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ギフト【鑑定】だけの俺が、実は最強だったなんて聞いてない!  作者: KeyBow


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第2話 装備と予感と新たな出会い

 ギルドマスターの執務室に通されると、新品の革の鎧、使い込まれた様子のない真新しいショートソードが部屋の隅にある椅子の上に無造作に置かれていた。まさか本当にダンジョンに行くことになるとは・・・これまで許可が出なかったのにこんな形で行くことになるとは思いもよらなかったな。


「ジェスロさん、こちらへどうぞ」


 声をかけてきたのは新人受付嬢のニーナだった。まだ少し緊張した面持ちで、所在なさげに立っている。ニーナは俺に分け隔てなく接してくれる唯一の受付嬢だ。それどころか仕事のことでよく俺に質問や相談をしてくる。真面目で一生懸命な彼女のことは俺も嫌いじゃない。


「マスターに言われたんです。先輩の着替えを手伝うようにって。間もなくお貴族様がいらっしゃるので、手早く済ませておかないと。あのう・・・」


 ニーナは少し躊躇いがちに言葉を続けた。


「マスターは私がお貴族様と年齢が近いから、主に私が、えっとアリア様と仰るそうなのですが、彼女のお世話をすることになると思うんです。でも、もし何か困ったことがあったら、ジェスロに聞けば万事うまくいくからって言われたんです。だから・・・その時は頼りにしても良いですか?」


 ニーナは少し潤んだ瞳で、こちらを見上げてきた。たははは・・・あのたぬき親父め! 上手いこと言いやがって。でも、こうして若い子に頼られるのは、オジサン悪い気分じゃない。

変な意味じゃないからな!俺はロリコンじゃない。職場の後輩に頼られるとオッサンは張り切るんだよ。


「ああ、分かった。俺にできることなら、何でも言ってくれ」


 俺は苦笑しながら頷く。


「ありがとうございます!あの、この鎧って先輩着方分かるんですか?マスターがさすがに事務服のままダンジョンには送り込めないから、これをやると伝えろと。それと私に着るのを手伝うようにも言っていました」


 ニーナはそう言うと、革鎧を手に取った。まだ扱い慣れていないようで、戸惑っている。


「大丈夫だよ、自分でやるから。新人講習で散々教えてきたから。じゃあ時間があまりないようだから、少し手伝ってくれるかい?」


 そう言って革鎧を受け取り、ニーナに手伝ってもらいながら身につけていく。革の感触がなんだか落ち着かない。最後にショートソードを腰に下げたが、本当にこんなもので戦えるんだろうか?

 人の着替えを手伝ったり、講習でやった事は何度となくあるが、自分がダンジョンに入るために装着する日が来るとは思ってもみなかった。


「どうかな・・・変じゃないか?」


 着終わった俺は、少し不安になってニーナに尋ねた。


「いいえ、意外と似合っていますよ! なんだか・・・冒険者って感じに見えます!それに先輩は知識も豊富ですから、きっとアリア様も安心されると思います」


 ニーナは目を輝かせて言った。お世辞だと分かっていても、彼女の言葉は素直に嬉しい。

 革鎧の装着が終わるとほぼ同時にギルドマスターが部屋に入って来たが、数秒間、何か言いたげに俺の方を見た後、ようやく重い口を開いた。


「ああ、ジェスロ。ダニーの件だが、やはりちゃんと話しておくよ。奴のことなんだが・・・女性冒険者から訴えがあったんだ。調べたところ、どうやら本当に酷いことをしていたらしい。証拠もでてきて即刻クビとなった」


 信じられない。あのダニーが訴えられるようなことを・・・いや・・・あいつ女癖悪いから、やらかしかねないか。


「お前の時のように、強姦未遂を捏造されたような話じゃない。大勢の者が見ている前で胸を揉んだらしい。本人は否定したが、魔道具を使ったところ、しっかりとウソだという判定がなされた。他の証拠からも訴えの内容が本物だと分かったそうだ」


 マスターはそう言って、深くため息をついた。


「とにかくだ。もうすぐお貴族様がこちらに来られる。ジェスロ、お前はニーナと共にダンジョンへ行ってくれ。ニーナはジェスロたちがダンジョンに入るのを見届けたら戻れ。さあ、ジェスロの準備を手伝ってくれ」


 そして準備ができるとほぼ同時に執務室の扉がノックされた。


「失礼します」


 ニーナがお茶の入った盆を持って、マスターの許可を得て部屋を出て行った。代わりに部屋に入ってきた者の姿に・・・目を疑った。

 そこに立っていたのは、まだあどけなさの残る、十五歳くらいの美少女だった。大きな瞳が不安げに揺れていて、見ているこっちが大丈夫か?と心配になるくらいだ。これがお貴族様のご子女、アリア・フォン・〇〇様か。

 家名は教えてもらっていないが、貴族の子女というだけで十分だ。

 お付の人は・・・さらに目を疑った。二十歳に少し届かないくらいの、息をのむほど美しいメイドがその後ろに控えている。完璧な立ち振る舞いで、ただそこに立っているだけで絵になるような女性だ。

 まさか、こんな展開になるとは。

 木剣ではなく、本物の剣なんてほとんど握ったこともない俺が、貴族の娘のダンジョン付き添い・・・一体、これからどうなるんだ? 不安と、少しばかりの好奇心が、俺の中で渦巻き始めた。

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