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ギフト【鑑定】だけの俺が、実は最強だったなんて聞いてない!  作者: KeyBow


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第32話 王女の秘めたる決意

 頃合いと見たのか、シュナリスは一拍して皆の注目を集めた。


「漫才はその辺にしておいていただけませんか?ソロソロ出発しませんと日が暮れてしまいますよ」


 シュリナスの言葉に全員が馬車へと向かった。

 何故かこのメイド長の言葉に誰一人として何も言わず、ただただ従う。

 俺はこの人苦手だな・・・


 散々な騒ぎの中、なんとか馬車に乗り込むと、アリア様は顔を伏せたまま決して俺の方を見ようとしなかった。ニーナは面白そうに俺を覗き込み、ベルナさんはいつもの無表情に戻ってはいたが、どこか不機嫌そうに俺を睨んでいる。


 王都への旅は開始早々、前途多難を予感させるものとなった。


【アリア視点】


 王都への旅が始まった。豪華な馬車は揺れながらも私、第四王女アリアはその揺れを心地よく感じていた。隣に座っているの大柄の男性、つまりジェスロ様が


 ジェスロ様。

 ギルドの職員だという彼は、父上が手配した助っ人であることは明白だった。本来なら王族とは言え、私の能力鑑定に、まさかあのダンジョンで見せたような【戦闘狂】が偶然、しかも非戦闘職の代役として派遣されるなどありえない。彼は間違いなく父上が送り込んだ助っ人に違いないわ。


 しかし彼が素性を明かせぬ以上、私から問うことはできない。彼自ら語るまでは。


「何かあったら怖いから、大柄な男性が隣にいて欲しい」


 私の要望を皆が受け入れてくれた。

 それで席次がそうなり、彼の温もりを感じているのです。勿論彼には誰かがうまいこと伝えているはず。もっとも内心では呆れた顔をしていたかもしれないけれども。


 それでもあのダンジョンでの彼の戦いぶりを思い出せば、彼が傍にいるだけで不思議と心が落ち着く。彼の大きな身体から伝わる熱が、私の不安を少しずつ溶かしていくようだった。


 ただ一つだけ気に入らないことがあるの。


 彼は私をただの「貴族の子女」いや「守るべき小娘」としか見ていないようなの。

 確かに私はまだ十五歳。だけど、もうすぐ望まぬ婚約を強いられる結婚適齢期の身なのよ。私とて女として、一人の人間として彼に接して欲しい  のに、まるで相手にされない。

 ちゃんと話をしてくれるけれども、『アリア様』と呼ぶのを止めない。時折ベルナのことを呼び捨てにするのに、私のことは『ベルナ様』としか呼んでくれません。

 不満ですわ!


 父上より少し年若い彼を武人として、そして一人の男性として妙な好意を抱いてしまっている自分に戸惑いを隠せない。こんな状況で何を考えているのだと自嘲したくなるの。

 きっと彼は私にとっての白馬に乗った王子様なのでしょう。


 窓の外の景色が変わるたびに、ニーナさんと楽しそうに言葉を交わしている様子を見ていると、胸の奥がチクリと痛むのはなぜだろう!?

 ニーナさんは可愛らしいし、天真爛漫で誰からも好かれるのだろう。私と同じまだ十五歳だというのに!


 向かい側のシートでは、ベルナが目を光らせている。彼女は私の従者だ。

 メイド服に身を包んでおり、その完璧な立ち姿には一切の隙がなく、まるで騎士のようだ。美人で胸も大きくて・・・思わずそちらに目が行ってしまう。きっと男の人はああいう見た目が好きなのよね?時折彼から向けられれる視線にベルナは気付いているはずよね?

 たった1歳半歳上なのに、まるで私が小娘に見えるほど彼女は大人なの。

 私が思い描く女性としての目標・・・


 そしてまんざらでもないような、そんな雰囲気を感じてしまうのは私の気のせいだろうか。今のところベルナ、私、ニーナさんの順ね。

 何がって?


 ジェスロ様は時折飄々としており、その辺にいる世の中の中年を装った、どこか無理のある仕草や態度を見せる。

 あれは一体何なのだろう?わざとらしすぎて、逆に彼の若さや未熟さを感じてしまうのは、私だけだろうか?

『私はしがないギルドのオッサンです』などと口癖のように言っているのは、その様な存在として認識させたいのでしょうが、そこだけは無理があるのですわよ。


 そしてベルナの隣にはニーナさん。ギルド職員として同行している彼女は天真爛漫。道中ジェスロ様と仲良く話をし、景色などを見てはしゃぐ姿に思わず笑みがこぼれてしまう。そんな彼女を見ているだけで、これからのことに対しての不安が消え去るほど、場の空気が和む。

 彼女は私の周りにはいない【ムードメーカー】。


「あのギルド職員もまた、その動きからただ者ではない」


 しかしベルナは驚くべき推測を口にしたの。

 ニーナさんは恐らく隠密の能力を使い、私たちを陰ながら守っていたのだろうと。全く気が付かなかったわ。言われてみればなるほどと思う場面が確かにあるわ。

 ダンジョンで危険な場面でゴブリンジェネラルや、あの大量のナイトが不自然にバランスを崩したり、動きが鈍ったりしていたのはきっと彼女の仕業。ダンジョンから戻った時、ニーナ殿の服の一部が破れていたとベルナが言っていたわ。


 それにしても流石としか言えないけれども、ベルナはよく見ているわ。それがニーナさんが影から戦っていた証拠なのね。しかしそれもまた、私から聞いてはならないことなのですわ。


 私はギルドを出てすぐに、ジェスロ様がダンジョンで使っていた剣をセバスチャンに振らせてみたわ。

 結果はやはり斬撃など出なかった。

 ジェスロ様はあの【斬撃】は剣の能力だと言い張っていたけれども、それは苦しすぎる設定ね。


 あの剣はただの魔物のドロップ品。確かにミスリルでできた業物ではあるけれども、騎士団長クラスに与えられる剣と同等にしか見えない。かつて使っていた剣とほぼ同じだとセバスチャンも言っていたもの。


【斬撃】を飛ばせるのはジェスロ様自身の能力、それも相当な熟練度を誇る【武人】としての力。


 ベルナと私は加護を得られなかった。だからこそ今の私は必死になるしかないの。ジェスロ様が「加護」を得ていて「守護者」になってもらうことが私の唯一の希望。私の未来のために、彼の協力得たい。それに私の力を最大限に引き出さねばならない・・・ 


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