は無いけど、部屋で二人っきりとか萌えるわよね)
ほんとかよ〜。する気ねぇのかよ。疑わしいところだが確かに思いを寄せる人の部屋で二人っきりというシチュエーションはなかなかに貴重であり、距離を縮めるにはもってこいである。
(そろそろ私もキャラ変した方がいいかもね、親しい人にしか見せない一面とか?ええやん)
何故か最後は関西弁。確かに周りの人には淑女を装ってるのに主人公にはツンとするツンデレキャラもいる。
(でも急にツンデレになってもな…てか私けっこうツンデレ入ってるのよね)
まるで『私ちょっと天然入ってるんだよねw』とか言って可愛こぶる女みたいな言い方である。
(何かいい作戦はないかしら……ピコーン)
はい〜何か閃いたそうですよ皆さん。
(こんなのはどうかしら
・まず部屋に上げる。
・そして他愛のない話をする。
・次になんかデレる。そこは臨機応変に。
・すると佐藤はどうせ『あーツンデレか俺のヒロインにぴったりやで〜』ってなるはず)
という作戦らしい。華恋は病人の身なのにテンション爆上げである。
(まぁ完璧ね流石は私だわ)
さて、どうなることやら。
…一方、宏はというと、
(あーーーーーーーーーーーーーーーへ)
情緒不安定だった。普段通りである。
(やばいよ!やばいよ!)
まるで某リアクション芸人ぐらいやばいを連呼している。
(黒歴史が増えたぁ〜。最悪だぁ〜)
先日の大雨で傘が壊れた華恋に傘を半分貸した時のセリフがカッコつけすぎにも程があった。何が『半分かしてやる』だよ。モブなのに主人公らしくするなよ。
(次会ったらどんな顔して会えばいいんだよー)
確かに恥ずい。めちゃ恥ずい。こういう時に一番辛いのは後日、華恋が他の友人などにその話をした際『え?何それキモ』とか『あーまぁ良かったじゃん』とか微妙な顔をされた華恋を見る事である。なんか罪悪感を感じる。
(まぁ俺モブだからみんな名前知らないんだけどね)
それはそれで悲しい。『え?誰それ?』これは他の誹謗中傷より傷付く。まだ認識されてるだけマシである。
(もういいや、そこら辺は何とかなるでしょ、てか何とかなって)
宏、心から願う。まぁどうせあやふやになって終わるだろう。他がそうだもの。
(それよりヒロインが風邪をひく。すると主人公が見舞いに行く。つまり俺が華恋の家に行く。なるほど)
は?何言ってるか分からない。頭がおかしいようだ。なら平常運転である。
(でもなぁ無理なんだよな…)
珍しく作戦も練らず最初から諦める宏。
(まず俺にそんな根性ねぇし)
なるほど。確かに。
(まぁ仕方ないか。てか世の主人公はどうやって行ってるんだよ。心境を知りたい)
確かに不思議である。なんであんなに都合よくヒロインもしくは女子の部屋に入れるのかは皆知りたいはずである。あんまり言うと危ういのでよしとこう。
(必ずしも世の主人公みたく部屋に行く必要は無いんだ。俺は俺らしい主人公になればいい)
何名言ぽいこと言ってんだこのモブ。
(今の名言じゃね?)
否、迷言である。
(次あいつが来たら『大丈夫?』って言うぐらいでいいか)
まぁ妥当なとこである。馴れ馴れしくしても引かれるだけだ。
(今日は普通に過ごすか)
と、いつも通り窓側の席で頬杖をつきながらぼーっとするモブであった。
時は流れ放課後…
(やば、雨降ってきた。最悪。てか今日相合傘出来たじゃん。…はぁー?だーる)
全力で惜しむ宏。そして彼は傘を普通に忘れたのである。
(めちゃ相合傘日和じゃん!相合傘専用の日じゃん!)
