17 魔物の恐怖。
17話
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
いつもと変わらない口調のケイロン。脇に抱えられて、俺は魔物退治に連行されたのだった。
あっという間に、俺の家を離れ、街を通り越し、街道に出る。そのまま、街道を一気に走る。
うわぁ…ケイロン速すぎ。街を飛んだり走ったり、ジェットコースターに乗っているみたいだった。
街道を走れば、新幹線とかそれくらいに速いんじゃ無いのか?それ以上かも。
俺ってよく風圧とか耐えれてるな。呪文でなんとかしてるのだろうか?
そんなどうでもいい感想。思ったことがもう1つある。
話を聞く限り、魔物は危ない。死ぬかもしれない。訓練してるとはいえ、俺みたいな防衛手段のない子供がいっても自殺しに行くようなもんだ。ケイロンでなければ暴れて何とか逃げている。
それに、俺は呪文が見たいなんて言ってない。機会があったら見せてくれるって言ったのはケイロンだ。
そもそも、こういうのって部隊とか編成してから行くんじゃないのか?
脇に抱えられながら数分考えていたが、直接ケイロンに聞いてみることにした。
「なぁ。」
「なんだ。今更戻るってのは無しだぞ?」
「それは諦めた。なんか、無理矢理感が凄いからさ。魔物って危険なんだろ?」
「そうだな。」
「部隊とか連れて来なくっていいの?」
誤魔化すような表情をした後、理由を話し始めてくれた。
「あー。やっぱりそう思うか?」
「普通はそう考えない?」
「そりゃ、魔物は危ない。シー坊のような子供を連れて来ていい場所じゃない。」
「じゃあ、なんで?」
「シー坊がサボらないように呪文の凄さを見せようとしたのが1つ。」
畑が広がっていた景色が段々と平地が広がる。
「実際に魔物がどんなものか。魔物と遭遇すると何が起きるか見てもらいたかったのが1つ」
平地から木々が増えてくる。
「別に部隊なんて連れて来なくても余裕だってのが1つだ。」
木々が森林と山になろうとした山の入り口付近、少し開けた場所があった。
その近くで遠くに人型の魔物に襲われている一団が見えた。
中型のトラックらしき乗り物が複数止まっている。人型の魔物が襲いかかっている。
人型の魔物は数十匹おりトラックを壊そうとしているが、何かに守られている様で襲いかかるたびに弾かれている。
防衛の為に中から人が出てくる様子はない。
…マジかよ。3、4匹とかじゃなく群れて襲ってくるのかよ。
「それじゃ、見せてやるよ。俺の呪文を。」
ケイロンは俺を降ろすと、数歩ほど前に出た。
「射手よ(いでよ)。アルク。」
左手を前に出すと、何も無い所から弓が現れる。それと同時に弓矢も現れた。
そのまま、弓矢を放つと、物凄いスピードで人型の魔物に吸い込まれ、矢が当たる。
魔物は数十メートル飛ばされて、動かなくなった。そして、魔物は消えた。
袋から弓矢を取り出すと同じ様に弓矢を放つが、スピードが尋常じゃない。
1本放ったと思ったら、すぐに次が放たれる。
次々と魔物に当たっていく。こちらに気づいた魔物が近づいてくるが、来た端から弓矢に当たる。
逃げようとする魔物にも容赦なく直撃させ、数分で人型の魔物は全滅した。
ケイロンは大きく息を吐くと構えていた弓を下ろした。
「と、まぁ、弓と弓矢を作れるだけの呪文だ。」
「身体強化の呪文で全身を強化して、呪文で収納袋を作り、事前に弓矢を入れておく。後は取り出して放つだけだ。単純だろ?」
得意げに良い笑顔で話してくれた。
「凄いんだけど、すっごい地味だな。」
俺はなんて言えば良いのか困った後、思った感想を言った。
あれだけの数の魔物をゲームの様に倒せるのは凄いんだろうが、攻撃が地味なのだ。
「はぁ。シー坊の兄貴は喜んでくれてたんだけどな。地味かぁ。」
ちょっと凹んだケイロンがいた。
「いや、凄いとは思ったよ。ほら、ここまで来るのだってものすごく速かったしさ。」
俺は慌ててケイロンをフォローした。
そんなことを喋りながら俺達は中型のトラックらしき乗り物に近づいていった。
「シーリィタ。ちょっと降りてくれ。」
合流しようとした時、移動のためにおんぶしていた俺をケイロンが再び降ろすと弓矢を構えた。
「運がないな。」
ケイロンが真剣な顔で山の入り口の先の緩やかな長い直線の街道を眺めている。
光を帯びた弓矢が現れ、その輝きが増していく。
そうしているうちに、俺の目でも分かるくらいの大型の猪型の魔物が現れ、こちらに突っ込んできていた。
魔物が大きな叫び声を放つと、ビリビリとこちらまで振動が伝わってきた。
正直、ちびりそうになった。
「ケイロン逃げなきゃ。死ぬ。」
口でそう叫んでも俺はビビって動けない。
街道は中型トラックが2台無理なく通れる程度には幅がある。
1匹で中型トラック2台分程度の幅がある猪が突っ込んできてる。
あんなのに突っ込まれたら中型トラックだってタダでは済まない。
「シーリィタ。見てろよ。これが俺の呪文だ。」
ケイロンはニヤリと笑い。弓矢を放った。
弓矢の閃光は突っ込んできた猪の頭から当たり、全身を貫通して、空へ飛んでいった。
ビュンと後から音と弓矢の風圧がやってきた。俺は転びそうになった。
大型の猪はあちらが見えるくらいに穴が空きつつも、そのまま突っ込んできたが横に傾き、その巨体が地面に倒れた。
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思いつきで書いてるので設定や話がメチャクチャ。もう少し展開考えないと。




