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ギフト【鑑定】だけの俺が、実は最強だったなんて聞いてない!  作者: KeyBow


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第21話 キング戦(ジェスロ&ベルナ視点)

 ゴブリンナイトとの戦いは、本当に激戦だった。何度も奴の巨大な剣に追い詰められ、体勢を崩され、あのままでは本当に脱糞オジサンになるところだった!


 だが、俺は最後の力を振り絞って何とかやりきった!あの化け物をこの手でようやく倒したのだ!鎧の上からでも分かるほど、奴の攻撃を食らった!壊れちゃったよ・・・

 そして胸がズキズキと痛むが、治療は後回しだ。それよりも今は、別の意味で無事に、生きてダンジョンから出られることを考えるべきだ。


 正直なところあの腹痛さえなければ、この不思議な力を持つ剣の力を持ってすればもっと楽に倒せていたと思う。

 ナイトの動きはちゃんと見えていたんだ。問題は俺自身の動きが、あの忌々しい腹痛に引きずられ、思うように動けなかったってことだろうな。


 まあ、結果オーライだ。倒したんだから良いか。もう二度とこんな危険なダンジョンに入ることもあるまい。一時の夢を見させてくれてありがとう!この力ともうすぐお別れだ。

 流石にこのような業物を、単なる立会人の俺が貰えるはずもなく、このダンジョンにいる間だけ借り受けたに過ぎない。

 これがあれば俺も冒険者登録出来たろうなと思う。


 それよりもだ・・・今の俺にはもっと大事な事がある。

 それはこの場で俺が人としての尊厳を維持できるか否かと言う一大事だ。もしあの二人がいなければ、今すぐにでもこの場で尻を出して楽になりたい。しかし、さすがにいい年したオッサンが、若いレディの前でそんな醜態を晒すわけにはいかない。

 そう言えばこれまで全く気にしてこなかったが、冒険者ってやつらは、ダンジョンの中で生理現象を一体どうしているんだろうか!特に男女混合の場合だ!

 そんなことを考えていると、俺が握る剣の柄に力を込めなければならない程の、じっとりとした嫌な違和感が走った。


 その時だった。やはりあの【波】が来たのだ。まさに手に汗握るとはこのことだろう。ボスを倒した時に視界の端で何かが光ったような気もするが、そんなことなど今はどうでもいい。足踏みしてなんとか堪えたい衝動に駆られるが、明らかにただ事ではないと分かるから出来ないよね。

 剣を握りしめる手にさらに力を込め、ナイトが霧散した跡を、ただひたすら凝視するしかなかった。

 そして、長すぎる時間に耐えきった時、待ちに待ったあの光景が現れた。

 ボスのいた場所に眩い光を放つ転移板が現れたのだ。

 左手の剣は鞘に収め、右持っていた剣をしっかりと握り直すと迷わず左手を伸ばして転移板に触れる寸前に、俺は踏みとどまった。

 やはり何も言わずに消えるわけにはいかない。

 俺は少しばかり申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「ごめん、急ぐから」


 一言だけ告げるのが限界だった。迷うことなく転移板に左手を触れ、ダンジョンからエスケープした。

 後処理というか、ドロップの回収という面倒な作業を、あの二人に押し付けてしまった。まあ、俺は単なる同行者だから、ドロップで貰うのは、この手にした二本の剣だけで十分だろう。あっ!そうだ、ギルドに返す、あの呪われた剣の弁済だけはお願いしよう!それくらいは、良いよね?多分ジュニアの魔石がゴブリンの半額くらいだとすると・・・何とか赤字にはならないはずだ。うん。


 数秒・・・永遠とも思えるほどの、気まずい転移の時間が過ぎると、俺は無事にダンジョンの外に出た。いや、危なかった。その数秒の間にまた波が来た。本当にやばかった。

 右手の剣から魔力放出をしてしまったようで、パリンと音がした気がする。魔力放出の光だというが音と共に光ったからだ。それと左手は少し血が出ていて、波に耐えるために思いっきり握って

 いた。

 しかし何とかなったが、安堵する間もなく俺はそのままダンジョン入り口のすぐ横にある、騎士団の詰所へと全力で駆け込んだ。


 俺の尋常ではない様子を見て、詰所にいた騎士たちがぎょっとしたような表情を浮かべたが、そんな彼らを気にする余裕は今の俺にはない。


「便所ぉ!」


 俺は一言叫び、詰所の中にある便所へと一目散に駆け込んだ。誰か使ってるなんて言うなよ!