文句を言ったってしょうがない事ぐらい承知のうえで宏は心の中で文句を言う。
(傘ないし、けっこう雨強いし。詰んだ。はいウザイ)
絶賛ガン萎え中である。そんな中重い足取りで雨の中一歩ずつ前に出る。
「あぁー冷たいぃー」
きもい声を出すな。不快である。
(さっさと帰るか)
一方、華恋はというと
「んー…うーん」
熱でうなされていた。
「はぁっ!…今何時?」
時計の針はもう4時半をまわっていた。
(なんで佐藤は来てないの?え?モブなの?)
うん。モブや。彼は生まれてずっとモブである。外に出れば他のモブに秒で溶け込む。ある意味スキルである。
(でも来なくて良かったかも。うつっちゃったら悪いし、私自分の事しか考えてなかったわ。最低ね)
自嘲気味に笑いながら過去の自分の考えを悔やむ。しっかり反省して、考えを改めるのは素晴らしい。モブにもわかって欲しいものだ。
(あれ?てか雨降ってるー!今日相合傘出来たじゃん!)
やはりどこかのモブと同じように今日の方が相合傘に適していたと思う。だが過去には戻れない、それが人生である。人間がする1番のギャンブルは『人生』である。再生可能な失敗は成功の元にすれば良い。だが成功の元にならない失敗はもうどうしようも無い。だから人はいつだって冷静さを欠いてはいけない。
(今日はしっかり休んでまた明日学校で会えばいいよね)
明日の学校に期待し再び目を閉じ眠りに入る。だが、人生は甘くない。期待通りに行かないのが人生であり、そこが嫌になる。だがそこが楽しむ要素である。
翌日…
(そ、そ、そんな…なんで…)
華恋は1人教室で絶望していた。何故なら宏がいないからである。
(なんで居ないのよ!お礼もまだちゃんと改めて言いたいのに)
華恋はとても律儀である。完璧なヒロイン像を追求していたら自然にそういう考えが身につくのだろう。
すると先生が教室に入ってくる。
「休みは佐藤だけか。みんなも体調には気をつけろよ」
そう。宏は昨日の雨でしっかり風邪を引いていたのであった。
(もうさいあk……これは来たんじゃないかしら)
何か閃いたようだ。一気にテンションがアゲアゲだ。
(私が佐藤の家にいけばいいのよ)
来ないならば行くしかない。そりゃそうだ。これは男児からしたら最高のシチュエーションの内の1つである。いざ起きたら自分のベッドに頭を置いて寝てるという展開がベタである。しかも看病までしてもらっていると幸福度数は限界突破である。頭のネジの1本や2本取れてもおかしくない。その時に理性が飛んでいく者もいるのではないだろうか。
(放課後楽しみね。待ってなさい!あなたのヒロインが看病しに行ったるわ!)
ヒロインらしくない言葉遣いだがまぁ一応ヒロインである。昨日の宏とは裏腹に華恋の方は落ち着かない1日になりそうだ。さて、上手く行くのか。
放課後…
(いい具合に晴れてるし、先生からプリントは1人の時に貰ったし、完璧ね)
昨日とは違いスッキリとした晴れである。梅雨明けなのかと少し思いながら華恋は軽い足取りで浮かれながら歩く。
(そうだわ。道中でゼリーとか買って行ったら好感度上がりそう!名案だわ)
これは男児がちょっと結婚前提に付き合って欲しくなるシチュエーションの内の1つである。その週末には結婚指輪でも買いそうな勢いになる。まさに男がエンジンなら美少女はガソリンだ。あと美少女は燃費がいい。
(ちょっと急がないと、あ、家隣だったわ)
先日も忘れていたのにまた忘れたのか。皆様は隣人さんのお顔は覚えていますか?誰かも忘れたらあまりよろしく無いのでは無かろうか。華恋は手早く買い物を済まし宏の家に向かう。
(よし、インターフォン鳴らすわよ!いいわね?)
