表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】淵緑の魔女の苦難~秘密の錬金術師~  作者: 山のタル
第五章:絡み合う思惑

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/209

80.帝国へ1

 セレスティアが四大公会談を終えてから数日後が経ったある日。

 貿易都市の拠点でゆっくりしていたクワトルとティンクの元にハンター組合の職員が訪ねて来た。


「“ドラゴンテール”のお二人に指名依頼がきています。至急、ハンター組合までお越しください」


 職員はそれだけ伝えると、すぐに踵を返して帰って行った。


「……やっと来たねー。ティンク、待ちくたびれて溶けるかと思ったー……」

「まあまあ、ちゃんとセレスティア様の言った通りに事が運んでいるのですからいいじゃないですか。……さあ、待たせてはいけませんし、早く行きましょう」


 職員を見送ったクワトルとティンクはそう言って直ぐに仕度を済ませると、足早にハンター組合へと向かった。




 ハンター組合に着いたクワトルとティンクは、そのまま職員の案内で2階にあるの対話室の一つに通された。

 対話室に入ると、そこにはマントを着た見覚えのある人物が二人揃って座っていた。


「ようやく来たか」

「待ちくたびれたぜ」


 二人は部屋に入ってきたクワトルとティンクを見るや、愚痴を溢すような感じでそう呟いた。


「お待たせしてすみません。ええと、確か……パイクスさんとピークさんでしたね?」


 部屋で待っていたのは、白い毛に爪痕のような黒い模様が入った小さな耳と細長い尻尾が特徴的なパイクスと、パイクスと同じ背丈でパイクスよりも落ち着きのある雰囲気を漂わせるピークだった。


「覚えていてくれて光栄だ」

「そういえば、こうして話すのは初めてだったな」


 パイクスの言う通り、クワトル達とパイクス達は以前、魔獣事件の際に顔を会わせていた。しかしそれは形式的な挨拶と自己紹介程度で、今のように向かい合って話したことはなかった。


「じゃあ、改めて名乗っておこうか。俺はピーク。こっちの白いのがパイクスだ。お互いマイン領主軍の将軍を務めている」

「……おいピーク、いくらなんでも俺の紹介適当すぎないか?」

「あまり時間を掛ける必要がないから簡単に分かりやすく説明しただけだ。間違えてはないだろう?」

「そうだがよ……、なんか納得いかないぜ……」


 納得できずに渋い表情をするパイクスだが、言いたい言葉が浮かんでこなくて口を閉ざすしかなかった。


「では、こちらも。(わたくし)はクワトル。こちらがティンクです。二人で『ドラゴンテール』というパーティー名でハンター活動をしています。二人ともランクは現在Aランクです」

「よろしくね!」


 お互いに簡単な挨拶を済ませると、ピークが早速本題を切り出した。


「さて、自己紹介も済ませたし、早速話を始めよう。既にある程度話は伝わってると聞いているが、改めて説明しておくぞ?

 今回俺達が出す依頼は護衛依頼だ。内容は、ブロキュオン帝国の帝都に着くまでの往路と、貿易都市に戻ってくるまでの復路で俺達を護衛することだ」

「今回俺達はマイン公爵様の部下としてじゃなく、プアボム公国を代表する使者としてブロキュオン帝国に行くことになってる。その為にはそれ相応の恰好をしないといけねぇ。こんな風にな」


 そう言ってパイクスとピークはマントを捲って、着ている鎧をクワトルとティンクに見せた。二人の鎧は以前ストール鉱山で見た時と違い、重々しくそれでいて豪華な装飾が施され、そこにプアボム公国の国旗である“四葉の模様”が描かれていた。


「この鎧は式典用の鎧なんだが、動きにくい上に強度が弱いくてな。正直言って、着てて落ち着かないぜ」

「でも形式上の理由で着なくてはいけない。護衛を付けるのもそういったものの一環なのさ」


 二人の説明を聞いて、クワトルは顎に手を当てて納得したように頷く。


「なるほど。……ですが、形式的な理由で動くというのであれば、護衛は我々のようなハンターではなく、自軍の腕の立つ騎士にした方がいいのではないですか?」


 クワトルの言う通り、今回のように重要な使者の護衛なら、普通はその国や領主の軍から腕の立つ騎士を選定するものだ。むしろ二将軍の二人が護衛をしている方が普通である。


「本来はそうするべきなんだが、今回は使者の任務の他に別の目的があるからな。その為には俺達が使者になって、護衛にあんた達を選ぶのが色々誤魔化すのに何かと都合が良いんだと、マイン公爵様が言っていた」


 事前にセレスティアから今回のことをある程度聞かされていたクワトルは、ピークの説明を聞いて小さく頷いた。


「……確かにそうですね」

「別の目的については帝国に向かう途中で詳しく話そう。俺達からの説明は以上だが、他に何か聞きたいことはあるか?」


 ピークの言葉に小さく手を挙げて即答するクワトル。


「いえ、十分です。その依頼、受けましょう」


 クワトルはそう言ったが、実はこの依頼に関してセレスティアから事前にある程度の概要を聞いており、依頼を受けるようにと言われていた。パイクスとピークから改めて話を聞いたのは、指名依頼を受けるうえでの形式的なものをするためである。

 指名依頼はハンターを指名して出される依頼のことだが、まず初めに組合長や職員が依頼内容を確認して危険度や正当性の判断を行う。それから指名したハンターのランクと照らし合わせて、依頼を遂行できる実力があるかを見極めて許可が出れば、依頼主と指名されたハンターが依頼内容や報酬の話し合いを行う。そしてお互いに合意が得られて初めて、指名依頼が正式に受理されるのだ。


「では受付に依頼を受理することを伝えてきますので、パイクスさんとピークさんは先に西門広場に行って待っていてください。(わたくし)達も少々準備をしてから直ぐに向かいます」

「わかった。よろしく頼む!」

「じゃあ先に行ってるぜ!」


 パイクスとピークは短くそう言って、ハンター組合から出て行った。クワトルとティンクも直ぐに受付に行って指名依頼を受理することを告げると、一旦拠点に戻って準備を整えてから西門広場へと向かった。


これで今年は最後の投稿になります。

年末の挨拶は既に活動報告の方でしていますので、こちらでは簡潔にしたいと思います。


今年も大変お世話になりました!

皆様のおかげで、充実した1年を過ごすことが出来ました!来年もよろしくお願いします!

ではでは、良いお年を!(^_^)/~


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