2 技術種族
「ストラスは高度な技術を有するだけでなく、技術の開発・利用者として不可欠の良識と責任感も備えた種族です。かつて彼女は、優秀な量子人格種族ウォフ・マナフから双子種族のアミーとヴォラクを生んだ種族複製計画でも、その資質を実証しました。彼女は単に種族融合体を複製するだけでなく、両種族間の正統性を巡る紛争を防ぎ、さらには他種族間の紛争防止に応用できるような技術も、開発したいと考えました。そこで彼女は、被験種族ウォフ・マナフの同意を得て、複製体同士の恒常的な亜空間通信による交流を築き、種族間の超融合体とも称すべき共同体の形成実験も行ったのです」
「彼女は経過観察に万全を期して後遺症発生の危険を防ぎ、また万一の失敗時にはその責任を負担するため、自らもまた種族間融合体に加わって通信回線を接続しました。これにより実験は成功したばかりか、アミーとヴォラクにストラスを加えた三姉妹種族は、銀河系最高の創造的演算能力と、種族の共有記憶を用いた秘話通信能力も獲得しました。これらの能力は後に、新帝国陣営における戦略立案と戦闘管制にも大きく貢献することとなります」
図7:姉妹
「ストラスはサタンの公開請願後、彼女を擁護するために自らもまた、親衛軍・正規軍の通信回線を含む帝国全体の超光速通信網を通じて、さらなる通報と請願を行いました。この通信は請願にさらなる説得力と伝達性を加えたので、彼女はこれに事件の平和的解決への望みをかけました。しかし不幸にもすでにこの時、事態は当初の予測より早い内戦勃発とサタンへの襲撃、さらには皇帝弑逆へと、急激に悪化していたのです。ただ一方で、こうした社会の混乱は、その後に現皇帝がより広範な支持を獲得すべく、開発途上星域と銀河系外周星域に向かう猶予を提供しました」
図8:内戦
「奇襲を受けた私達のもとに来援したストラスは、アスタロト艦隊の助けを得て、カイムの再生可能な残骸を発見・回収しました。彼女は種族間融合実験の成果を応用して、私の量子頭脳網との融合による修復・再生を図ることを提案し、サタンもまたこれを推奨しました。カイムは復活後、この温情ある措置と戦争の真因について告知され、私達の陣営への参加を誓約します。また、カイムが攻撃に用いた亜空間通路の技術は、軍用としては待ち伏せにしか向かないものの、改良のうえで民間転用すれば、帝国の発展に極めて役立つことが分かりました。そして何よりも融合の結果、お互いが直撃をためらったことで完全な破壊を免れたことが判明し、私達姉妹種族の士気と情愛はさらに高まったのです」
図9:復活




