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主人公と書いてモブと読む


「宏君、こっちおいでよ」聞いた事ない声だ。

ちょっと大人びた声をしている。

「佐藤君は私のだよー」

また知らない声。幼さがまだ残ってる声だ。

「ちょっと!佐藤から離れなさい!」

これツンデレキャラだな。口調がツンツンしてるし。

そう思い、佐藤は目を開ける。そこには知らない美女達が笑みを浮かべながらこっちを見ている。

てか待て、誰これ。え?俺死んだの?委員長に『死ね ば?』って言われたけど。死んだの。

頭の中がごちゃごちゃになる。佐藤は頭を抱え、よくある左右に頭をブンブン振り回す動きをしている。

「宏君。どうしたの?」

女の1人が左腕に抱きついてくる。

メロ〜〜〜〜ン。メロメロ〜ン。

何かが頭の中で鳴った。

「佐藤君〜。ねぇってばぁ〜」

他の女の1人が右腕に抱きつく。

マシュ、マシュ、マシュマロ〜。

また鳴った。

うわぁぁぁ。抱きついてきた。でも幸せ〜グヘヘ

佐藤はクズである。まぁ思春期の男児には仕方の無い思考回路ではある。

「ちょ、ちょっと!」

ツンデレが背中に抱きつく。

…………………………

ん?壁か?

否、胸である。

ここで佐藤が初めて3人の美女相手に話しかける。

「あ、あのー。ふたr…ん、ンン!御三方。あまり引っ付かないでもらえますか?」

危ねぇ二人って言いかけた…この手のツンデレは胸が無 いとか言ったら殴られパティーンだからな…

「あら、いいじゃないの。減るもんじゃないし。」

何故減らない=いい なのか分からん。

「あなた達早く離れなさい!嫌がってるでしょ!」

ナイスツンデレ!言ってやれ!胸は無いが。

「仕方ないわね。」

「しょうがないな〜」

左の女に続き右の女も離れていった。

「いや、お前も早く離れろよ。」

今だに背中に抱きつくツンデレに佐藤が言う。

「べ、別にいいじゃない!減るもんじゃないし!」

…は?

視界が真っ白になる。














「………知ってる天井」

そりゃそうだ。ここは俺の部屋だもんな。うん。

「あれ?美女達は!?メロンとマシュマロは!?」

むねについては全く触れず半泣きで声を震わせながら叫ぶ。

「夢?めっちゃ中途半端…あれ?目から汗…」

否、涙である。

近くにあったティッシュで涙を拭い。部屋を出る。

「あんた、何言ってんの?朝から。メロン?マシュマロ?とうとう頭までイカれたのね」

頭までって何?俺どこかイカれてるの?

「い、いや。寝ぼけてただけ」

「あらそう。ならいいのだけれど」

母親は俺に厳しい。と言うより、冷たい。

悲しみのあまり学校を休みたいと思った。9割は美女達の件である。

「色々悲しいから学校休んでいい?」

「…………」

「寝言は寝て言うべきだね。」

「戯言は私の前では言わないで」

訂正 辛辣過ぎる。学校を休む件についても無言が否定を表していた。

「あれ?香菜かなは?」

香菜とは宏の妹である。妹がいる分主人公感があってちょっと嬉しい。

「香菜ならもう行ったわよ」

「あーそう。俺も行くわ」

人生最悪。主人公になったら親はとりま土下座させる。

そう心の中で密かに誓いつつ部屋に戻り制服に着替える。

「あ、宏!今日は始業式でしょ。遅れちゃ駄目よ」

あー始業式か…始業式!?

「イベント来たぁぁぁ!」

「黙れ」

「はい」

もう土下座と床舐めさせてやる。

始業式は美女が転校してくる展開が期待される。これは絶好のチャンスかもしれない。土下座と床舐めは目と鼻の先!

少し元気になった佐藤は小走りで学校に向かう。

道中パンを咥えた美女は他のイケメン主人公とぶつかっていたのを見て泣いた。

引っ越したい………。












学校に着くと新クラスの発表がされていた。別に友達もいないし勿論彼女もいない。誰がいようといなかろうと大して変わない。そう思いながら何組かだけ確かめすぐに新クラスに向かう。

クラスの周りに人だかりができていた。何事かと思い近づく。

「っ!?」

そこには、1人の美女がいた。佐藤は知っている。何故なら夢に出てきた美女達の1人だったからだ。さすがに名前までは分からない。多分有名人なのだろうが主人公の座以外は特に興味は無い。

これは…俺。ある!?あるあるのある!?

日本語があやふやになる。

もしやあれは正夢ってやつか。でも残りの二人は一体…?

