25 イートインコーナーですることか?
25話
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
何故だか目を離せなくなってしまい。その後は、アイルサの髪を撫でたり、頭を触ったりしていた。アイルサはそれを嬉しそうににされるがままになっていた。
「姉さん。お取り込み中すいません。移動の為の準備終わりましたっす。トラックに戻ってきてくれると嬉しいっす。」
移動する為の準備が出来たのか、レイト・ワン・シーが呼びに来てくれた。
「レイトぉ〜。ケイロンは身内じゃ無いんだから口調変えないとダメでしょ?」
「し、失礼しました。…姉さんはよろしいのですか?」
「私は友人だからいいのよ。…友人だもん。と、に、か、く、始めが重要。問題になるとこだってあるのよ。残念なことに。」
途中、掠れた声になったがレイト・ワン・シーに注意するリテル・ワン・シー。
「すみません!」
素直に謝る。レイト・ワン・シー。
「俺は気にしないがな。苦手な部分でもある。リテルとは友人だし、ワン・シー一族とも友好関係だ。が、気にする一族がいるのも事実だ。幸いガネービス・ワンダー様の部下は気にする奴は少ない。慣れるにはいいだろう。これも訓練だと思ってしっかりな。」
ケイロンが少しへこんでいる、レイト・ワン・シーをフォローした。
「了解です。胸を借りるつもりで頑張ります。」
「ケイロン!…もぅ。そんなこと言ったら、レイトの為にならないわよ。レイトは緊張感ないんだから。」
「これでも緊張してるんっすが…。」
「そういうところ、だろ、がぁ!」
リテル・ワン・シーが不意打ちでレイト・ワン・シーに蹴りを入れようとするが、レイト・ワン・シーは反応してギリギリで避ける。
「姉さん!暴力反対っす!他所様のまえっすよ。」
「表出ろ。久しぶりに稽古でもつけてやろう。」
「今は護衛中っすよ。移動しなきゃならないっすよ。」
「なに。数分で終わる。支障はない。」
少しの攻防があったが壁際に追い込まれ、レイト・ワン・シーは捕まり連行される。
「あぁ〜。後生っす。」
「キリキリ歩け!」
「ほどほどにな。」
悲しそうなレイト・ワン・シーは引きずられながら、怒っているリテル・ワン・シーに訓練をされるべく旅立った。幸運を祈る。
レイト・ワン・シーはビーサル・ワンダー・シーの護衛じゃ無かったのか?なんだか、護衛というよりも雑用とか研修目的で連れてこられた気もする。
ケイロンをガネービス・ワンダーの部下として対応してない気もする。それくらい仲が良いってことなんだろう。今更だね。
「アイルサ・ワン・シー様。シーリィタ様。移動の準備が完了したそうです。トラックにお乗りください。」
何事も無かったように対応するケイロン。
「シーリィタ様。ケイロン様。私の一族の部下がお見苦しいところを見せて、失礼しました。後でしっかり対応しますね。」
椅子から降り、一礼をした後、続けてアイルサは若干冷たい表情で話す。
「ケイロン・キロン様。私はシーリィタ様と同様の対応でかまいません。名前もアイルサでお願いします。そう遠くないうちにお世話になりますから。」
「…了解だ。アイルサ様。俺もケイロンでいい。様もいらん。」
いつもの俺と同じように対応するケイロン。
「はい。よろしくお願いしますね。ケイロン様。」
俺に向ける笑顔とは微妙に違いやはり少し冷たい笑顔だ。最初に会った時よりはだいぶマシだと思う。
「あぁ。それから、シー坊に少し相談がある。アイルサ様は少し外して欲しいんだがいいか?リテルの代わりにトラックまでは俺が護衛する。」
「もしかして、呪文作成のデメリットの確認をするのでしょうか?シーリィタ様の妻としては確認しておきたいのですが、ご一緒しても?」
「まだ正式に決まったわけではない。アイルサ様がシーリィタ様を慕ってるのは理解できるが、ことはデリケートな問題だ。素直にトラックに行ってくれるとありがたい。」
「そうですね。本来なら素直に聞かないのが正解でしょう。では、私が呪文作成可能になったらシーリィタ様の為に呪文作成するというのはどうでしょうか?」
「…シー坊の話と決まったわけではないぞ?そんな大層な約束してもいいのか?」
「どちらにしろ、我が夫に関することです。聞いておいて損はありません。呪文作成程度安いです。」
「本気なんだな。」
「シーリィタ様の為ならば。」
お互い、笑いながらも睨み合って会話をしている。
「…シー坊。凄い人を捕まえたな。将来が楽しみだ。」
ケイロンが折れたのか、ため息をすると苦笑して俺に話しかけてきた。
「ケイロン。俺は将来が不安でしかないぞ。俺の為に自分を犠牲にして欲しくない。」