一体誰に聞いているのか。確かに異性の家のインターフォンを押すのは究極の度胸が必要である。例えるなら彼女の名前を違う女の名前で呼び間違えるドッキリをするようなものである。
(私ならできる。私ならできる。私なら)
できると復唱し自己暗示する。
ピンポーン。とうとう押してしまった。
「…………」
(あれ?出ないわね。佐藤以外家の人はいないのかしら)
しばらくしても誰も出てこないのでもう一度押すことにした。ピンポーン。
「はい、どちら様ですか?」
紛れもなく宏の声である。その声は弱々しく、少し枯れているような声だ。
「佐藤くん?私よ。西川華恋」
(キャー佐藤とインターフォン越しに喋ってる!)
「西川さん?……………ちょは?」
当然ながら宏は戸惑っている。まさか華恋が来るなんて思いもしない。本当にまさかである。
「ちょ、ちょっと待って!」
「うん」
(しんどそうだったな…私もだったけど)
少ししてドアが開いた。
「今日はどうしたの?」
普通の質問だ。急に美少女が家に来るなんて一体何のようなんだ。当然気になる。すると華恋は事前に事前に考えていたセリフを口にする。
「先生から頼まれてプリント届けに来たの」
そう。あくまで先生に頼まれただけ。仮に下心があったとしてもそれを感じさせない便利な言葉である。
「あーそうなんだ。わざわざごめん」
「いいのいいの。あれ?そういえばご両親は?」
最初から分かっていたクセに今気づいた風に両親の所在を確かめる。
「今、両親は仕事で家を出てて、妹は友達んとこ」
少し枯れた声で答える。
(へー佐藤、妹いるんだ。会ってみたいな)
これもよくあるのでは無かろうか。好きな人の兄弟や家族はやはり気になる人は少なくはないと思う。
ここで華恋、決めていたセリフの主要部分を口にする。
「あ、今1人なんだ。ご飯食べた?」
病人が1人なら心配にはなるだろう。ここでも優しい完璧な美少女を演出。
「いや、まだだけど。あんまり食欲無いし」
(来た!予想通りだわ)
どうやって予想したのかは分からないが事前に予想していたらしい。
「ダメよちゃんと食べないと、ゼリー買ってきたか食べる?」
出た。買ってきたゼリー。食べやすくまた消化にも良い。そんな所まで考えて買ってきた事に宏の胸きゅんポイントプラス10。
「あ、ありがとう。あーとりあえず上がって」
「いいの?しんどいなら無理しなくても」
「いいよいいよ。お茶ぐらい出すし」
(予想通り。完璧ね)
西川華恋。とても恐ろしい女である。これはもう予想の範囲を超えて予知の領域である。
そして宏の後を追うように家に入る。その時ガッツポーズをしていたのは華恋しか知らない。
「俺の部屋上だから先行ってて、飲み物持ってくるよ」
「いいよそんな、病人なんだから休んで」
気遣いまで完璧な女、西川華恋。ここでも宏の胸きゅんポイントプラス15。
「ごめん、じゃあお願いするね」
「うん。先部屋に戻っておいて」
(よし、ここで最終ミッションよ)
心の中で気合いを入れ、買ってきたものを袋から出す。
その頃、宏はというと…
(………oh......神よ…)
悟っていた。
(なんで家に華恋がいるんだ。夢か?妄想か?あ、それはいつもしてるか)
いつもしている妄想かどうか判断がつかず胸を躍らせる宏。
(昨日俺行ってないのに、悪い事したな…)
昨日風邪を引いた華恋の見舞いに行かなかったことを心の中で後悔する。
(でも、こういうの主人公ぽくて良き)
風邪を引いていてもこんな事を考えるモブである。モブではなく犯罪者ポジでも通用してくる思考である。
(にしても遅いな、お茶の場所分からなかったかな)
華恋の心配をしていたその時。ガチャ。ドアが開いた音がした。
「ごめん、お茶のばし……」
「ん?お茶の場所?大丈夫!分かったから」
ニコニコしながら部屋に入ってきた華恋。その手には
(ほぉぉーーー!ナンジャソリャ)
華恋が持っていたのは少し大きめの器。
(これ絶対お粥。あーんしてもらえる!)
