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ギフト【鑑定】だけの俺が、実は最強だったなんて聞いてない!  作者: KeyBow


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第30話 旅の準備

 俺は二人に声をかけることにした。


「お二人さん、ギルドマスターとの話は終わったのかい?」


 俺が声をかけるとベルナさんとニーナは、振り返った。


「はい、ジェスロ殿。それではそろそろ宿へ向かいましょうか?」


「ああ、だけどその前に一度、官舎に戻りたいんだ」


 俺がそう言うとベルナさんがわずかに首を傾げ、理由を尋ねてきた。


「何かご用事が?」


「しばらく留守にするからさ、その間の手続きとか、食事をストップしたり、後は私物の整理とか・・・夜はいつも酒場で済ませてたが、朝は官舎で食べていたしな。それにギルドから貸与された装備の返却とか、色々とやることがあるんだ」


 俺が説明すると、ベルナさんはフッと小さく笑った。


「ジェスロ殿、それは問題ありませんわ」


 俺が疑問に思って首を傾げるもベルナさんは先を続ける。


「ギルドマスター殿が全て手配してくださるそうです。食事を止める手配も、お部屋の管理も全て滞りなく行われるようになされます。装備についてもギルドマスター殿が『返却?誰が返せと?もうジェスロのだぞ』と仰っていましたからた返却は不要です」


「え、マジで!?」


 俺は驚いて声を上げた。まさかそこまで手回ししてくれているとは。それにしても、ダンジョンに入る前はまるでゴミでも見るかのような目と、言質だったベルナの話し方は、普通に接するように変わり、更に歳相応のメイドさんになっており、オッサンは少し戸惑っている。ジト目とか、詰めたい目とかちょっとよいなぁと思っていたんだよね。


「鎧についてはセバスチャンもとい、グラハム執事が宿に向かう途中、ジェスロ殿のサイズに合わせたものを買う手はずになっております。そちらも問題ありません。他に入用な物も抜かりありません」


 ベルナの言葉に俺はますます口をあんぐりと開けてしまったが、実に至れり尽くせりすぎる。


「もしかして、ジェスロ殿は動物でも飼っているのですか?でしたらそちらの手配も——恋人がいるのなら・・・」


「いや、飼ってない。大丈夫だ。それと残念ながら恋人はいないよ・・・」


 俺が首を横に振ると、ベルナさんはフッと笑った。そこ納得しないで!そんな生温かい目を向けられるとオッサンの心は少し痛む。


「では、問題ありませんわね。それよりもお嬢様の不安を拭う方が先決かと」


「そ、そうですか・・・」


 ベルナさんに有無を言わさぬ空気感を持って俺は腕を掴まれた。まるで荷物でも運ぶかのように、ぐいぐいと外へと引きずり出される。


「ちょ、ちょっと待てって!またドナ・ドナかよ!」


 俺が思わず冗談めかして叫ぶと、隣を歩くニーナが目を輝かせた。


「王都ですよ!王都!どんなところか楽しみですね!ね、先輩!おうとぉ!」


 ニーナは跳ねるように俺に寄り添い、腕を絡めてきたが殆ど柔らかい感触が伝わってこない・・・ニーナよ、まだまだだな。いでっ・・・


「美味しいスイーツってありますかね?ねぇ先輩、一緒に食べに行きませんか?行きますよね!」


 あまりにも無邪気に誘ってくるニーナに俺は、思わず嫌そうな顔をしてしまった。するとニーナは頬を膨らませると絡めている腕に力を入れ、更にジト目で俺を睨んだ。


「こんな美少女がオジサンを誘っているのに、そんな顔をするなんて罰当たりですよ!」


「確かにお前さんの顔は可愛いけどさ、普通、それを自分で言うか?そういうのはさ、もっとバインバインになってから言えよ!ほら、腕に柔らかさがほとんど伝わってこないぞ!」


 俺が呆れ半分でそう言い返すと、ニーナは次の瞬間「ひどいっ!」と叫んで、俺の脇腹に容赦ない拳を叩き込んできた。ゴツン、と鈍い音が響き俺は思わず呻いたが、革鎧のつなぎ目をピンポイントでやりやがった。


「いってえな!何しやがる!」


「だって先輩が酷いこと言うからじゃないですか!そんなだから未だに独身なんですよ!」


 そんな俺たちのやり取りをベルナさんはこれまで通りの冷静な表情で見守りながら、ニーナのギルドの制服姿に気が付いたのか口を開いた。


「ニーナ殿、その格好で王都へ向かうのですか?」


 するとニーナが興奮気味に答えた。 


「かわいいからいいじゃないですか!?」


「フフフ。道中の服はこちらで用意しますから問題ありません、ジェスロ殿?」


 ベルナさんが助け舟を出すように言い、俺は小さくため息をつくも、そんなやり取りをしていても止まることなく強制的に宿へとドナ・ドナされて行くようだ。ちょっとこれはこれで主に腕に伝わる感触的によいかも。


 そうしてベルナさんに腕を掴まれたまま引きずられるようにしてギルドを出た。

 そしてそのまま宿へ向かったが、幸いなことに程なくして宿が見えてきた。普段はCランク以下の冒険者が多く利用するような比較的質素な宿だ。だが、その周囲には見慣れないほど立派な馬車が数台停まっていた。


「おえらいさんが来ているのか?」


「何を言っているのですか?」


 俺が思わず呟くとニーナが呆れたように言った。


「いや、たくさん馬車がいるから、アリア様以外に誰か来ているのかなって」


 俺の言葉にベルナさんが盛大なため息をついた。


「ジェスロ殿・・・端的に言って呆れますわ。お嬢様の護衛と身の回りの世話をする者に決まっているでしょう」


「あ、そっか・・・3人で来ていたんじゃないんだな」


 俺がポカンとしていると、ニーナとベルナさんが同時に「当たり前でしょう!」と、まるでコントのように呆れかえっていた。


 宿の入口まで来ると、開け放たれた扉の向こうから、一人の白髪混じりの初老と思われるメイドがスタスタと歩み寄ってきた。見た目は普通のメイドだが、その纏う雰囲気には只ならぬ威厳があった。

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