(短編)口語自由詩「離れ離れ」
掲載日:2026/02/28
君が行くと決まった時 君は僕に青日記を渡した
煤けた表に君の名前 カバーの裏に隠された日記
何もかもが「御国の為」と 「革だなんて贅沢だ」とも
言われたけれど 私は守った
月日が流れ 君は隠れた
それからずっと 見つからぬまま
その後親から 「夫婦になれ」と
言われ続けて 私は叫ぶ
「あの人だけは 必ず戻る」と
そう君を待ち 二十五になり
ある雪の日に 戸を叩く音
外へと行くと 君が立ってた
「只今帰還しました」 その一言以上に嬉しいことはなかった
日記を差し出し 私は聞いた
「あの日のことを 覚えている?」と
彼は頷き 「覚えてるよ」と
いつになっても 忘れるまいと
信じて現在も 君と生きてる