無理だろ。図々しいにも程がある。感激で言葉が出ない宏に華恋は優しい声色で話しかける。
「お粥作ってみたんだけど、食べれる?」
宏が横になってるベッドの横に座り上目遣いで聞く。それが宏の胸きゅんポイントを大幅にアップ。プラス50ポイント。
(神よ…あー…神よ…アーメン)
言語能力が無くなりかけている。だが時すでに遅し。宏はもう考える事をやめていた。
「あーしてくれたら食べれるかも…」
幼い子供のような口調で華恋にあーんを乞う。
「え?あーん?い、いいけど」
(あーん?そんな事…俺言ったわ!ヤバスヤバス)
無意識のうちに心の中で思っていた事を口走る宏。普通に考えてこれはキモイ。
「じゃ、じゃあ。あーん」
(俺、今日死ぬのかな。でも我が人生に悔いなし)
華恋のあーんに自分の死を予想。悔いは無いらしい。そして口いっぱいにお粥を頬張る。
「ど、どう?口にあったらいいけど」
と自分のお粥の評価が気になる華恋に見とれつつ答える。
「最高だね」
ただ一言最高だねとだけ言う。美少女のあーんは金より勝る。異論は認めん。
「そう、良かったわ」
華恋は頬を少し赤らめ、微笑む。
それがまた宏の胸きゅんポイントボーナスタイム突入!どんどんポイントが溜まっていく。なおこのポイントは何の役にも立たない伏線にもならない。
「華恋はいいお嫁さんになるね〜あはは」
もう理性すらない宏にはモラルとデリカシーはない。思った事を躊躇う事なる口にする。
「ちょ、何言ってるのよ!」
突然の事に怒りと恥じらいの二つで顔を真っ赤にした華恋が怒鳴る。
「だって、美人だしー料理上手いしー気遣いできるしー」
宏には恥も外聞も無い。言いたい放題である。ここで華恋の胸きゅんポイントがプラスされる。こちらも特に意味も伏線も無い。
「べ、別に今回は先日のお礼をしに来ただけよ。勘違いしないでよね」
勘違いしないでよね。これはなんにも興味が無い奴から言われたらただただウザイ言葉だが、美少女が言う勘違いしないでよねは効果抜群である。
(ツンデレさんだ…萌え)
宏、萌える。
突然のキャラ変に何の疑問も持たず宏は言葉を続ける。
「まあまあ怒らないのー本当の事なんだから」
完全に無意識である。意識がちゃんと戻ったあとは気まずくなるやつである。また、華恋はもう気まずくなっている。
「あ、あんたが変な事言うからでしょ!もう!」
可愛い。天使さんかな?皆様もこんな美少女にツンツンされたく無いだろうか?絶対されたいはずだ。
「もう、今日はしっかり休んで明日からまた学校に来るのよ」
呆れたようにため息混じりで華恋が言う。華恋にも今の宏が正常では無い事が分かったらしい。さっきまで真っ赤に染まっていた顔が普通に戻る。宏が寝たのを確認すると紙に何かを書き部屋を出る。
宏が起きたのは夜のことだった。
「んーよく寝た汗もめちゃかいてるな風呂はい…」
ベッドを出て風呂に向かおうとした宏は机の上に何か書かれた紙を見つけた。
(はー夢じゃ無かったのかあの…あの…)
華恋が部屋に来て看病してくれていた事を夢だと思っていた宏はこの事実に言語能力を失う。
(あわよくばベッドで寝てて欲しかったな)
図々しいぞ。確かにそのシチュエーションは最高だが宏にはそんな華恋に何もしない自信が無かった。
(明日お礼言っとこ)
そして今度こそ風呂に向かう。そして紙には
『思ってる事は口にしないように意識しなさい。お大事に。華恋より』
とだけ書かれていた。
翌日。
晴れた朝、鳥のさえずりが心を癒す。カーテンを開け朝日を体中に当て目を覚ます。
「完全に治ってるな、さっさと準備するか」
風邪の時の体のダルさも完全に消え、すぐさま学校に行く準備を始める。
(でももう少し休みたかったなー外出たくねー)
準備を終える直前にそう思ってズル休みしてやろうかと考えたが3秒でやめた。
制服に着替え、朝食を食べ、歯を磨き家を出る。外に出ると初夏を感じるぐらいまでの気温になっていることに気づく。
無駄な事を考えるのはやめ、学校へ向かう。
その後ろで…
(佐藤、今日は学校に行くのね。話しかけてやるわ!)
