11 切れ痔。裂肛(れっこう)。
11話
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
きっと、母様もキャンディも、もしかしたらオヤジも心が読めるのという事で想像もつかない様な苦労があったんだろう。そんな風に感じた。
大きな豪邸から帰ってくる馬車がある。何かの交渉の後なのだろうか。その馬車の中。特大モニターを見ながら、ワインを片手にした貴族の格好をした男がいる。
笑ったり、独り言が聞こえる。
「やぁ。読者の皆さん。あ〜る〜い〜は〜、観ている皆さん。こんにちわ。GMだよ。元気にしてたかな?私は今とある豪邸から帰ってきてる最中なんだよね。」
「なんでも生まれてばかりの赤ちゃんが病気みたい。大変だよね!病気がなんなのか分からないけど、多分、痔だね。可哀想に。」
上機嫌でワインを飲むと続けざまに語りたす。
「赤ちゃんが痔ってのも、可哀想だけど、母親が心が読めるってのも可哀想。赤ちゃんが生前の記憶を持ってたら親なら尚更だね。どうやら今回は悲劇にはならなそうだね。」
「ふふーん。母親のデメリットの元の人間不信なんだよ。呪文作成するとその代償で人間不信になるの。作成する毎に、威力と規模によって、段階ごとにね。メイドは小さな時から母親を支えてたんだ。で〜も〜、それを彼女は乗り切った。親父の愛でね。いやぁ〜。これも中々に面白い展開だったね。まさに、手に汗握る展開ってヤツさ。」
「でも、でも、平穏は続かない。そんな展開つまらないから。その平穏を破ったのが今回!」
パチパチパチと拍手をするGM
「でも、彼女はそれも乗り切った。実に素晴らしい。お互いを認め合うって大変なのにね。彼女と彼女の赤ちゃんはそれを乗り切った。あの一族は面白い。その前の代も同じ様な大恋愛してるんだから尚更だね。」
「あ、別に仕込んだわけではないんだよ?あの一族で手を出したのは、転生した彼だけ。なのに、同じことしちゃうんだもん。これだから、この仕事は辞められない。ストレス溜まるけどね。」
いつのまにか、馬車が消え、道を歩いているGM。
「では、では、そろそろ、お暇しましょうかね。彼等の活躍をご覧あれ!グッバイ!」
道には誰もいなくなった。
母様とキャンディが泣き止むのを見計らって俺は声をかけた。心の声で。結構重要なことだ。
母様は俺が気持ち悪くないのかってこと。生前の記憶がある子供なんて怖いだろ。普通。
「シーリィタ。母は怖いなんて思ったこはありませんわ。勿論、最初は驚きました。アーラシュの時と違い、はっきりとまるで大人の様な思考なんですもの。」
「でも、私の子供なんです。大事な大事なあの人との子供なんです。思考が最初からはっきりしただけの私の赤ちゃんなんです。そんな理由で我が子を怖がる必要なんてありませんよ。私はあなたが、シーリィタが生まれてきてくれて良かった。」
いつもの様に笑いながら母様は俺に言ってくれた。今度は俺が泣く番だった。
その後は、母様が俺との会話をキャンディに話、キャンディがとても嬉しそうにしていた。
キャンディは母様にずっと使えていて、心が読めることも知っているようだ。俺と母様の悲しお別れなど見たくなかったのだろう。自分のことのように喜んでいた。
そんなことを話して結構な時間が経っていた。キャンディが1度部屋から出て行くと、お医者さんを連れてきてくれた。そう、親子の絆は深まったが、肝心の問題は解決してないのだ。
俺のお尻の問題が解決してないのだ。
「お医者様。シーリィタ様をよろしくお願いします。お尻が赤いのです。」
キャンディが真剣な表情でお医者さんに言った。
「ふむ。赤ちゃんのお尻が赤い。かぶれたのかな?あー、肛門部分も赤いねー。指を入れてもいいかね?」
「かまいませんわ。お医者様。シーリィタ。少し我慢してね。」
「シーリィタ様なら大丈夫です。聞き分けの良い子です。」
分かりました。母様。キャンディも分かったら。我慢するから。
お医者さんが、俺のお尻の穴に指を突っ込む。
…というか、入るのかよ?赤ちゃんなんだから小さいんだよ?あ、ちょ、痛い。無理。やーめーてー。
「オギャーーーーーー。」
俺は泣いた。お尻の痛みと、俺の初めては指で散らされた2つの的な意味で。
幸い、指はそんなに入れられなかった。少し入ってすぐに引っ込められた。
「うむ。この痛がり方は間違いなく痔ですじゃ。多分、切れ痔ですじゃ。」
先生。切れ痔とはなんぞや?
「お医者様。切れ痔とはなんでしょうか?」
俺の疑問をキャンディが先に聞いてくれた。
「うむ。切れ痔。裂肛とも言いますが、硬い便の排出や下痢などで肛門が切れてしまうことですじゃ。」
「出血はありますが、たいして切れてないようなのでワシの呪文で治せる範囲ですじゃ。これが、膨れたりして穴が狭くなると厄介じゃったが早期に見つかったのでしょうな。すぐに治りますじゃ。」
「そうなのですね。よかったです。さぁ、シーリィタ様。呪文で治してもらってください。」
「そうね。すぐに治してもらいましょう。お医者様。呪文をお願いします。シーリィタ。もう少し我慢ですよ。」
安心した表情をする母様とキャンディ。
「フギャ〜。」
お医者様の人差し指が光り出し、そのまま俺のお尻の穴に人差し指が突っ込まれる。
「クロウズ・ザ・ウーンド!」
キャンディと母様に見守られながら、じじぃに指を突っ込まれるとかどんなプレイですか?あ、お医者さん。いや、お医者様。また指を入れないで!ふぉぉ!なんか暖かい。これが呪文?
そんなアホなことを考えている間にお医者様は俺のお尻の穴の痛みを取ってくれた。呪文凄い!あっという間に治ってしまう。これが異世界!やっとそれらしくなってきたな。
「ふむぁー。疲れましたじゃ。やはり、この歳になると簡単な呪文でも疲れてしまいますじゃ。お恥ずかしい。」
「いえ。いつもながら素晴らしい回復呪文でした。キャンディ。お医者様にお食事とお礼を用意して下さい。」
「かしこまりました。ツンディナ様。さぁ、お医者様こちらに。」
「では、遠慮なく頂いていきますじゃ。また何かありましたら遠慮なく言ってくだされ。こんな老いぼれでよければ、いつでも力になりましょうぞ。」
お医者さん、もとい、お医者様はキャンディと共に去っていった。
実はあのお医者様はものすごく有名なんじゃないかな。そう思った。
「ここら辺で最も有名なお医者様ですわ。シーリィタ。その人差し指で様々な怪我や病気を治し、お金は誰であろうと、どんなに大変であろうと、安く同じ額しかとらない大変立派で偉いお医者様です。あなたもあの様に立派な志を持ちなさい。」
確かに、立派なことだなと思った。
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この作品は一体どこに向かっているのか?作者にもわからない。