そんなことを気にしつつ佐藤は席に着く。残念ながら外を見ながら頬杖を着きながらぼーっとする事が出来ない席だ。oh......


しばらくし、新担任が来る。

「みんな〜席に着け!転入生を紹介する」

転校生か〜どんな…転校生!?ふぁ!?

完全にラブコメにありがちな転入生イベントである。どんな子か期待して待っていると。

「………へ、」

もうお分かりでしょう。やはり夢に出てきた壁、では無くツンデレ美女だった。

「初めまして。西川華恋です。これからよろしくお願いします」

おい待て聞いたことがある。主人公を探してるって噂のヒロインじゃねーか。

佐藤も主人公を目指すならヒロインぐらい調べる。自分のメインヒロインぐらいはしっかりして欲しい物だ。

あわよくば養われたい。超ヒモ理論。

「お、おい、めっちゃ可愛いじゃんか」

「それな!俺一目惚れしたかも」

「凄い髪綺麗。羨ましい!」

クラスの男女モブが騒ぎ出す。

黙れよモブ共! あ、ブーメランだ。てへぺろ。

「じゃあ、西川さんはあそこの空いてる席に座ってくれ」

先生が席に案内しそれに誘導され西川華恋も席に座る。

お、お、お、俺のと、と、隣じゃん!

心の中でさえも噛んでしまった自分が情けなくなったのと反面嬉しさで発狂しそうだった。

「よろしくね」

「は、は、はい。よろしくお願いします」

つい敬語で話してしまう。なお噛み噛みである。


これは来たんじゃね。おいおいおーい!絶対にこのチャンスを逃すものか!


























「さぁ、おいで。恥ずかしがらずに」

爽やかで男らしい声が聞こえた。

誰かしらこの方。ツンデレしといた方がいいのかしら。

「な、何よ。別に恥ずかしがってる訳じゃ無いんだからね!」

ベタである。手馴れたツンデレでツンツンする。

「ふふ、可愛いね。さすが俺のメインヒロイン」

oh......惚れそう。いや惚れた。この方は私の主人公!?



視界が真っ白になる。嫌な予感がした。
















「………知らない天井」

そうか私転校したんだったわ。

「あれ?爽やかなイケメン主人公は?」

おどおどしながら必死に探す。

「あれ?目からナイアガラの滝が……」

否、涙と鼻水である。

そうだわ、今日は転入する日だわ。さっさと支度しよ。

そう思い、布団から出てティッシュで目と鼻を拭い制服に着替えた。

「いってきまーす。って1人なんだけどね」

一人暮らしがしたいと言ったら普通に許してくれた。

だけど『行ってきます』はつい言ってしまう。

そして駆け足で学校に向かった。

道中パンを咥えた美女がイケメン主人公にぶつかっていたのを見て胸くそ悪くなった。

ちっ、爆ぜろ。

メインヒロインに有るまじき言葉遣いである。














学校に着くと1人の女性が立っていた。

「おはよう。貴方が転入生の西川さんね?」

恐らくこの学校の先生なのだろう。てかどう考えてもそうだ。

「おはようございます。はい、その通りです」

元気よく明るく接する。

「では新クラスに案内するね」

「はい。お願いします」

校内は全然人が居ない。多分みんなクラスにいるのかと思いながら誘導される。

「みんな〜席に着け!転入生を紹介する」

さ〜て、転入生イベントよ。主人公らしい人はいるかしら。うふふ。


モブばっかじゃないの!ってあれ?っ!

彼女はある男を見た。知ってる。このモブ知ってる。そう、夢で見たイケメン主人公なのだ。


マジかよ…このモブ主人公になるのかよ。

メインヒロインらしくない言葉遣い。

「初めまして。西川華恋です。これからよろしくお願いします」

とりま自己紹介をしておき夢に出てきたモブを見る。主人公と断言できるまでは当然モブ扱い。これ絶対。

変に関わったりデレデレしては駄目よ。ツンツンよ。


周りの人達モブが何か話しているのだけ分かったがそんなのは無視。彼女の眼中には主人公モブしか無い。


「じゃあ、西川さんはあそこの空いてる席に座ってくれ」

と言われクラスを見渡す。空いてる席はただ一つ。

主人公モブの横ね!よし。話しかけてやるわ!


「よろしくね」

「は、は、はい。よろしくお願いします」


このチャンスは絶対に逃すもんですか!もう独身ヒロイン卒業してやる!










ろくな出会いでは無い主人公モブとメインヒロインのスクールラブコメがここから始まる。





主人公と書いてモブ読む。(※読みません)

ようやく二人が出会いましたね〜。二人のこれからの運命は俺のみぞ知る!

ぜひこれからこの作品を読んでいただけたら嬉しいです!

感想やアドバイスも沢山ください!

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