04 内容の要点が理解できないメッセージはやめていただきたい。
4話
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
こんにちは!皆さん!初めましての方は、初めまして。今日もリアル赤ちゃん生活、は〜じ〜め〜る〜よ〜。
「アー」
不意に謎の挨拶してみたわけではない。
今はどんなに喋ろうとしても「アー」と言う言葉に圧縮される。一抹の哀愁を感じ身体を布団に預けたるように横になった。
これが今の現実。
本当に俺は異世界に転生したんだな。
「知らない天井だ」をリアル体験する事になるとは思わなかった。現実は小説より奇なりとは正にこのことなのだろう。
俺の元の世界でも使われていた木製のベビーベッドが今の生活空間だ。
部屋なんだけど…海外の高級ホテルで寝てるのかと思った。それくらい豪邸。元の世界基準のトルコとかタイとかにありそうな豪邸。
実際に見たことは無いから完全にイメージだけどな。
最初は、ここは本当に異世界なのだろうか?って思ってしまった。生活レベル高すぎなんだよ。
今更だが、人間以外に転生する可能性もあったんだよな。あの神様ならやりそうだ。人間に転生できてひとまずは安心。
生活環境は生前より良く、曜日の感覚はわからないが、おおよそ、こんな生活の毎日だった。
1ヶ月。いきなり意識が醒めると、お腹が空いたり、お尻が不快で泣いたりした。その後はすぐ眠くなり寝てしまうの繰り返しだった。時間感覚が怪しい。
2ヶ月目。何度か1ヶ月目サイクルを繰り返していると、俺の母親だろうか?が母乳をくれたり、父親だろうか?を目で追う様になれた。
3ヶ月目。「アー」だとか「ウー」だとか言えるようになった。気づいたら、指を無性に口の中に入れていた。やっと、認識というものができるようになった。
4ヶ月目。やっと寝返りがうてるようになっが、動けない。助けて。首が動かせるようになった。母親のおっぱいにエロスを感じる余裕が出てきた。
5ヶ月目。母親のおっぱいタイムがスプーンでのご飯タイムに移行してきた。不思議なもので母親のおっぱいにエロスを感じなくたので、素直に離乳食を食べるようになった。と言っても、離乳食はご飯に慣らす練習なので、1日1回1口からで徐々に増えた。
6ヶ月目、7ヶ月目。寝返りをマスターし、ついに、1人で座れるようになった。母親のおっぱいタイムは完全に終了し、早いが量の多い離乳食に移行した。
赤ちゃんってこんな感じなのか。こりゃ、泣き叫んで自分の両親に助けを求めるわ。己で体感した。赤ちゃんも楽ではない。
今日で転生8ヶ月目くらいになるだろうか。ハイハイは、まだだが、自分で身体を動かし、思考する余裕が出てきた。この歳にしては早くも離乳食をしっかり食べらるようになった。ここまで長かったな。
思考はできても身体は赤ちゃんなので、気づいたら本能ままに動いていたし、自分の身体把握に集中して余裕がなかった。
後回しにしてたが、この異世界について把握してなければならない。が、問題がある。俺を異世界に転生させた神様からのメッセージだ。
目を閉じ、使うつもりで集中すると頭の中にイメージがスマートフォンのトップ画面とアイコンのようなものが複数現れる。
スマートフォンのメール受信ボックスみたいなのがあり、それを開くとメールの一覧が出てくる。その内の1つのメールを開いた。
次のような内容だった。
「親愛なる、諸君…ハロ〜。元気してるぅ〜。神様ことGMだよー。説明の途中で異世界転生させちゃって、メンゴ、メンゴ〜。あ、閉じようとしない!今からしっかり説明するからね!GMいじけちゃうぞ!自分でGMって呼ばないと、みんな神様って呼ぶんだよねー。ちょっぴり、cryだね。」
メールはいつの間にか、神様が泣き真似している。立体化したフォログラムが目の前にいるのだ。
うぜぇ。ただひたすらに、うぜぇ。
再生されると同時に流れる、陽気なBGM。当たり前の様に神様は語りかけてくる。
「さて、初回のみ君の意識が明確に持てる様になると、自動でこの文章を読むことになっている。次からは目を閉じて、使用しようと集中すれば君の元の世界でいう、スマートフォンの画面が見えて、使えるから後で使ってみてね。ちなみに、名前はGMフォンだから。」
名前を勝手にら〇ら〇フォンみたいなノリで言わないでもらいたい。
「GMフォンには、神様から一方的にくるだけのメール機能、自動翻訳&筆記機能、メモ帳、呪文&装備&持ち物一覧機能、呪文作成機能があるね。神様オススメセットはこれだね!よかったね!あとで是非使ってみてよ!あえて説明はしない!」
神様は得意顔で力説している。
そこは説明必要だと思うんですが…。機能が理解できそうなだけまだマシか。
「最後に、神様オススメセットの目玉!呪文作成権利を1つだけプレゼント!しかも!デメリット無しで使えるよ!さらに!今回は!特別に!デメリットと条件も教えちゃうよ!他のみんなには内緒だよ!」
うん。呪文を1つだけ作成できるんだな。それは嬉しい。で、呪文とデメリットと条件ってなんだ?