ストーカーみたく外出の確認をした華恋はすぐさまその後を追う。
(あれ?佐藤はどこにもいないじゃない)
ストーキング開始2秒でターゲットを見失う。ストーカー失格である。
(あ、いた。普通にいた)
宏は普通にいた。なお普通すぎて周りのモブに完全に溶け込んでいた。さすが我らがモブである。否、佐藤宏だ。
(ほんとに大丈夫なのかしら骨折り損のくたびれもうけは嫌よ)
華恋は自分がやっていたアピールやストーキングや主人公にしようとしていた事の意味があるかどうかが不安になる。
(でも私の目に狂いは無いはずよ、徹底的に主人公にしてやるわ!)
そう思うと華恋は宏を追い、話しかける。
「おはよう、もう大丈夫なの?」
美少女の笑顔と共に放たれる挨拶は最強兵器である。しかも体の心配までしてくれるなんて贅沢すぎる。
「う、うん。ありがとう」
(朝からこんなの耐えられねぇ!)
宏、悶絶する。
「まぁほっておくのも可哀想だしね、せいぜい感謝してよね!」
(私、ツンデレしてるぅー!)
頬を赤らめながら言われるツンデレ調のセリフはまぁなんとも萌える。
「うん、ありがとうな」
(ツンデレさんだ、ツンツンさんだ)
ツンツンさんである。華恋のツンデレに宏は顔が赤くなる。それを紛らわすように顔を背ける。
「誰かと待ち合わせするの?」
学校が宏に聞く。宏にとって、いやぼっちにとっては酷な質問である。それを宏は苦虫を噛んだような顔で答える。
「いや、別に」
ただ、それだけが今言える最大の言葉だった。俺そんな友達いないとか言ったら引かれて終わりである。
「そ、そうなんだ」
何かを察したように、華恋が引きつった笑顔でそう返す。
「じゃあ、一緒に行かない?」
「な!?」
宏にとって今の言葉は神のお告げにしか聞こえなかった。
(学校行く前に、逝きそう。
自分の死を感じた。だが、後悔はなさそうだ。すると宏は感情を表に出さないように冷静に答える。
「別にいいよ」
(いえーーーい、ひゃっほぉーー!勝ち組!はい!勝ち組!はいはい!)
「なら行きましょ」
(佐藤と二人で登校いえーーい!ひゃっほーい!バンザーイ!バンザーイ!)
二人とも心の中で過去一、喜びを謳歌する。
人生は上手くいかない事が大半である。上手くいかなかったことは『あーなるよりはマシ』だとかポジティブに考える事で気を紛らわす事で失敗とは思わせ無いように勝手に自分で無意識のうちにするだろう。
だけどたまにはこんな風に良いことや嬉しいことがあっても罰は当たらないだろう。
(これからも主人公になれるように頑張るか!)
(もう絶対に佐藤のヒロインになるわ!)
お互いに意思を固める。いつかこの二人の努力が実りますように。皆様も努力無しではいづれ大きな壁が立ちはだかる事を忘れずに努力を欠かないように生きてはどうだろうか。
皆様は異性のお見舞いとか行ったこと、ありますか?ある人はとりあえず羨ましいです。
さて、今回はお見舞いという回でしたがラブコメにはあるあるのやつですよね。王道と言いますかラブコメにはお見舞いは必需ですよね。またこの文の構成は僕自信の主観も入っています。そこにも注目して頂きたいです。
また時間のある時書くので暇で暇でする事がない人は呼んでください。