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【完結】淵緑の魔女の苦難~秘密の錬金術師~  作者: 山のタル
第四章:セレスティア一派活動日誌

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69.それぞれの日々・モラン&エイミー編1

「それじゃあ二人には今日から、この図書館の整理と掃除をやってもらおうかしら」


 アインさんに連れられてやって来たのは、沢山の本が並んでいる天井が高い広い部屋だった。


「この図書館にはセレスティア様とミューダ様が長年集めた、沢山の本が保管されているのよ」


 そう言ってアインさんは、図書館の中を軽く案内してくれた。


「この図書館は全部で3フロアに別れていて、今私たちのいるここは1階フロアよ。ここには、世間一般に広く出回っている様々な書物が置いてあって、ここにある本は自由に持ち出してもらって構わないわ。

 次に、部屋の中央にある螺旋階段で下に降りると別のフロアになっていて、そこにはセレスティア様とミューダ様の研究用の書物や資料が保管しあるわ。そこにある物はこの図書館から持ち出すのは禁止……ただし、図書館の中で読むのなら自由に見てもらって構わないわ。

 その代わり、絶対に粗末に扱ってはダメよ! じゃないと、セレスティア様とミューダ様からどんなお仕置きをされるかわからないからね!」

「「は、はい!!」」


 セレスティア様もミューダ様も私達では足元にも及ばない……ううん、住む世界が違うと言っていいほどの凄い力を持ったお二人だ。

 そんなお二人からのお仕置き……、私もエイミーさんも想像しただけで背中に冷や汗が流れた。


「最後のフロアだけど、場所は研究用資料を保管しているフロアの更に下、つまり地下2階にあるわ。そこには、今では絶対に手に入らない希少な書物や文献、その他様々な物が保管されているの。

 ……いい、二人とも? そのフロアには絶対に何があっても入らないでね! そこはセレスティア様とミューダ様以外は立ち入り禁止で、私でさえセレスティア様の許可がなければ入れないわ。

 ……いいわね? 絶対にセレスティア様の許可なしで入らないでね!」

「「わ、分かりました! 肝に命じます!!」」

「いい返事ね。好奇心と命はしっかり天秤にかけるのを忘れないでね」

((ゾワッ――!!))


 そう言ってクスッと笑ったアインさんの顔を、私とエイミーさんは忘れることはないだろう。

 結局その日は、アインさんから手順を教わりながら仕事をして、一日が終わった。




 次の日、私とエイミーさんは図書館で仕事の続きをしていた。アインさんは私達に仕事の手順を教えただけなので今日はいない。私とエイミーさんの二人だけだ。

 掃除は昨日の内に終わったので、今は二人で本をジャンル別に仕分けて整理する作業をしている所だ。


「モランちゃん、ここに纏めてある本はあそこの本棚にお願いしていい?」

「分かりました」


 私はエイミーさんが纏めた本を抱えると、翼を広げて天井近くの本棚に仕舞いに行く。

 図書館は屋敷の中央部にあり、私達がいる1階フロアは屋敷の1階部分と2階部分が合体した造りになっていて天井は高い。そして本棚は全て天井まで高く積み重なって敷き詰められている。一番上の方にある本はエイミーさんなら梯子を使って取らなければならないが、私ならサッと飛んで取に行けるので効率がいい。

 運んだ本を本棚に仕舞った私は、まだ整理していない本を抱えてエイミーさんの元に戻ってくる。


「エイミーさん、これ未整理分です」

「ありかとうモランちゃん。そこに置いてて」


 未整理の本が積み重なっていた上に、取って来た本を乗せる。

 私はエイミーさんの向かいに座り、エイミーさんと同じく未整理本のページをペラペラとめくって内容を確認してから、本をジャンル別に分けていく。


 ペラ……ペラ……

 パラパラパラ――

 ペラ…………ペラ…………

 パラパラパラパラ――――


「エイミーさん、読むの早いですね」


 私が1ページ1ページ内容をしっかり確認しているのに対して、エイミーさんは流すような早さでページをめくって仕分けていた。その様子を見て私は素直な感想を口にした。


「あー……私マイン様の所にいた時は、よく書類整理のお手伝いをしていたのよ。多分その時に、速読術が身に付いたんだわ」

「あれ? でも、エイミーさんって確か、マイン公爵様御付きの侍女って聞きましたけど、仕事を補佐する人はいなかったんですか?

 浮遊島ではマイン公爵様のような権力者には仕事を補佐する人が必ずいたんですけど、地上では違うんですか?」


 エイミーさんは首を横に振る。


「ううん、その認識で合ってるわよ。マイン様の専属秘書はいるけど、その人はもうかなりのお歳でね、最近は体調を崩すことが多くなったの。マイン様は自分の仕事の手伝いは信頼している人にしか任せないお方だから、その人の代わりに私が手伝っていたの」

「へー、エイミーさんも大変ですね」

「そうでもないかな? そのお陰で色々な仕事をさせてもらえて色々な事を覚えられたもの。だから、マイン様からの信頼に答えるためにもしっかり働かないとね!

 ……というわけで、モランちゃん、こっちの本また棚に仕舞って来てもらえる?」


 そう言って、エイミーさんはいつの間にか仕分けを終わらせていた本の山を私に押し付けてきた。


「うえええ!? エイミーさん早いですよ~!?」

「喋ってる時にモランちゃんが手を止めてるからだよ」

「うぅ~……行ってきます……」


 私は本を抱えるだけ抱え、また天井近くの本棚まで飛んでいく。本棚に本を仕舞い、新しい本を手に取りエイミーさんの所に戻る。……エイミーさんはその間に、既に数冊の本を仕分けしていた。

 私は使用人としての実績ならエイミーさんより後輩だけど、セレスティア様の屋敷では私が数日先に働いていたので先輩だ。……負けていられない! 私も気合いを入れて仕事に取り掛かろう!


「よしっ!」


 私は気合を入れると、再び本の山に向かい合って仕分け作業を再開した。


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