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沖田VSたける君

 雲一つ無い、本当に鬱陶しいくらい晴れた日の事である。

 沖田はいつものように頭を掻きながら学校に登校していると、何やら中学生ぐらいの男子がタムロしていたのだ。

 しかも沖田の通学路で。


「たける君!昨日の中高の奴ワンパンでしめたって本当っすか?ワンパンで」


 後輩らしき人物がそう言うと、たける君は図に乗り初めて


「当たりめぇだろうが!あんな図体だけのうどの大木、ワンパンでしめられねぇ方がおかしいってはっはっは!!」


と言う馬鹿笑いをし始めたのである。

 さらに後輩らしき人物は歌うようにして、


 「それにしてもたける君ってすごいよね!自分の倍もある奴に喧嘩売れておまけに倒しちゃうんだから!」


 そう言ってたける君をべた褒めすると、たける君はさらに図に乗りはじめて、


「まぁ俺が恐れる者と言ったら、ジャイアント馬場かマイクタイソンぐらいだな……」


 後輩らしき人物は、目をキラキラと輝かせ、


「さすがたける君!!めちゃくちゃ渋いっす!男の中の男っす!!硬派っす!!!」


 もっと言ってくれと言わんばかりに、たける君はニヤけていると、ある視線を感じた。

 視線を感じたたける君は顔を上げると大男がこちらをずっと見ているのが分かったのだ。

 するとたける君は立ち上がり、その大男の方へ向かい、胸ぐらを掴んだのだった。


「てめぇなにガンくれてんだよ!!!!」


 まるで顔面神経痛になってしまったのかと言う顔で怒鳴り散らすと、沖田はビクッと震えて、


「ひぃ!!ガンなんてあげてませんよ!!」


 相変わらず情けない声でそう言うと、たける君はニヤっとして目をキラキラさせている後輩を見た。


『ふふ……ここでこのウドの大木をしめちまえばもっと尊敬されるに違いない』


 そう思った後、また顔面神経痛が起こったかのかと言うような顔をして、これでもかと言うぐらい、沖田の顔に近づけた。


「何がガンなんてあげてませんだ!!ふざけてんじゃねぇぞ!!!いいか?俺様をただの中学生だと思ったら大間違いだ……」


 沖田はたける君の言葉を遮るようにして、真っ青な顔でこう言ったのだ。


「ちょっと顔近いですよ……僕ちょっとそんな趣味じゃないんです……勘弁してください」


 その時!たける君は激昂した!!後輩は驚愕した!!!


「ンだとゴラア!!俺をどんな人間と思ってんだああ!!!」


 そんな事を言ながらたける君はさらに顔を近づけて来る。

 沖田は何とか顔を遠ざけようと努力しているが遠ざけたら、またさらに顔を近づけて来るのだ

 それを見ていた後輩の目は、あの希望に満ち溢れていた目ではなく、何か汚い物を見る目に変わっていた。

 そんな事をさらさら気にしていないたける君はあんゴラアあんゴラアと顔を近づけてながら沖田を怒鳴り散らしていた。

 その時、やっと後輩の方を見たたける君は、やっと自分の行いについて理解したのだ。

 あの汚い物を見るような目を見て。


「ちっちがう、これはこの馬鹿が……」


 そう言いながら寄ってくるたける君に対し、後輩は、後ずさりながらプルプルと震え、


「嫌だああああああ!!!!僕は女の子だけでいいですううううう!!!」


 叫びながら逃げていく後輩に対したける君は、


「待ってくれ!!誤解だ!!」


 と言いながら後輩を追いかけて行ったのだった。

 その場に立ち尽くしていた沖田は、何がなんだか分からなかったらしい。

 

 中学生最強のハードパンチャーをワンパンで倒した沖田だったとさ。

 


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