「シー坊がそれを言ったらダメだろ?既に犠牲にしてるからな。」
「そうなんだけども…。」
今回は何も犠牲ってほど出してないから余計に気まず。デメリット無しの呪文作成権利がなくなったのはある意味ではデメリットだが、貰い物だしな。メリットの方が多い。
「シーリィタ様。私が貴方様の為にお役に立ちたいのです。我儘を許してください。」
ケイロンと話している時とは少し違い、柔らかい表情で話すアイルサ。
「ケイロン。アイルサと一緒でいいよ。アイルサの呪文作成の約束もいらない。でも、他言無用でお願いするよ。」
「了解だ。シー坊。」
ケイロンは何も言わずに頷いてくれた。
「それでは、私の気が済まないのです。」
俺の手を掴み少ししょぼくれるアイルサ。
「アイルサは俺のモノなんでしょ?なら、俺に不利なことなんてしないよね?」
「それは勿論です。貴方様。」
当然のように即答するアイルサ。
「なら今はそれでいいよ。一緒に聞いて意見があったら言って欲しい。自分を大事に、そばにいてよ。」
「かしこまりました。貴方様。ですが、必要な時は躊躇しません。」
「その時はお願いね。」
「はい!貴方様!」
俺はアイルサの頭を撫でる。アイルサは嬉しそうにしてくれる。なんとかなったかな?俺にはイケメン的は発言はハードルが高いのでこれ以上は勘弁してほしい。
「まとまったな。なら、話すぞ。シー坊。お尻の具合はどうだ?相当は痛みのはずだ。よく我慢したな。すまない。あれだけの呪文作成をしたんだ、もっと早くに確認したかったが、デメリットは人にはなるべく話したく無かったから遅くなった。」
ケイロンはかなり心配そうにしている。
「ケイロン。今回は大丈夫。話せないけど大丈夫なんだ。」
「話せない?…よくよく考えれば座ったりも難しいだろうに座ってるな。」
俺はコンビニのイートインコーナーに普通に座っている。
「ケイロン様。シーリィタ様のデメリットは何ですか?お尻に関することなのですか?」
「俺もツンディナ様に聞いただけだが…シー坊のデメリットは呪文作成で相応の痔になるそうだ。」
「痔?それは病気なのですか?」
不思議がるアイルサ。ケイロンは頷いて説明し始めた。
「病気だな。原因は、ストレス、食生活の乱れ、規則正しいくない生活、不摂生、便秘、下痢…まぁ、大きい方をする時のトラブル、長時間の同じ姿勢、血行が悪くなるなど様々な要因でなる。それが原因でお尻の…うんちが出る場所が傷ついたり、腫れたり、膿んだりする病気だ。」
「初期は気にならない程度でそうでもないが、次第に痛みや出血、腫れが出る。酷いと出血が酷かったり、激痛がある。膿が出たら想像の倍以上はヤバイと思っていい。最悪、症状によっては悪化して癌なんかにもなる可能性もある。まぁ、癌は余程出ない限りならないが…。毎日使うところだ。治癒系の呪文が出来る人がいれば楽だが、そうでない場合は治るまで相当苦労する。」
「シー坊は、呪文作成すると呪文の強さなどに応じてその症状がいきなり出る。今回は我慢出来るとかの問題ではないはずなんだ。」
「…っ。貴方様!本当に大丈夫なんですか?我慢なんてしても為になりません。すぐに、今すぐに何よりも最優先で治療を!」
掴んでいた手に少し力が入る。
「大丈夫だから。ケイロン。確認してもいい。俺の尻には異常はないよ。」
安心させるように俺はアイルサに声をかける。
俺もケイロンも症状について勉強はしている実際にヤバイ症状が出たら座ってなんていられないらしい。痛すぎて。
ケイロンも不安だろうし、実際に見てもらって異常がないのを確認してもらうのが1番だ。
「シー坊。確認するぞ。アイルサ様は少し見ないで下さい。」
「い、いいえ!み、見ます!この目で確認しなくては、恥ずかしがってる場合ではありません。」
説明できないから仕方ないが、ケイロンはまだしも、アイルサに見られるとか恥ずかしい…。
「…わかった。確認してくれ。」
そう言って俺はされるがままに観察された。コンビニのイートインコーナーで何してんだろう。
「確認した。それらしい症状は見られない。どういう事だ?」
疑問に思い考えているケイロン。
「あぅ。シーリィタ様。申し訳ございません。その。観察させてもらいました。」
アイルサさん。そういう報告いりませんから。恥ずかしそうにしないでください。余計に俺も恥ずかしい。
「大丈夫なんだ。それで許してもらえないか?」
説明は出来ないが、症状がないことは理解してもらえたと思う。これで今回は納得しといてもらえると嬉しいんだが…。
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痔は恐ろしいのだよ。




