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異世界脱出ゲーム
どれくらいの間気を失っていただろうか。僕が目を覚ますと、辺りには青々とした木が生い茂り、いたるところで鳥のような甲高い金切り声が響き渡っている。「どうしてこんなとこにいるんだ?」僕は困惑しながらも記憶に探りをいれる。「たしか…たしか…僕は…」
「ふぁ〜わぁ…ねみぃ」僕の名前は井出上 隼人。市内の中の下の高校に通うどこにでもいる高校生だ。恋愛とはかけ離れたパッとしない高校生活を送っている。寝るか食事以外はほぼゲームに時間を費やしている生粋のゲームオタクだ。FPS、RPG、パズル、音ゲーなどなどあらゆるジャンルのゲームを制覇してきた。昨日も遅くまでゲームしていて3時間しか寝ていない。
「おーい隼人遅刻するぞー」そう言いながら隣を駆け足で通りすぎるあの男は僕の友達の馬場 涼太だ。帰宅部のくせに無駄に運動神経が良い。頭の回転も早くなかなかハイスペックなやつだ。
「やれやれ…」僕は石のように重い足を持ち上げ涼太のあとについていく。今日もまた何の変哲もない一日が始まる…筈だった…