「君のデメリットは呪文の威力や範囲に比例した痔になる。だよ!」
これさぁ。呪文使ったら痔になるってことなのかな。
「次は条件だね。以下の通りだよ。長いから音読しないよ。後で呼んでね。分からないことは、これからの異世界生活で学んでね。謎があった方がワクワクするだろ?メールは読み終え後、爆発とかしないから安心してね。じゃあね、チャオ!」
満面の笑みで親指を立てながらウインク。
チャオ!じゃねえよ!説明ではなく、連絡事項だよ!これ!
メールは文章に戻っていた。このメールを開いたら立体化して話し始める仕様。
ハァ。とりあえず、条件とやらを読むか。
「1つ目の条件は痔は自分では治せない仕様になっている。」
「解説!自然治癒や薬、魔法では治せる。自分の呪文や生み出した薬で治せないだけである。薬の材料を作ったり、製法を教えて作成した物、自分で塗り薬を塗るなどは縛られてはいない。」
「2つ目の条件として、痔になりやすくなっている。」
「解説!呪文を生み出す他に普通に痔になったりする可能性がある。人に比べて約2倍はなりやすくなっている。」
「3つ目の条件として、呪文のデメリットや条件が伝えられない。」
「解説!なぜ、強力な呪文が生み出せるのかなどは伝えられない。伝えようとしても聞き取れなかったり、文字が読めなかったりになってしまう。痔になりやすく、痔が自分で治せない人と認識されやすくなる。あくまで、伝えられなかったり、痔になりやすいのかを考えて呪文と結びつけて答えにたどり着くことは出来る。答えは本人より聞けないし反応はして貰えないが。」
ハァ。ため息しか出ない。分からないことが多すぎる。
呪文はまだ何となく理解できる。要は魔法だろうな。この異世界は、魔法を使うのが当たりらしい。
お決まりパターンは文明発達してないとかじゃないのか?
少なくとも、ここ8ヶ月で俺が生活した様子では俺の元いた世界と同じくらい発達してるんだよな。おかげで、快適なんだけど謎だ。
次に、デメリットと条件。これはどうやら呪文に関係しているのだがさっぱりわからない。
内容もおかしい。痔になるってなんだよ!しかも、自分で治せない、悪化する速度が速くる、相談できない最悪だ。
ん?そもそも、痔ってそんなに酷いデメリットなのか?
なる人はたくさんいるし、酷いと手術らしいが、あまり実感がないのも確かだ。
俺は何度目かの大きなため息をついた。
メッセージの内容もだか、神様のウザさに相当神経をやられた。
俺が苦悩していると、扉が開く音がし、こちらに近づいてくる足音が聞こえてきた。近づいてくる人を不安にさせないよう、目を開けて、上機嫌な反応をしてみせる。
「シーリィタ。起きてる?あ!起きてたのね。良かったわ。おはよう。お母さんですよ。さぁ、ご飯に行きましょう。」
赤ちゃんベッドの上から顔を覗かせたのは、異世界転生後の母親、ツンディナ・ワンダーその人だ。
ストック無いので自分のペースでやったきます。感想などがありましたらよろしくお願いします。主人公を痔にすることしか決まってない作品があるらしい。




