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再会のスパルタ骸骨

 「ゔぁ……ヴァルネロ……驚かさないでくれよ……もう少しで炭に尻を焼かれるところだったじゃないか……」


「おお、それは済まないことをした。だが、いくら背後から近づいても全く気が付かなかったレイト殿にも少しばかり反省すべき点はあるのではないかと思うのだが?」


 ヴァルネロはそう愉快そうに言いながら、囲炉裏の一辺に腰を下ろした。


「いや、まぁ……そう言われると言い返せないけどさ……。それよりも、ヴァルネロはどう思う? さっきのリュウカの話、聞いていたんだろ? 俺の中にある正体不明の力。やっぱりあれを使わないでガルアス達に勝つのは厳しいのか……?」


「正体不明の力……か。直接は見ていないが、あの街でジーラフを倒した時に初めて発現した力だったか。……まぁ、その話に関しては、私もリュウカ殿と同意見だ。ガルアスという男は、ルドガー様には及びはしないが、かつての戦時は奴一人で数千の敵軍を屍の山に変える程の実力者だ。当然奴が王の椅子に座った今、その配下の幹部達も、それ相応の強さを持つ者で埋められているはずだ。そんな奴らに、生身の人間が剣術と体術のみで挑むのは自殺行為としか言えんよ」


「……そうか……」


 魔王軍の四帝としてガルアスを知るヴァルネロでさえもがそう言うのなら、きっとそうなのだろう。深い溜息をつく。


 そんなレイトを励ますように、ヴァルネロレイトの肩を軽く叩く。


「何も落胆する必要は無かろう。レイト殿には人間を超える力の可能性があるのだからな」


「いや……だからそれは制御が……」


「む? 先のリュウカ殿の話を聞く限り、それを制御するための修行をすると言う話ではなかったのか? そもそも、レイト殿はそのもう一つの魂と何度か会話をしているのだろう? それこそ直談判でもしてみてはどうだ?」


「それがさ……そのもう一つの魂、何も教えてくれないんだよ……。やけにフランクな喋り方だし、どこまで信用していいのかもわからないんだけど……」


「なら、もう一回会って聞けばいい。一度でダメなら二度三度、そいつが吐くまで聞き続けりゃいいじゃねぇか。ガルアスを倒すんだろ? レイト。そんなことで諦めてるようじゃ、お前の前に道はねぇぞ」


「リュウカ殿の言う通りだ。レイト殿。ここは男として、ガルアスに立ち向かう者として、覚悟を決めるところだ。確か、例の強化魔法の使用後、そのもう一人の魂がいると言う精神世界とやらに行けるのだったな」 


 そう言うとヴァルネロは、脇に置いていた剣を取り立ち上がった。


「となれば何にせよ、実践あるのみだ。力の制御の修行ついでに精神世界の魂にも会うことができる。一石二鳥というわけだ。ささ、レイト殿も早く外へ」


「えぇ……でもあれ、リシュアの回復魔法が無いと一回使った時点で身体がもたないんだけど……」


 別にここまでくれば、今更修行を諦めるつもりは無い。無いのだが、リシュアが、もといリシュアの回復魔法と技術が無い今の状況では、あの強化魔法を連発するなど不可能だ。そう思っていた。


「ん。ああ、そのことなら問題ない。リュウカ殿はリシュア様に引けを取らない程の回復魔法の使い手であるからな。そこは気にせず、バンバン力を使ってドンドンもう一人の魂に会いに行くがいい」


 あぁ、そういえばこの人、修行になると人が変わったようにスパルタになるんだった……。


 思い出したところで今更どうしようもない。早々と小屋の外に出て素振りを始めているヴァルネロは、きっとレイトが力を制御し、強化魔法を使いこなせるようになるまで延々と修行に付き合うつもりなのだ。


(でも、まぁ。魔王軍を倒してリシュアを魔王に戻す為には、どのみちこの力と向き合わなきゃいけない。それは確かだ……)


 一度大きく深呼吸をして、レイトは立ち上がる。


「リュウカ、本当に回復魔法のこと、信頼していいんだよな?」


 壁に立てかけたスミゾメを手に取りながらリュウカに聞く。そんなレイトの不安を消し去るように、彼女は笑って言った。


「ったりめぇよ! 私を誰だと思ってんだ。東方随一の治癒術の使い手リュウカとは私のこと。たとえ死んだって完全に治してやる。だからレイトは安心して力と向き合いな!」




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