05 異世界の家族を紹介します。
5話
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
「シーリィタ。起きてる?あ!起きてたのね。良かったわ。おはよう。ママですよ。さぁ、ご飯に行きましょうね。」
赤ちゃんベッドの上から顔を覗かせたのは、異世界転生後の母親、ツンディナ・ワンダーその人だ。
俺の転生後の名前は、シーリィタ・ワンダー。転生前は司理太だったので、名前が似ていて、よかったと思っている。
「アーア、アーア、…ふへー」
母親、いや、母様に抱かれて思わずそんな声を出してしまった。
母親とはいえ、美人すぎる。1つの理想形だろう。息子じゃなきゃ、恋してるよ。
母様であるツンディナは、目がつり目。目の色は青色。顔立ちがきつめ美人だ。
胸まであるロングヘアのプラチナブロンドでモデルのようにスタイルがいい。
その胸は男の夢と希望。偉大なる先人達の言葉を借りて表現しよう。
そして、その胸は豊満であった。
白いブラウスに花柄のロングスタート、ウエスト部にはコルセットをしており更に強調している。
俺はこの人を母様と呼ぶ事にしている。圧倒的な戦闘力だからだ。オヤジは爆発すればいい。
「はい。ママですよー。もう、男はみんなすけべなんだから。今からそんなだと、パパみたいになれないぞー。」
抱かれながら、メッ!っと軽く怒ったようなそぶりをして、そんな事を言われてしまった。
「ブァー」
「フフ。はい。よろしい。」
そうして、我が城であるベビーベッドから食堂に移動した。
すみません。母様。すけべで申し訳ない。でも、童貞進行形には眩しすぎます。
それにしても、母様はエスパーか?なぜわかった。流石、母様だ。
「来ましたか。おはようございます。ツンディナ、シーリィタ。」
「おはようございます。あなた。お待たせしましたわ。さぁ、シーリィタはこっちに座りましょうね。」
「僕もさっき来たところです。気にしないでください。ツンディナ。シーリィタを連れてきてくれてありがとうございます。」
俺の親父である、ガネービス・ワンダーがニッコリしながら、声をかけた。
そんな事を考えていたら、食堂に到着。俺の指定席で木製の少し高さがある赤ちゃん用のベビーチェアに座らせてもらった。もちろん、隣は母様だ。
「アー」
「はい。おはようございます。シーリィタ。今日も元気に挨拶できましたね。」
オヤジに挨拶する。丁寧、笑顔であるが誰に対してもいつもこんな感じだ。
オヤジは、黒髪でショートヘア。ビジネスマンみたいなヘアスタイルだ。おっとりとした目つきで目の色も黒色。ヒゲもしっかりそってある。まるで、日本人のようだ。
しかし、スタイルは良く、190センチはある高身長だ。顔つきも日本人のように丸みを帯びておらず、ヨーロッパのイケメンって感じの顔つきだ。
服装はビジネススーツ、革靴を愛用しており、時計は海中時計を胸ポケットに入れている。完全なプライベート以外はほぼ毎日同じ格好だ。何着も同じのがあるらしい。
「おはようございます。おかあさま。シーリィタ。もう、ぺこぺこだよ。」
「アー」
兄にも挨拶をする。兄のアーラシュ・ワンダーは現在4歳。そろそろ、5歳になるらしい。今はお腹が減ってブーたれているが、母様譲りのプラチナブロンドで、目の色も母親と同じ青色だ。
顔立ちはまだ丸みを帯びているが、オヤジと同じようにヨーロッパのイケメンを思わせる鱗片を既に出している。
服装は、子供服のフォーマルスーツのような格好をしている。白いシャツに黒いズボン。ボタン型のY型サスペンダー、フックで簡単に付け外しができるネクタイをしている。
これが俺の異世界転生してからの家族。
1人暮らしを数年した身としては、この光景は気恥ずかしいく、眩しかったが、心地よかった。
ご飯を食べながら家族の予定や雑談などをしていると、オヤジが思い出したように喋りだした。
「そういえば、アーラシュはもうすぐ五歳になるんでしたね。ならば、呪文協会へ行かねばなりません。」
呪文協会それは初めて聞いた言葉だぞ?
危ない手つきでご飯を食べる手が止まる。
「えぇ、そうですわね。あなた。呪文のことについてしっかりと学ぶ時期ですわね。」
「おとうさま。おかあさま。じゅもんってビュバーってとんでくやつですか?」
「そうです。アーラシュ。ビュバーって飛んでくやつです。」
オヤジはアーラシュに微笑んだ。
「ほんと?ぼくね、ぼくね、ビュバーしたい。ビュバーってすごいんだ。まものもたおせるんだよ。かっこいいんだ。ケイロンがみせてくれたの。」
「アーラシュ。ビュバーはしっかり教えてあげるわ。今はご飯を残さず食べましょうね。」
母様が一瞬鋭い目をした。少し声が低くなった気がした。
「も、もうしわけありません。おかあさま。きちんとたべさせていただきます。」
「フフ。アーラシュは素直な子でお母さん嬉しいですわ。」
母様はニッコリと笑っていた。
興奮していたアーラシュは姿勢を正すと残りの食事をした。苦手なものがあったのか、少し顔をしかめながらも完食した。
「シーリィタも、ゆっくり、よく噛んで食べるのですよ。後で、アーラシュと一緒に呪文のことを勉強しましょうね。」
「アーィ」
「アハハ。ツンディナ。シーリィタにはまだ呪文は早いですよ。やっと、身体が動かせるようになったばかりですよ。」
「そんなことはないですわ。あなた。返事もしっりしてくれるようになったのです。少し大きくなった時に、意外に覚えてたりするかも知れませんわ。」
「ね?シーリィタ?」
「アーィ」
「やれやれ。ツンディナには敵いませんからね。仰せのままに。お嬢様。」
オヤジは手を前にまわしてお辞儀のポーズを座りながらした。顔を上げて、母様にウインクもだ。
「もぅ!からかって。…ウフフ。」
「アハハ。」
そうやって、我が両親はラブラブぶりを発揮した後、食事は終了した。
俺にはどこに笑う要素があったのかが分からないが、もう見慣れた日常になっていた。
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