(アリア視点)

 何とかキング以外のゴブリンは倒せたわ。ベルナも少し疲れてはいるようだけれども、無事みたい。

 そして今はジェスロ様とゴブリンキングの一騎打ち・・・あのキングの巨体と、ジェスロ様の動きの速さ、どちらも凄まじくて目が離せないわ。


 加勢は無理ね。私たちが近づいたところで、きっと邪魔になるだけだわ。

 ジェスロ様のあの剣技、私たちには到底真似できない。ベルナも同じように考えているみたいで、息を押し殺すように見守っているの。


 ジェスロ様、何度もキングの攻撃を紙一重で避けて、的確に斬撃を与えている。キングも怒り狂って暴れているけれど、ジェスロ様の動きは全く乱れない。なんて冷静で、そして強いのかしら。

(ジェスロ様・・・頑張って!)


 ジェスロ様とゴブリンキングの一騎打ち。息を呑むような攻防が続いているわ。キングの巨大な剣が唸りを上げ、ジェスロ様を何度も追い詰めるけれど、その度に信じられない身のこなしでかわしていく。そして反撃の一撃は必ずキングの急所を捉えている。本当に目が離せない。

 自称『ギルド受付のしがないオッサン』と言っていましたが、ベルナによると、剣タコはあり得ないほどの凄さ。


 時折ジェスロ様の動きがピタリと止まり、変な直立姿勢になっているけど、あれはきっと何かの特別なスキルを発動する準備段階なのね!何かしらの文言を唱えるか、複雑なジェスチャーが必要だから、どうしても一瞬動きが止まってしまうんだわ。

 事実あの変なポーズの前は、ほんの一瞬だけジェスロ様の動きが悪くなって、キングに押し返される場面があった。でも、あのポーズの直後には、信じられない力でキングを押し返し、逆にキングに手傷を負わせている!きっとものすごい強力なスキルに違いないわ。やはりただ者ではないようね。


 キングが最後の力を振り絞って、渾身の一撃を繰り出した!ジェスロ様、今度は避けきれないかしら!?・・・きゃあ!ジェスロ様が吹き飛ばされたわ!


 でもジェスロ様はその蹴りを冷静に受け止めたようだけれども、カウンターの一撃!いえ、二撃ね。蹴りを繰り出すとキングの動きがガクンと止まった!


 そして・・・ジェスロ様は吹き飛ばされながらも斬撃を放ち・・・キングの首が信じられないほど綺麗に、まるで熟れた果実が落ちるみたいに、胴体から離れて地面に転がったわ。

 ジェスロ様勝ったんだ!凄いわ・・・本当に信じられないくらい強い。ベルナも安堵の息を吐いているわ。私たち生きてここから出られるのね。全てジェスロ様のお陰だわ。


 ゴブリンキングが倒れた瞬間、私とベルナ、そしてジェスロ様の左の手に玉が握られるはず。能力玉はボスを倒すと一つ出現するもの。


 しかし、ジェスロ様は落下した時に握りつぶしてしまったようね。落下の衝撃があるにしても、握りつぶしたなんて、やはり見た目に反して相当な力の持ち主なのね。


 そして、ボスのいた場所の中央に、見たことのない紋様が浮かび上がり、板が現れたわ。これが転移板なのね。


 ジェスロ様はご自身の能力玉を鑑定する事が出来ず、落下時にグシャリと握りつぶしてしまったようね。

 でも!そんなことってあるの?まるで、飴玉を潰すみたいに。あれはギフトか、それとも加護を得た、ということなのかしら?知りたい・・・あれほどの敵を倒したのですから、強大な力を得たに違いないわ!


 私たちの無事を確認すると、ジェスロ様は少し申し訳なさそうな表情で一言告げたわ。


「ごめんなさい、急ぐので」


 その一言だけ告げると、迷うことなく転移板に触れて、ダンジョンから出て行ってしまったわ。えっ!なぜ!?一体何があったの?ベルナも無事だから良いけれども、ジェスロ様があんなに慌てて出て行くなんて、何か尋常じゃないことがあったのかもしれないわ。

 仕方ないわね。ジェスロ様が出て行ってしまった以上、後処理は私たちでやるしかないわ。まずは魔石とドロップ品を回収して、それからあの転移板に触れて外に出ましょう。能力玉は、確か規則で鑑定士さんに鑑定してもらってから割らないとね。それに鑑定しないとどんな能力か分からないはずなのに。ジェスロ様は、よくもあんな簡単に握りつぶせたものね。そんな簡単なはずないから、あの人、ああ見えて相当な力を持っているのね。


 私たちも能力玉を得てているのに、何も言わずに先に行ってしまうなんて・・・そもそも私たちの能力玉を鑑定するためにいることになっているのに。


 きっと、彼はここのダンジョンの異常と、私たちの無事を誰かに伝えるのを急いでいるのね。フフフ。私のことを心配してくれているのかしら。さて、ドロップ品は・・・おお!これは、なかなか良いものが出たみたいね!





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