08 デメリットの発動。
8話
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
こうして俺の最初の呪文作成は勝手に神様に決定されたのであった。
神様のバカやろう!勝手に呪文を決めるな。希望通りだけど、もっと、こう、自在に火を操るようにしたかったのに。火を投げつけるイメージしか思いつかないぞ?使い方!
…はぁ。仕方ない。あの神様が理不尽なのは転生前と今回の件で充分に理解した。振り回されないようにしたい。…無理かぁ。
ひとまず、呪文。デメリット。条件。呪文作成。一通りやったから次はもう少し慎重に作成しよう。
あ、火だと部屋の中で使えないじゃないか。ひっそりと使えない。失敗したかもしれない。
まさか、ここまでチュートリアル。やっと終わりました。ここから本番です。とか言わないよな。
それに、してもだ。お尻が少しズキズキする。それになんだか、かゆい。不快だが気にならない程度だ。
これが痔なのか?まさかな?すぐに、デメリットが発動するのか?
少し違和感があるが、少し寝よう。俺はまだ8ヶ月の赤ちゃんだから…身体が…自然と…すいみ…ぐぅ。
俺はお昼寝してしまった。これから本番というのは間違いではなかった。
「ステキな能力は相応のデメリットがおそいかかる。万能な力なんて簡単に手に入らないものさ。」
神様の言葉を身をもって体験するのは、俺がお昼寝から起きてすぐだった。
ここからが、俺のデメリット。痔との戦いといっても過言ではないかもしれない。
…はぅ。なんだ?お尻がかゆい。あ、ウンチが出る。赤ちゃんだから仕方ないね。
ん?何か忘れてる?
俺のうんちが出る瞬間、お尻にズキっと刺激が来た。
痛い。いてぇ。やめて。広げないで。お尻が痛い。穴の部分がズキズキする。うぉ。
うんちが通過する、一瞬ことだったがそれでもこのザマだ。
なんだこれ?急にお尻が痛くなった?あ、少しおさまった。
多少は痛いが我慢できないほどではない。時間が経過すると段々と痛さは収まっていった。
赤ちゃん生活でうんちがここまで不快になったのはこれが初めてだぞ?
自分で言うのもあれだが、今まで俺はおとなしい赤ちゃんだったんだぞ?
母様やメイドさんに的確に意思表示してたんだぞ?手間のかからない子だったんだぞ?
本能的に泣きそうなのとか我慢したりして調整大変なんだぞ?
泣くぞ?本能の赴くままに泣くぞ?
部屋にはまだ誰もいない。そろそろ、母様かメイドさんが帰ってきてもいい頃なんだけどな?
少し様子がおかしいんだ。お尻が急に痛いなんておかしい。
まさか、俺のデメリットの「呪文の威力や範囲に比例した痔になる。」なのか?
いや、俺、赤ちゃんよ?赤ちゃんが痔になる。…あり得るのか?
そんなことを考えていると、ドアが開いた。俺のお世話をいつもしてくれているメイドさんが帰ってきた。
よし!ナイスタイミング!泣くぞ!
俺は本能の赴くままに泣いた。
「…ぁあ、フギャー。フギャー。」
「シーリィタ様?どうなさいました?この泣き方は、オシメです。すぐに交換いたしますのでお待ちください。」
このメイドさん、小さい時からメイドをしているベテランメイドさんである。母様よりも年齢は上で30歳だ。勤続22年らしい。2児の母だ。
名前は、キャンディ。
ちなみに、母様は22歳らしい。この世界、結婚、妊娠、出産が早い。
ヴィクトリアンメイド型の王道のメイド服。
黒い袖が長いロングスカートに、スカートと同じくらいエプロンドレス。肩にフリルより大きめに作られたラッフルがついている。帽子はお洒落な黒い三角巾。
「失礼します。シーリィタ様。」
キャンディは、真面目な表情で、俺のオシメを交換し始めた。ウンチなのに嫌な顔1つしない。聖女じゃないだろうか?
「健康的な茶色。匂いも適正。良いウンチです。シーリィタ様。」
あぁ、慣れてるからですね。でも、「くっさ」って、反応されるよりは気分がいい。
もう1人の新人メイド、プリュムは「くっっさ!キツイ。うわぁ。」を連呼しながら交換。キャンディに怒られる。ちなみにプリュムは10歳の新人メイドである。
「お尻を拭きます。少し上げます。」
キャンディは清潔で少し湿った布でぽんぽんと優しく擦らず拭いてくれる。
赤ちゃんは肌が弱い。強く拭くと擦れて傷がついてしまうそうだ。なので、ぽんぽんと優しく拭き、汚い部分を中心に少し強めに拭いていくそうだ。言葉は冷たそうなのに手つきは優しい。顔がふにゃっとする。
お尻の穴の部分を拭いた瞬間。痛みが発生した。今まで気持ちよかったので、泣き止み、ふにゃっとした顔が、痛みで思わず泣いてしわくちゃになった。
「フギャー。フギャー。フギャー。」
「シーリィタ様?申し訳ございません。痛かったでしょうか。もう少し優しくします。」
違うんです。お尻の穴が痛いんです。キャンディの吹き方は最高です。
「フギャー。…うっぐ。オギャー。オギャー。」
なんで、伝わらないんだ。喋れないのが辛いとこんなに思ったことはない。
「シーリィタ様?どうなさいました。いつもなら、すぐに泣き止むのに、滅多に泣かない泣き方。おかしいです。ご飯なら口をモグモグさせます。」
いつもと違う俺の泣き方をキャンディはすぐに察してくれた。だが、原因が分からない。と首を傾げ困っている。
「シーリィタ様の一大事です。すぐに、ツンディナ様を呼んで参ります。少しお待ちください。シーリィタ様。」
キャンディは手早く、残りのオムツ交換を済ますと急いで部屋を出て行った。
少しするとキャンディと母様が部屋に入ってきた。
「シーリィタ。どうしたの。」
慌てることなく、落ち着いた様子の母様が俺に優しく話しかけてきた。
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